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悪魔に捧げた純愛

悪魔に捧げた純愛


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジュリア・ジェイムズ(Julia James)
 十代のころに初めてミルズ・アンド・ブーンのロマンスを読み、それ以来の大ファン。ロマンスの舞台として理想的な地中海地方、そしてイギリスの田園が大好きで、とくに歴史ある城やコテージに惹かれるという。趣味はウォーキング、ガーデニング、刺繍、お菓子作りなど。現在は家族とイギリスに在住。

解説

結婚や妊娠を望む相手とはつき合わない。5年前、彼はそう言って去っていった……。

夫の葬儀の日、クリスティンはアナトールの訪問を受けた。夫の甥で、一族が率いる企業帝国のCEO、そして――元恋人。彼は私に、伯父を結婚の罠にかけた金目当ての女と、容赦ない言葉を浴びせるに違いない。けれど5年前、余命僅かな彼の伯父と結婚したのは、生まれてくる子に、家と家族を与えるため。アナトールに捨てられたあと妊娠を知って、途方にくれていたとき、形だけの結婚を提案されたから。でも、その事実はアナトールには知られたくない……絶対に。

■母の看病で恋に無縁だったヒロインは、恋におちた大富豪との夢のような日々から一転、どん底へ。やがて訪れた皮肉な再会は……。健気なヒロインと傲慢なヒーローのジェットコースター・ロマンスの名手、J・ジェイムズが綴る珠玉のシークレットベビー物語!

抄録

 ティアは満足げなため息をつくと、デザートワインを片手に、綿のスカートの裾をひるがえしてソファに沈みこんだ。
 アナトールが隣に座った。「ゆったり過ごそう」穏やかな声で言い、テレビのリモコンのスイッチを入れる。
 彼はコーヒーテーブルに片足を上げ、ソファの背にネクタイをかけた。のんびりしたい気分だ。シャンパンと甘いワインがほどよくまわって心地よい。ティアもそうだといいのだが。ぼくがホテルに戻る前のひとときを、くつろいで過ごしてほしい。
 ホテルに電話をしたほうがいいだろうか? いや、わざわざ電話するまでもない。彼がテレビのチャンネルを次々と変えていると、ふいにティアが叫んだ。「わたし、この映画が大好き!」
 よくできた恋愛コメディだ。彼も見ていて楽しくなった。ティアがスカートの下で素足を丸めてクッションにもたれ、画面を見つめている様子を見ていると幸せな気分になる。
 どの時点でだっただろう? 彼が再びティアのグラスを満たし、体を寄り添わせたのは? 両脚を伸ばし、片腕をソファの背にかけた瞬間、指先が彼女の肩をかすめたのは?
 彼女の肩のまわりで跳ねている巻き毛を指先で、もてあそび始めたのは?
 今夜はここ以外どこにも行きたくないという気持ちを、ついに認めたのは?
 彼の頭の中で、警告と注意を告げる良心の声が完全にかき消されてしまったのは……。
 映画は感動のラストを迎えた。ヒーローがヒロインを両腕ですくい上げ、彼女の顔に愛情たっぷりにキスをすると、音楽とともにタイトルクレジットが流れ始めた。ティアは幸せそうなため息をつくと、空になったグラスを置き、アナトールを見上げた。
 ティアの全身には、めくるめく熱い思いが渦巻いていた。シャンパンもワインも食事も、とてもおいしかった。こんな最高のディナーは初めて。それもキャンドルがともり、優しい音楽が流れる中、王子様と一緒にいるなんて。
 幸せで全身がとろけそうになり、ティアは目を輝かせた。この恋愛映画は彼女のお気に入りだ。ため息をつきながら何度も見た。だけどどうだろう。今は信じられないほどハンサムな男性がすぐそばにいる。これは夢でも空想でもなく、現実なのだ! 男の人――まして、こんなおとぎ話の主人公のような男性にこんなに近づいたことはない。
 おとぎ話がどんな結末を迎えるかは知っている。王子様がヒロインにキスをして……。
 興奮と戸惑い、そして希望を感じながら、ティアは瞳をきらめかせ、アナトールを見上げた。彼女が恋い焦がれ、夢見たものすべてを象徴している理想の男性だ。
 彼はティアを見おろしている。輝く濃い色の瞳、長いまつげ、形のよい唇。なんて美しいの。それになんてセクシーなのだろう。
 そう考えただけで体が熱くなった。思わず息をのみ、ティアは目を見開いて彼を見上げた。
 アナトールは彼女を見おろした。愛おしさがこみ上げてくる。顔も、華奢な肩のあたりにうねる金髪も、Tシャツ越しにわかる胸のふくらみも、開かれた柔らかそうな唇も。見開かれた青い瞳には、彼女が求めているものがはっきりと表れている。
 永遠とも思えるほど長い一瞬、アナトールは動けずにいた。頭の中で相反する二つの考えがせめぎ合っている――次に何をしたいか、次に何をするべきか。
 彼はためらっていた。次に何をしたいかは、絶対にするべきでないことだとわかっている。ここは体を引き、彼女から離れたほうがいい。立ち上がって距離を置くんだ。今すぐそうしなければ――。
 そのときティアが片手を上げ、震える指先で彼の顎の先に触れてきた。だがほんの一瞬だ。彼女自身、自分のしていることが信じられない様子でいる。瞳いっぱいに憧れの表情を浮かべ、吐息まじりに彼の名を呼んだ。唇を開き、目を半分閉じている。彼に恋い焦がれ、彼を待ちわびているかのように。
 アナトールはわれを忘れた。最後の良心も正気もいっきに吹き飛んだ。
 彼はティアに体を寄せた。片手を彼女の首筋にかけ、もう一方の手を柔らかな頬に滑らせ、指先で優しく髪をすくと、両手で彼女の顔を包みこんだ。ティアは目を見開いている。瞳に宿るのは星のようなきらめきだ。彼はその輝きになすすべもなく引き寄せられた。
 彼女の全身に視線を這わせると、脈拍がいっきに速まった。なんて女らしい体つきだろう。ティアはぼくにキスしてほしいと望んでいる。彼女の目を、開かれた唇を、激しく脈打つ白い喉元を見ればはっきりわかる。
 アナトールは目を伏せ、ティアに口づけした。彼女はベルベットのように柔らかく、甘いワインの味がする。探るような舌の動きで温かな唇を開かせると、彼女は小さくあえいだ。そのあえぎに脈拍がさらに跳ね上がり、興奮に全身を貫かれる。
 唇のあまりの柔らかさに、彼は思わずキスを深めた。片手をティアの肩に滑らせ、体を彼のほうへ向かせて、しっかりと引き寄せ、体を重ね合う。
 再び彼女のあえぎを聞き、アナトールの興奮はいやおうなくかきたてられた。彼女の名を呼び、いかに美しく愛らしいかを口にする。たとえギリシア語で話していたとしても気づかなかっただろう。今わかるのは、全身を巡るワインの酔いと神経の末端にまで行き渡る刺激、そしてこの腕の中にいる女性がほしいという欲望だけだった。
 彼女もぼくを心から求めている。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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