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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ディザイア

ボスがくれた小さな命

ボスがくれた小さな命


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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解説

ボスからのプロポーズは、子どもに母親を与えるためだけのもの?

デリアのボスは、億万長者の会社経営者イェーガー・マクニールだ。偶然出会った彼に苦境を救われ、秘書として雇用されて2年。ボスは自分には手の届かない人だとあきらめていた彼女だったが、ある日思わぬ出来事が起こり、彼の豪邸で熱く激しい夜を過ごした。数週間後、デリアは驚愕の事態に見舞われ、イェーガーに妊娠を告げる。すると、彼は“責任”という言葉を口にしてデリアの手の甲にキスし、彼女を見つめて言った。「ぼくと結婚してくれるかい?」こんな愛情の感じられないプロポーズを受け入れるなんて無理だわ!デリアは結婚をためらうが、音信不通の名門一族と会う彼に説得され、プライベートジェットでクリスマスシーズンのニューヨークを訪れ……。

■『メールオーダー・ブライド』『この結婚は期限付き』に続いて、名門マクニール一族のいい男がヒーローを務めるロマンスをお贈りします。数々の受賞歴を誇るJ・ロックの筆才をご堪能ください。

抄録

 二人が知り合ったきっかけを思い出させるぐらいならいいだろう。あの日デリアはイェーガーに魅力を感じながらも、婚約者に裏切られたショックと自分の男を見る目のなさに絶望するあまり、彼にアプローチする余裕などなかった。イェーガーのほうも、自分の厚い胸板や水着に包まれた引き締まったヒップにちらちら目をやるデリアの視線など気にもしていない様子だった。結婚式から飛び出してきたことを涙ながらに訴えるデリアに対し、イェーガーは冷静に状況を判断し、今後の方策や彼女自身のメンツを保つ方法について助言してくれた。
 あの年はデリアも、父の所有する土地にかかる税金をおさめられずにいた。三年前に漁の事故でけがをして以来、父は以前のように地元のレストランに魚を売ることができなくなり、収入も半分以下に落ちこんでいた。だがイェーガーが彼女に仕事を与えてくれたおかげで、父は差し押さえを免れた。さらに彼は、デリアが元婚約者と距離をおいて自分自身を取り戻せる場所まで提供してくれたのだった。
 そして今、イェーガーは青い瞳に温かい光をたたえてデリアを見つめている。そこににじむものは単なる友情以上の何かなのだろうか。
「なんだ、助言するのはもっぱらぼくのほうだとうぬぼれていたのに」
 イェーガーの自虐的な笑みに、デリアの心は熱い手で触れられたかのように震えた。
「誰しも、自分の世界がひっくり返るようなショックを受けた時には最善の判断はできないものよ」デリア自身、イェーガーと初めて会ったあの日は最悪だった。結婚の誓いをするはずだった会場の近くの桟橋にあった水上バイクに飛び乗り、釣りをしていた彼を危うくなぎ倒しかけたのだ。
「ぼくが今その状態だと?」イェーガーがソファの上で姿勢を正し、二人の距離がわずかに近づいた。「今日ぼくの世界がひっくり返ったと?」
 低くかすれたその声に、これまで聞いたことがないような親密さをわずかに感じ取り、デリアの全身の肌がかっと熱くなった。彼の唇に目が吸い寄せられ、それからあわてて気を取り直す。
「そういう意味じゃないわ」呼吸が浅くなり、ささやくような声しか出ない。だが、深呼吸などしようものなら彼の匂いを胸いっぱいに吸いこんでしまう。
 彼がほしくなってしまう。
「いや、そのとおりだよ」イェーガーはデリアのあごの下にそっと触れ、顔を上げさせてその目を見つめた。「今日あの海の中で何かが起きた。ぼくたちの間で何かが変わったんだ」
 そんなのはうそだと言い返したかった。でもイェーガーの言葉は事実だと、二人ともわかっていた。
 イェーガーのこぶしはデリアのあごの下にかすかに触れたままだ。その手に頬を押しつけ、思う存分彼を感じたいという思いがこみ上げてくる。
 ばかね、どうかしているわ。そんなことをするなんて――いいえ、考えるだけでも。
「そんなもの、起きちゃいけないのよ」あくまでも上司と部下としての関係を維持し、たとえ見せかけでもプロ意識を取り戻さなければ――手遅れになる前に。「この仕事を失うわけにはいかないの」
 デリアは震える足で立ち上がり、しっかりしなさいと自分を励ましながら窓際へ歩み寄った。早く本題に戻らなければ。
「ぼくにとってもきみの仕事の手腕は得難いものだ。でもそれはなんとでもなる」背後から聞こえる彼の声はあくまでも穏やかだ。「見ないふりをすればこの気持ちが消えるとでも思っているのか?」
 静かな、けれども確かな足取りでイェーガーが近づいてくる。窓際まで来た彼はデリアと並んで立った。少し間は空けているものの、距離をおきたいという彼女の意見を聞く気はなさそうだ。近くの壁つきの灯りが彼の顔に影を落としている。
「ええ、もちろん。お互い努力すれば」デリアは自信たっぷりに聞こえることを祈りつつ、揺れる心を隠してうなずいた。「あなたもわたしも一人前の社会人だわ。二人でいる時には何よりも仕事の目標を第一に目指していくべきよ」
「今日のぼくたちのように?」彼は窓の外の一点に視線を据えながら、問いかけるように眉を上げた。
「今日のことは……例外よ。二人ともエミリーのことが心配で感情がたかぶっただけ。アドレナリンのしわざよ」単純な話だわ、と自分に言い聞かせる。
 イェーガーがデリアに向き直り、心の奥までのぞきこむように見つめてきた。「じゃ、今この瞬間はどうなんだ? これもアドレナリンのしわざか?」
 胸が激しく高鳴り、デリアは急にからからになった唇をなめた。二人を取り巻く空気が熱く燃えたぎり、イェーガーが身動きするたびに肌がうずく。これにはきっとわけがあるはずよ。懸命に頭を巡らすデリアの唇に、イェーガーの唇が重なった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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