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伯爵と一輪の花

伯爵と一輪の花


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・プレゼンツスペシャル
価格:900pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ダイアナ・パーマー(Diana Palmer)
 シリーズロマンスの世界で今もっとも売れている作家の一人。総発行部数は4200万部を超え、ニューヨークタイムズを含む各紙のベストセラーリストにもたびたび登場。かつて新聞記者として締め切りに追われる多忙な毎日を経験したことから、今も精力的に執筆を続けている。ジョージア州在住。大の親日家で、日本の言葉と文化を学んでいる。家族は夫と息子の三人。

解説

愛しの伯爵の愛が欲しかった。たとえ儚い夢だとしても……。

二十歳のバーナデットは今、野心家の父の道具になろうとしていた。上流志向の父は金に物言わせ、娘を没落貴族に嫁がせようと躍起なのだ。喘息持ちで体の弱い私が相手方に歓迎されるはずがないし、好きでもない人と生涯をともにするなんて、つらすぎる……。そんな窮地に陥ったバーナデットに突如結婚を申し出たのは、10年来の隣人であるスペインの伯爵エデュアルドだった。冷酷で悪名高い、16歳年上の彼とは会えば喧嘩する仲だけれど、本当は、彼を目にするだけで胸の高鳴りが止まらないほど好きなのだ。思いがけない求婚に舞いあがったバーナデットだったが、同時にエデュアルドは、うぶな彼女の心をかき乱す不埒な言葉を吐いた。「ぼくにとって愛とは、結婚指輪より、寝室にかかわることだ」

■少女の頃からエデュアルドに恋い焦がれてきたバーナデット。彼の申し出は愛なき求婚といえども、思いがけない幸運でした。彼女はけなげにも、“彼は私を愛していないと言うけれど、私の愛だけでたっぷり二人分はある”と心に思い、彼の花嫁になりますが……。

抄録

「父上の執着は度を越している」エデュアルドはひと息葉巻を吸うと、いまいましげに煙を吐き出した。「きみを危険にさらしている」
「わたしがピストルを持っていたら、ミスター・チャールズ・ラムゼイは銃弾を受けて地面に倒れていたでしょうに」
 エデュアルドは微笑むだけだった。彼の知る限り、バーナデットは銃を撃つことはおろか、弾の込め方さえ知らない。彼は黙って葉巻を吸いながら彼女を見つめていた。「不運なチャールズからは、あれからなにか連絡はあったのか?」彼はふいに尋ねた。
「一切ないわ」バーナデットは引きしまったエデュアルドの顔をじっと見つめ、彼がチャールズを殴ったときのことをまざまざと思い出した。「あなたは恐ろしかった」
「きみに対しては違うだろう」
「普段は、とても冷静な人なのに」彼女は“普段は”という言葉を強調した。
 エデュアルドがなんとも言いようのない表情になった。「どんな男にだって激しい感情はある。ぼくも例外ではない」
 エデュアルドのまなざしに、バーナデットの鼓動が乱れた。虚しい希望が胸に浮かぶのを、すぐさまかき消す。そんなものにしがみついても苦しいだけだ。彼女は目をそらし、尋ねた。「あなたも舞踏会に来るの?」
「招待されればね」彼はさらりと答えた。
 バーナデットは眉をつり上げた。「招待されないはずがないでしょう。あなたは父がなりたくてたまらない上流階級の一員なのだから」
 エデュアルドは冷ややかに笑った。「ぼくが? ぼくには半分スペインの血が流れているんだよ、知っているだろう?」彼は鞍の上で体をずらした。「祖母がスペインでぼくの縁談をまとめられないのは、妻が不審死をしたうえに、今は破産寸前だからだ。ぼくはぼくで、きみ同様、縁組みのチャンスは稀なんだよ」
 バーナデットはそんなふうに考えてみたことはなかった。「あなたには爵位があるわ」
「あるとも。だが、それはスペインでのことだし、向こうに住むつもりはない」エデュアルドはバーナデットを見つめながらも、頭は直面している破産問題でいっぱいだった。彼の亡くなった父は財産を築いたが、浪費家の母は湯水のようにそれを使った。母が牧場の資金を使い果たしたので、エデュアルドは成人して以来ずっと、必死で牧場の経営を維持してきた。母がニューヨークの小金持ちと再婚して、やっと牧場の金を吸い取られることはなくなった。再婚したその日に、母は相続権を失ったからだ。しかし、すでに受けたダメージは大きかった。
 バーナデットを見下ろしながら、エデュアルドは思いをめぐらせた。彼女の父は資産家だ。そして、爵位を持つ婿を求めている。ぼくは半分異邦人のようなものだが上流階級に属している。ひょっとすると……。
 バーナデットは深いため息をつき、また咳きこみそうになるのを抑えた。「少なくともあなたは、親の金目当ての結婚に用心する必要はないわ」
「きみは爵位や名誉のための結婚には、まるで興味はないのか?」エデュアルドはゆっくりと尋ねた。
「ひとかけらも」バーナデットは率直に言って、顔をしかめた。「バーゲンセールの商品にみたいにさらし者にされるのは、つくづくうんざりだわ」彼女は苦しげに息を吸いこんだ。そして、急に咳きこんで、また胸が痛んだ。花粉に弱いのに、うっかり花の中に長くいすぎたのだ。「もううちに入らないと」彼女はふたたび咳きこんだ。「花の香りはすばらしいけれど、ここに長居すると肺をやられるの」
 エデュアルドは顔をしかめた。「それなら、なぜここへ出てくる?」
 バーナデットはなおも咳きこんだ。「館は……父が舞踏室の壁の塗り替えをさせているの。わたし、ペンキにも弱くて」
「じゃあ、館へ入っても、舞踏室の近くではなんの解決にもならないってことか」
 バーナデットは咳払いして答えようとしたが、痰がからんで、かえってむせてしまった。
 エデュアルドは葉巻を投げ捨てると、ひらりと優雅に馬から下りた。そして、あっという間にバーナデットを抱き上げていた。
「エデュアルド!」いつになくなれなれしい態度と、体を包むたくましい腕のぬくもりにショックを受けて、バーナデットが叫んだ。彼の瞳はあまりに間近で、こめかみに温かな息を感じる。残酷な美しさをたたえた唇にだって、さわろうと思えばさわれてしまう……。
「|落ち着いて《カルマルテ》」エデュアルドは引きつったバーナデットの顔をじっと見つめて、やさしくささやいた。「キッチンを抜けて、温室に連れていこうとしているだけだ。あそこには、きみのぐあいが悪くなるような花の咲く植物はないから」そっと彼女を揺らす。「ぼくの首に腕をまわすんだ、バーナデット。棒みたいに体をこわばらせていないで」
 バーナデットはおののきながらもエデュアルドの言葉に従った。そして、彼にぴったりと体を寄せていられる喜びに内心うっとりしていた。彼は革とエキゾチックなコロンの香りがした。その謎めいた官能的な香りは、離れていてはわからない。香りによってはだめなものもある中、奇妙にも、彼の香りは彼女の肺を刺激しなかった。
 バーナデットはエデュアルドの肩にそっと頬を寄せ、目を閉じた。思わず小さな吐息がもれたのを、聞かれていないといいのだけれど。彼に抱かれて運ばれていくなんて、まるで天国だ。突然こんな幸運に見舞われるなんて、思ってもみなかった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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