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失われた記憶−契約結婚【ハーレクイン・セレクト版】

失われた記憶−契約結婚【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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解説

目覚めたサマンサは、そばに座って手を握り、穏やかに語りかけてくる男性を見て、妙に安心感を覚えた。ダークブラウンの髪をしたハンサムな人。でも、いったい彼は誰?ここはどこなの?私は……?彼女は事故に遭い、記憶を失っていたのだ。やがて病室に医師が現れ、男性は彼女の夫ギャリックで、おなかの赤ん坊も無事だと告げた。この魅力的な男性が夫で、彼の子供が私のおなかにいる……。サマンサの胸は誇らしさでいっぱいになった。だが真実は複雑で、夫の限りない優しさには切ない過去が隠されていた!

■退院後に帰宅したサマンサは、何も思い出せないまま、会社経営者の裕福な夫ギャリックとの結婚生活を充実したものにしようと決心します。甘いキス、優しい抱擁――彼女はギャリックに引かれていき、彼との関係を深めますが、ほどなく記憶が戻り始め……。

*本書は、シルエット・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 ギャリックのことが頭から離れなかった。あの乱れた黒髪、魅力的な男性の香り。彼女は彼がいないことを寂しく思いはじめていた。
 結婚しているなら当然かもしれない。やっぱり本当に彼と結婚しているんだわ。たぶん、わたしは彼を愛しているのよ!
 思い出せないなんてひどすぎる。
 いまだに自分がサマンサだという気がしない。もしかしたら、前からそうだったのかもしれない。わたしはこの名前がきらいだったのかも。
 ドアがかすかな音をたてて開き、ギャリックが入ってきた。彼はサマンサと目があうと、優しい、当惑するほどセクシーなほほえみを浮かべた。
「帰ったのかと思ったわ」サマンサは言った。
「ぼくを追い払いたい?」
 彼女はだまって首を横にふった。認めたくなかったが、彼の存在がうれしかった。
 ギャリックは椅子のところへ行き、下にしまってある旅行バッグをひっぱりだした。彼女に背をむけて中をごそごそさぐっている。
 サマンサはその様子を見つめた。色あせたジーンズをはき、しわになったオックスフォード地のシャツを着ている。広い肩幅。彼が動くたびに筋肉がもり上がるのがわかる。
 この人がわたしの夫。わたしの中で育っている小さな命の父親。なんだか……変だわ。
 でも思い出せなくても、実際にわたしはこの人と愛しあったのだ。あのあたたかい肌に指をすべらせ、ふっくらした官能的な唇にキスをしたのだ。
 それから、ほかの場所にも……。
 頭がずきずき痛むにもかかわらず、体を興奮が駆けぬけた。こんな魅力的な人と結婚しているなんて運命のいたずらにちがいない。たとえ彼に少ししゃくにさわるところがあるとしても。
 ギャリックは彼女のほうをむいた。彼の顔には男性的な美しさがあり、ひげで陰りのできた頬やあごの線にサマンサの目は引きつけられた。彼のグレーの瞳は太陽にあたためられた花崗岩のようだ。きつい感じだが、冷たくはない。
 サマンサの視線は下へ移った。まくり上げた袖からたくましい腕が出ている。ひきしまった腰、しっかりした形のいい脚。体を動かすのが好きそうな体型だ。スキーをしたり、テニスをしたり、ジョギングをしたり、愛しあったり……。
 彼女は突然、彼に触れたい、彼の体が実際にかたくひきしまっているかどうか指先で確かめたいという衝動に駆られた。
 ギャリックはシャツの一番上のボタンをはずしていた。うっとり見つめていると、手ぎわよく二番目のボタンもはずしている。そして、三番目……。がっしりした胸もとで黒っぽい胸毛がカールしているのが見える。
 サマンサは口の中がからからになった。
 さらに三つボタンをはずし、ズボンからシャツをひっぱりだすと、平らな腹部が見えた。
「何をしてるの?」彼女はかすれた声で言った。
 彼は手をとめたが、返事はしなかった。シャツは体にひっかけたままだ。黒っぽい胸毛が腹部へとのび、ジーンズの下に消えている。
 彼女は息をのんだ。
 ギャリックはしわのよったシャツをすばやく脱ぎ捨てると、黒いTシャツに着替えた。
 サマンサは愚かな自分を心の中でのろった。彼が目の前でストリップを演じているかのような反応をするなんて。彼はただ着替えていただけなのに。
 わたしたちは結婚しているのよ。わたしの前でシャツを着替えてはいけない理由はないわ。あのシャツは一週間着っぱなしだったかのようにくたびれていたもの。
 ギャリックは正方形の革のバッグをサマンサに渡した。「これを見たいんじゃないかと思ってね」
 サマンサは話題が別方向にむいたことにほっとして、バッグを受けとった。そして、なじみのあるものがないかと期待して、中身を出して見てみた。
 しかし、何もなかった。手帳もフェイスパウダーも口紅もアドレス帳も、みんな他人の持ち物のような気がする。身長百五十五センチ、茶色い目に長いブロンドの二十五歳の女性が写った運転免許証を見ても、ぴんとくるものはない。アドレス帳をぱらぱらめくってみても、傾き流れるような筆跡で書かれた名前に見覚えはない。彼女はため息をついて、中身をバッグに戻した。
「だめかい?」ギャリックがきいた。
「まったくだめ。他人のバッグをさぐっているみたい。こそこそのぞいているような気がするわ」サマンサは運転免許証を差し出した。「わたし、本当にこんな感じなの?」
 彼はちらりと免許証に目をやってから、彼女を見た。「似ているが、あまり写りのいい写真とはいえないな。髪ははりがないし、目は小さく見える」
「それはどうも」
 彼はにやりと笑った。「きみがきいたんだよ」
 サマンサは首の後ろでむぞうさに束ねた髪をいじった。ボリュームのあるやわらかい髪だ。彼女は確かめてみようと束ねた髪を前にひっぱった。だが、そのブロンドを見ても、当惑するばかりだ。
「バスルームに鏡があるよ。もし自分の顔を見たいのなら」
 サマンサは好奇心に駆られたが、首を横にふった。動かすと頭痛は激しくなった。
 ベッドを出るだけでも一苦労だわ。彼女は自分に言いきかせた。だが、本当の理由はもっと複雑だった。鏡を見たら、そこで見知らぬ顔に出くわすことになる。しかし、それは二十五年間つきあってきた顔なのだ。そんな極度に神経をはりつめる経験に耐えられるかどうか、自信がなかった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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