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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ディザイア

始まりは大富豪の嘘

始まりは大富豪の嘘


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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解説

お腹の子と3人で温かい家庭を……。その夢が叶うことはないの?

ペネロープは半月前に一夜を共にした大富豪ザックと再会し、彼の予想外の行動に驚いた。パーティの席で、彼女の腕をとるなり、周囲に宣言したのだ。「彼女はぼくの婚約者。ぼくたち、結婚するんだ」じつのところ、ザックは元恋人につきまとわれて困り果て、相手をあきらめさせるため、思いつきでペネロープを利用したのだった。ところが、ペネロープは新しい命を――ザックの子をお腹に宿していた。この婚約はしょせん偽り。本物の結婚に変わるはずもない。すでに彼に本気になっていたペネロープの胸は張り裂けそうだった。現にザックから愛されていないと感じた彼女は、いっそ離れたほうがいいと、身を引く時機と方法を考え始めるが……。

■大富豪がついた嘘に乗せられるうち、あれよあれよと彼の魅力の虜になってしまったペネロープ。けれども、彼は過去の恋愛がもとで、もう二度と女性を愛さないと固く心に誓っているようで……。ニューヨーク編集部も絶賛する気鋭のロマンス小説家の日本デビュー作!

抄録

「あとでかけ直すと言ってくれ」チェースが遠くから大きな声で、インターホンに向けて言った。
「わかりました」サムが答えて、インターホンを切った。
 ザックは兄を思いきりにらんだが、政治家であるチェースは表情を変えなかった。
「聞いてちょうだい」ペネロープも立ちあがり、ザックの目をじっと見て、静かな声で言った。「イボンヌがもっと騒いだら、あなたの結婚のスキャンダルが広まってしまう。そうなると〈ファーガソン石油〉のCEOというあなたの地位に傷がつくし、市長の支持率にも悪影響が出るわ」
 ザックはうなった。チェースの市長としての評判は、ステファニーのスキャンダルのせいですでに悪影響を受けている。ザックは政治の世界が嫌いだったが、愛する兄の評判を落とすことは避けたかった。
「口止め料としては安いほうよ」ペネロープが続けた。「あなたが結婚した事実は世間に知られてしまったけれど、結婚のことでイボンヌがあれこれつくり話をしてメディアに広めるのは、なんとしても阻止しなければならない。イボンヌはそういうことをやりかねないタイプよ。わたしは元夫や元妻や元恋人が世間につくり話を広めるケースを何度も見てきた」彼女は真剣な表情でザックを見つめた。
「イボンヌが婚姻無効をくつがえすと言い始めたらどうする?」チェースが口をはさんだ。「そうなると、いまわれわれが提示している何倍もの金を要求されるかもしれないぞ」
 チェースとザックはにらみあった。
「どうしてもいやなら」ペネロープがチェースのまねをして腕を組んだ。「タイムマシンで大みそかに戻って、ラスベガスの結婚式をとりやめて」
「できない。だが金は払いたくない」
「あなたがいやでも、そうしなければならないのよ」ペネロープの声は柔らかく、ザックは市長の誕生日パーティの夜、ベッドで聞いた彼女の甘いうめき声を思いだした。偽りのものではあれ婚約をしたのだから、これからもペネロープとベッドをともにできるとザックは期待していた。だがペネロープは、上手に彼の期待をかわしている。
「ザック」
 チェースの呼び声で、ザックはわれに返った。「わかったよ」ザックはうめくように答えた。「だから兄さんはもう帰っていい」
 チェースはほっとしたように言った。「ぼくは有力者たちとの食事会がある。ペネロープ、ありがとう」
「どういたしまして」
 チェースが外へ出て、ドアが閉まった。次の瞬間、ザックがペネロープとの距離を縮め、彼女を抱き寄せて首筋と唇にキスをした。
 ペネロープは一瞬うっとりした顔をした。
「いままでどこに隠れていたんだ?」ザックは親指で彼女の唇に触れた。
「働いていたのよ。あなたやほかの人のトラブルで」
「ステファニーがまたトラブルを起こしたのか?」
「いいえ」ペネロープはショルダーバッグを肩にかけ、携帯電話をバッグにしまった。「ステファニーは行いがよくなっているわ」
「ぼくとディナーに行こう」
 オフィスから出ようとしたペネロープが、肩越しに振り向いた。彼女は白いジャケットと白いミニスカート姿で、ブロンドの髪は頭の後ろで結んでいる。彼女が振り向いたとき、その髪が揺れた。
「でも……スケジュールを確認しないと」
「イボンヌと交渉するために、きみはぼくと一緒に人前に出なくてはならないはずだ」
 イボンヌは、ザックとペネロープが婚約していると信じている。チェースの誕生日パーティに出席した人たちも、全員が。
「わかったわ。ディナーね」
 いまにも逃げようとしていたペネロープからいい返事を引きだせたので、ザックは満足した。彼はペネロープのシャツの胸もとをじっと見た。
「そしてディナーのあと、ぼくの家に来てほしい」
 ペネロープは口を開いた。反論しようとしたが、自分がほほえんでいることに気づいて口を閉じた。
 ザックが彼女を抱き寄せた。「朝になったらきみに朝食をつくってあげよう。よければ昼食も」
 ペネロープは思わずくすくす笑った。イエスと返事をしたのと同じだ。
「夜七時前に迎えに行くよ」
「でもわたし、遅くまで仕事があるわ」
「仕事なんかしていてはだめだ。七時前だよ」
 ザックはインターホンのボタンを押し、サムに告げた。「レストラン〈ワンエイティ〉に今夜七時。ぼくとミズ・ブランドの予約をとってくれ」
「〈ワンエイティ〉?」ペネロープが驚いた顔をした。
「行ったことがあるかい?」
「一度、クライアントと」
「そのクライアントは男性かい?」
 ペネロープがいたずらっぽくほほえんだ。「さあ、どうだったかしら」
「七時前だ」ザックは念を押した。
「七時前ね」
 オフィスから出ていくペネロープを、ザックは熱いまなざしで見つめた。次に彼女に会うときは、揺れるキャンドルの炎をはさんで見つめあうだろう。そのときインターホンがまた鳴った。さっきの投資家からの電話だと、サムが告げた。
 ザックは受話器をとってすぐに顔を上げたが、ペネロープの姿はすでに見えず、オフィスのドアが静かに閉まった。


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