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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン文庫

琥珀の精

琥珀の精


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 サラ・クレイヴン(Sara Craven)
 イングランド南西部サウス・デボン生まれ。海辺の家で本に囲まれて育った。グラマースクール卒業後は、地元のジャーナリストとして、フラワーショーから殺人事件まで、あらゆる分野の記事を手がける。ロマンス小説を書き始めたのは一九七五年から。執筆のほかには、映画、音楽、料理、おいしいレストランの食べ歩きなどに情熱を傾けている。サマセット在住。

解説

ある日、リサのもとに、義妹から一通の手紙が届く。来月には結婚するので、実家に帰ってきてほしいという。捨てたはずの過去とわだかまりが残る、あの豪奢な屋敷に?18歳の夜――脳裏を2年前の、冷たい義兄デーンの顔がよぎる。不品行な義妹をかばったせいで、リサはふしだらな娘と蔑まれ、デーンに力ずくで組み伏せられたのだ……心から慕っていたのに。耐えきれないリサは家を出た。二度と帰らないつもりで。義妹の頼みを断る理由を考えていたとき、ふいにドアベルが鳴る。扉を開けると、そこには鋭い嘲笑を浮かべたデーンがいた。

抄録

 リサは口もきけず身動きもできなかった。悪夢を見ているような気がした。ずっと考えることを禁じていたデーンのことを考えたので、呼んでしまったのだろうか。
 ぴしゃりとドアを閉めきるつもりでリサはとっ手を握り直したが、デーンはもう中へ入っていた。彼は自分でドアを閉めた。「入らせてもらうよ」
「出ていって!」声を押し殺すようにしてリサは言った。
「それは私が決める」デーンは相変わらずの冷ややかな口調で言った。彼は初対面のころとほとんど変わらない。顔つきはもう青年のものではないが、動作は今でも野生動物のしなやかさを思わせる。デーンが近づいたのでリサは反射的に飛びのいた。彼は見下すようにしてリサを見つめた。
「緊張しなくていい。きみが素直に耳を貸せばそれだけ私は早く出ていけるんだから。二人ともそれに越したことはないだろう?」
「いったい何をしに来たの?」リサはかすれ声になってきいた。
「きみが思い浮かべているような物騒な目的を持ってるわけじゃない。リサ、もっと洗練されたふるまい方をすることだ。取りあえず、座りなさい」
「洗練されたふるまい方だなんて、よく言えますね」震え出しそうだったのでリサは両腕をぎゅっとかかえるようにした。「さっさと話をすまして、すぐ出ていってください」
「すばらしいもてなしようだ」デーンはリサの傍らを通り過ぎ、眉をちらっと上げて郵便物でふさがっているソファーを見てから真向かいの椅子に腰を下ろした。「どうしてそんなにぴりぴりしてる? 都合の悪いところへ来た、って言ってたけど、お楽しみの最中なのかい?」目に冷笑を浮かべて彼はリサの全身を眺めまわした。着古したローブの下には何も着ていないことを確かめてでもいるような視線に、リサはかっとなった。
「そんなわけがないでしょ」と言ってしまってから、ベッドルームで待っている人がいると言ったならこの人は帰ってくれただろうに、と後悔した。
「運がよかったな、きみ一人のところへ来たわけだから」と彼はゆったりと言った。「コーヒーをもらえるかね?」
 リサはちょっとの間彼をにらんでいたが、キッチンへ入るよりどうしようもなかった。頭に巻いていたタオルがゆるんだので、むしり取るようにして洗濯機のわきのかごに入れた。手が震えているのでコーヒーをなかなかパーコレーターに入れられない。トレイのしたくをしていると背後に気配を感じた。肩越しに見ると、デーンが戸口でじっと見守っている。
「お砂糖はいります?」リサは作り声で言った。
「きみは忘れっぽいんだな、リサ」皮肉っぽく彼は言った。「私は砂糖はいらない。いったい何年、同じ屋根の下にいた? 何度コーヒーを注いでくれたか覚えてないのかね」
「数えきれないくらいだわ」とリサは言った。
 デーンがゆっくりと近づいてきて、体とカウンターでリサを挟むようにして顔を上げさせ、まじまじと見つめた。金切り声をあげて彼の手を払いのけたい。それとも追い詰められた動物みたいに爪と歯を使おうか。だがこの人は力ずくで……と思うとリサの気持はいっぺんになえた。
 彼はなめらかな口調で言った。「きみは少しも変わってないね、リサ。この二年間、覚えていたとおりだ。敵意のこもった態度も、髪も目も」
 リサはほほえんだ。というよりも意味もなく口もとを広げたといったほうがいいだろう。「私も同じ言葉をお返しできるわ。髪はともかく、敵意と目だけは全然、変わってないわ。冷たいままだわ」いっそう冷えびえとした目つきになっている、と思いながらリサはそう言った。
「冷たいまま?」デーンはほほえんだ。「本当にそんなふうに思っていたの? そんなことはないだろう?」
 リサの息づかいがちょっとせわしくなる。「私がどんなふうに思っているかなんて、知りたくもないくせに。コーヒーが欲しいなら、作らせて」
 彼はあごをとらえていた手をどけてリサから離れた。リサはほっとしてその場へくずおれそうになった。
 トレイを運んでリビングに入ると、デーンはヒーターの傍らの椅子で葉巻をくゆらしていた。その葉巻の香りをかいだとたんに懐かしさでリサの胸はいっぱいになった。チャスがいつも吸っていたので、ストーニスクリフの屋敷中にかすかな芳香が漂っていたのだ。“まるで毎日がクリスマスみたい”と母は笑いながらよく言っていた。
 リサはトレイを下ろした。「紙巻きはどうしたんです?」
「一年半前にやめたんだ。吸わないほうがいい?」
「もちろん、かまわないわ」あなたのすることでそれだけはかまわないわ、と言いそうになったが何とか抑えて、リサはコーヒーを注いだ。「どうしてきくの?」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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