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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン文庫

男と女の神話

男と女の神話


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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解説

嵐にあい、船が沈没して、ローズだけがその島に流れ着いた。全裸で苦しむ金髪の美少女ローズを生け贄のように抱えて、島民たちは、白人の大富豪ジャイルズが住む屋敷へと運んだ。献身的な看病の果てに、ローズはなんとか息を吹き返す。ところが目覚めたとき、とっさに記憶喪失のふりをした彼女に、ジャイルズが言い放ったのだ。「君は僕の妻だ」と。さらには彼の娘までが「ママ」と呼び、抱きついてくる。とある事情から、素性を明かすわけにはいかないローズは、食い入るように、底知れない大富豪の瞳の奥を見つめていた……。

抄録

「信じてくれよ、ローズ。第一、なぜ僕が君の名前を知ってるんだい? それに君の右のおしりにほくろがあることを、どうして僕が知ってるんだ?」
「わからないわ」ローズはしょんぼり答えた。なぜ知っているのだろう? もちろん、ほくろは手で触れればわかるけど……ああ、こんなことが起こるなんて信じられない! なぜ降参して本当のことを打ち明けてしまわないの? それともなぜ抵抗しないの? だめ、降参はできないわ。私が男性経験のない小娘だということを知られてしまう。ああ、いやな男! 本当の記憶喪失者というのはいったいどんな気持で……その時ふとローズの頭にある考えがひらめいた。彼女は椅子にかけてあったパーレウをうしろ手につかみ、サロン風に体に巻きつけてから攻撃の構えに戻った。「あなたを思い出せないのは」とささやくように静かな声で言う。「思い出したくないからじゃなくて? このあざや切り傷はどうしてできたの? あなたを思い出したくないのはこのせいじゃない? あなたが私をなぐったからじゃないの? そうでなければ、なぜあなたの妻があなたを思い出したがらないの? ねえ、ジャイルズ?」
 さっとベッドを飛び下りた彼が逃れようとするローズの肩を両手でつかみ、そっと揺さぶった。「ばかを言うな。僕は君に指一本触れちゃいない。その傷は……いや、何があったかは言えない。でも君は僕の妻だ」その声に、ローズは寒気を覚えた。
「パパ?」隣の部屋からか細い声が聞こえてきた。「パパ、何かあったの?」
「何もないよ。お母さんと話をしていたんだ」
「ママ? ママはまだ私におやすみを言ってくれてないわ。ねえママ!」
「聞いたかい?」ジャイルズが声を抑えて言った。「僕を疑うなら疑えばいい。でもあの子は信じてる、君を必要としてるんだよ! そして僕は、あの子を動揺させるようなことだけは絶対に避けたいんだ」
「わ、私は……」ローズは言葉に詰まった。ジャイルズはしたたかな詐欺師に違いない。しかし娘までぐるになっていたとは! 一体全体どうしてあんな幼い少女がこんなふうに人をたぶらかせるのだろう。
「さあ、どうする?」
「いいわ、できるだけのことはするつもりよ。ただしあの子に対してであって、あなたに対してではないわ。私が思い出すまで、二度と近寄らないで!」
「演技だけは忘れないでくれよ」
「ベストを尽くすわ」ローズはささやくと、少し声を高くして言った。「今すぐ行くわ、ジョシー」そしてまた声をひそめた。「放してちょうだいよ」
「オーケー。さあ、一緒にあの子におやすみを言いに行こう」ジャイルズの片手がうしろに回り、ローズのおしりをなれなれしくぽんぽんとたたいた。思わず身を引いたローズは憤慨しながら戸口に向かった。「以前はそんなに気むずかしくなかったがね」ローズのあとについて廊下を歩きながらジャイルズは笑った。
 ええ、そうでしょうよ! ローズは心の中で息まいた。しかしその瞬間、パペーテの刑務所の殺伐たる光景が頭をよぎり、彼女は割りきれない思いを心の片隅に押しやって笑顔を作った。
“母と娘”が抱き合いキスし合っている間、ジャイルズは離れて立っていたが、ローズが枕を直して上がけを整え終わったところでおもむろにベッドに近づいてきた。
「パパ?」
「なんだい?」
「パパはママにキスしてないわ」
「ああ。今ここでするのかい?」
「もちろんよ。そうしないと私、眠れないわ」
 まったく手に負えない子だ、とジャイルズは思った。言いだしたら絶対にきかないのだから。ジャイルズは恐る恐るローズの腰に手を回した。彼女はうつむいている。さあ協力してくれ、と彼は心の中で呼びかけた。それが通じたのかローズが顔を上げると、同時に今まで雲に隠れていた月が再び姿を現し、部屋を銀色に照らし出した。卵形の輪郭、つややかな肌。そしてふくよかな唇にモナリザのほほえみ。よし、こうなったらあとへは引けない、と彼は思った。見事にやってみせるぞ。
 ジャイルズはかがみ込んでローズの唇にそっと唇を重ねた。すぐに離しては効果がない、とジャイルズが思ったその時、不意にローズの舌の先が彼の舌に触れ、彼の背中をひと筋の炎が突き抜けた。彼は思わず腕に力を込めると、いっそう強くローズを抱き寄せ、その甘美な熱い唇を味わった。薄い綿の布でかろうじて隠されているローズの胸がぴったりと押しつけられ、その腕が彼のうなじに巻きついてくる。ジャイルズが唇をローズの耳に移すと、彼女はかすかなうめき声とともに彼の肩をきつくつかんだが、やがて急に我にかえったように彼を突き放した。ジャイルズはしぶしぶ彼女を放した。ほどけかけたパーレウの結び目にさっと手を当てたローズは、そのまま力尽きたように気を失って彼の胸に倒れ込んだ。とっさにジャイルズは彼女を支えた。
「わっ!」ジョシーが叫んだ。「ママは眠ったの?」
「どうかな。まあ、それに近いだろうね」
「私、うまくやったでしょう、パパ?」
「ああよくやったよ、ベイビー。さあ、もうおやすみ。静かに眠るんだぞ。ママには休養が必要なんだ」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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