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追いつめられて【ハーレクイン・セレクト版】

追いつめられて【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 シャーロット・ラム(Charlotte Lamb)
 第二次大戦中にロンドンで生まれ、結婚後はマン島で暮らす。大の子供好きで、五人の子供を育てた。ジャーナリストだった夫の強いすすめによって執筆活動に入り、百作以上の作品を著す。二〇〇〇年秋、多くのファンに惜しまれつつこの世を去った。

解説

幼いころに母が頑固な父を捨てて別の男性とかけ落ちして以来、ジュリエットは由緒ある館の猟場管理人の父と二人で暮らしていた。やがてジュリエットは館の一人息子シメオンと恋に落ちた。二人が抱き合っている姿を目撃した父に猟銃を突きつけられ、シメオンは突然ジュリエットとの結婚を宣言したのだ。だが結婚式の夜、ジュリエットは彼の振る舞いに深く傷つき、“何もかも間違いでした”と書き残して姿を消したのだった。そのまま母のもとに落ち着き、義父と母の仕事を手伝ってきて8年。ある夜、母の別荘に独りでいた彼女の前にシメオンが現れ、言い放つ。「もう逃げられないぞ。今度こそ、ぼくの子供を産んでもらう」

■初恋の人シメオンが残した心の傷がようやく癒えかけたころ、彼と驚愕の再会を果たしたジュリエット。でも、シメオンが突然現れた理由を知って茫然とします。なんと彼の亡き父が遺言で、シメオンとジュリエットの子供を館の継承者に指定していたとは!

*本書は、ハーレクイン・クラシックスから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「どこへも逃げられないぞ、ジュリエット」彼女の思いを見透かしたように、男がうしろから声をかけた。
 どういうことなの? 凍りついたようにジュリエットは戸口に立ちつくした。さっき、恐怖に震えながらもなぜか男を知っているような気がした。そのときは、そんなのは幻覚だ、頭がおかしくなったのだと思ったが、そうではなかったのだ。
「あなた……あなたは……」ジュリエットは振り向いた。
 男は立ち上がり、じっとこちらを見つめている。背の高い黒い影が、雪明かりの部屋に浮かび上がる。ジュリエットは男を見つめ返した。豊かな黒い髪におおわれた男の顔が、だんだん見えてきた。
 鼻筋の通った顔立ち、角張った顎の線、大きな引き締まった口もと。そして、目は……あの目……心の底まで見透かすような、冷たいグレーの瞳……。全身から血の気が引くのを感じながら、ジュリエットは息をのんだ――シメオンだ。
「逃げられないぞ、今度はな」男が言う。その言葉は、ジュリエットの頭の中でこだました。
「今度は、ですって?」声に出して言うと、またジュリエットの体に震えが走った。
「車に乗れたとしても、遠くには行けない。雪はもうかなり積もっている。ぼくは、仕方なく五、六百メートル先で車を乗り捨てて歩いてきたが、たいへんな雪だ。一部では電話も不通になっている」男の口調は淡々と響いた。
 どうしてそんなふうに、平気で話せるの? ジュリエットは心の中で叫んだ。わたしのほうは、はるか昔に消し去ったはずの思い出でめまいがしそうだというのに……。
「だれなの?」ジュリエットはささやいた。だが、聞くまでもない。男がジュリエットの名を呼んだとき、はっきりとわかったのだ。いや、たぶん、さっき電話で声を聞いたときからわかっていたのだ。男の声にあるちょっとした何かが、彼女を戦慄させた。あのときはそれがどういうことなのかわからなかったが、それでも頭のどこかに妙な感じがあった。今、そんなふうに感じた理由がわかる。
「ぼくがだれだか、知っているはずだ」ジュリエットの心の中を見透かしたように、男はあざけりをこめた口調で言った。
「知るもんですか」本当にそうだったらどんなにいいだろうと、ジュリエットは思う。男がベッドのわきのスタンドに手を伸ばした。かすれた悲鳴のようなジュリエットの叫びが、それをさえぎる。「だめ、明かりをつけないで!」
 彼の顔なんか、見たくない。確かめたくないわ。この雪明かりの中でなら、彼とふたりでいることもどことなく謎めいた夢の中の出来事のようだ。でも、もし明かりがついて彼の姿がくっきりと浮かび上がったら、すべては現実の出来事になってしまう。
「ぼくを見るのが怖いかい、ジュリエット?」冷たいあざけりの口調で、男が尋ねる。
「そんなこと!」彼女は怒りにかられて言い返した。
「暗くしてほしいのかい?」こめられた二重の意味に、ジュリエットの顔が赤く染まった。
「あなたにしてほしいのは、出ていくことよ……今すぐにね!」
 男は声をたてずに笑った。「ぼくがどんなに変わったか、見たくないのかい? きみは見違えたよ、暗がりの中でもわかるくらいに。十七歳のきみはやせっぽちで、男の子みたいな体つきだった、前もうしろもね……」男はちょっと言葉を切ると、からかうような口調で続ける。「今ではどうして、すごくセクシーな体になった」
「やめて!」ジュリエットが叫んだ。
 男はそれを無視するように続けた。「すばらしい胸をしてるし……」
「やめてったら!」
 顔が熱い。男の言葉に、さっきパジャマの中にすべり込んできた手の冷たい感触を思い出す。ジュリエットは、怒ったようにそんな思いを振り払った。
「そ、そんなこと、あなたに言われる筋合いはないわ! あ、あんなふうに触ったりして!」口の中が乾き、舌がもつれる。「死ぬほど驚いたのよ。てっきり……だれかが押し入ってきて……今にも殺されると思ったわ」
「あんなことをするつもりはなかった」男が言い訳めいたせりふを口にすると、ジュリエットは怒りのあまり笑い出した。
「つもりはなかった、ですって?」
「そうだ」男が腹立たしげに言う。「いいかい、ぼくはきみに会う必要があった。ロンドンのアパートにもきみのお母さんの家にもだれもいなかったので、ここに電話をかけた。そうしたらきみが出た。そこで、急いで出かけてきたんだ」
「そうして、家に押し入り、襲いかかったってわけね!」ジュリエットは再び声をあげた。
「襲ったりなんかしていない!」
「それじゃ、あれはなんなの? わたしの足をつかんで引き倒して」
「きみが逃げようとしたからだ。ばかばかしい恐怖の虜になって!」
「床に押し倒したじゃない、それから……」赤くほてった頬に手をやりながら、ジュリエットは彼の手の感触を頭から追い出そうとした。「それから……わたしに触ったわ!」
「ぼくだって人の子さ。あれほど間近にいて平静ではいられない」悪びれる気配もない口調だ。
「わたしを怖がらせて、楽しんでいたくせに!」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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