マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・イマージュ

クリスマスに結ばれた絆

クリスマスに結ばれた絆


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
XMDFのファイルをご覧になるにはブンコビューア最新版(無料)をインストールしてください。

「書籍ファイルが壊れています」と表示される場合は、ブンコビューアを最新版にアップデートしてください。
購入する


著者プロフィール

 スカーレット・ウィルソン(Scarlet Wilson)
 スコットランド西海岸在住。8歳で初めて物語を書いて以来、ずっと創作活動を続けている。熱心な読書家で、児童文学作家イーニッド・ブライトンを読破したのち、人気の大作シリーズなどへと移行し、やがてミルズ&ブーン社のロマンスにたどり着いた。医療従事者でもある彼女にとって、医療現場と恋愛を描くメディカル・ロマンスは夢の取り合わせだと語る。

解説

クリスマスツリーを買いに来た家族連れ。わたしたちもそうなれたら……。

ロンドンの病院で働くエイプリルは、数週間だけの予定で赴任してきた魅力的な医師のライリーを避けている。がんで命を落とした双子の妹と同じ遺伝子を自分も持っているから、男性に心を奪われ、ともに歩む未来を夢見てはいけないのだ。それに、もうすぐ予防手術を受け、子どもを産めない体になる……。ところが、ライリーの赴任期間が終わる日に驚くべき知らせが届いた。元恋人の女性が事故で亡くなり、別離後ひそかに出産して育てていた5歳の息子が遺されたという。その場に居合わせていたエイプリルは愕然とするライリーに頼られ、彼とその息子との新たな生活に深く関わっていくことになり……。

■S・ウィルソンは胸が震える物語を次々に贈ってくれる作家です。魅力の塊のような医師ヒーローと、彼に心を奪われながらも頑なに距離を置こうとする理学療法士ヒロイン。はたして二人のロマンスのゆくえは?イギリスのクリスマスの雰囲気もご堪能ください。

抄録

 ライリーは鮮やかな緑色の瞳で彼女を見つめた。そのまましばらく沈黙が続く。
「わたしの顔に何かついてるかしら?」
「昨日まで、なぜきみはぼくと口をきこうとしなかったんだい?」
 エイプリルは驚いた。「何を言っているの。患者さんたちについて、しょっちゅう話しあっていたでしょう?」
「だが、患者以外のことは何ひとつ話そうとしなかった」ライリーは彼女をしげしげと見つめたまま、さらに尋ねた。「昨日、葬式ならお手のものだと言ったのは、どうしてだい?」
 彼は職場でもこうだった。患者や同僚に向かって、訊きにくいことをずばりと訊く。
 ライリーは腕をのばし、彼女の手にふれた。「エイプリル、きみは誰かを失ったことがあるのかい? 以前、結婚していたのか?」
 エイプリルは目を閉じた。ライリーがリハビリ病院へ赴任してきてまだ四週間。噂は耳に届いていないらしい。とはいえ、職場でも全員が彼女の妹について知っているわけではなかった。
 普段なら、進んで人に打ちあけたいことではない。けれど、彼女の側は昨日から、ライリーの人生について、必要以上に深く知ってしまった。
「妹を亡くしたの」エイプリルは静かに言った。重ねられたライリーの手から、ぬくもりが全身に染みわたるようだ。
「いつ?」
「一年半前よ」
「事故に遭ったのかい?」
 エイプリルは唇をなめた。「いいえ、事故で亡くなったのではないわ」妹ががんであったことや、ふたりは双子の姉妹であったことまでは言いたくない。それはライリーが知る必要のない事実だ。
 彼は慎みを見せ、それ以上追及しなかった。「きみが妹さんの葬儀の手配を?」
「両親は娘の死に打ちのめされていたわ。わたしは何かしていたほうが気が紛れるから、進んでやりはじめたの」エイプリルは深く息を吸い、ライリーを見た。「だから、葬儀の準備なら、お手伝いできるわ。イザベルの友達の何人かと連絡が取れたら、具体的なことを決めて葬儀の手配をするから、あなたはフィンのことに集中して」
 フィンの名前を聞くと、彼はまた体をこわばらせた。
「ライリー」彼女は警告するように呼びかけた。
「なんだい?」
「また肩に力が入ったわ。怒っているのね。でも、腹を立てたって、なんの役にも立たないのよ」
 ライリーは鋭く言い返した。「怒って当然じゃないか? ぼくはこの五年間、息子がいることを知らされずにいたんだ。そのせいで、フィンにとって、ぼくは赤の他人も同然だ。こんなことになったのは、全部イザベルのせいだろう?」
 エイプリルはかぶりを振った。「いけないわ」
「いけないって、何が?」ライリーは憤懣やるかたないといった面持ちで訊き返した。
 エイプリルは彼の手の下から自分の手を引いた。「フィンの母親に腹を立てながら、里親の家を訪ねてはだめよ。あなたはおとなでしょう? 怒りはのみこみなさい。フィンはママのことをあなたに話さずにはいられないはずだわ。あなたがイザベルに腹を立てていることを感じとったら、フィンは心を閉ざしてしまう。親子の関係が台なしになってしまうわ」
「きみは子供のことを何も知らないと言っていたと思うが」
「ええ、知らないわ。だけど、病院へ来る人たちのことなら知ってる。あなただって知ってるはずよ。あなたは医者だわ。しじゅう患者さんたちの家族の相手をするでしょう?」エイプリルは口調をやわらげた。「腹が立つのはわかるわ。だから、我慢できないときは、わたしに吐きだして。弟さんにも愚痴をこぼすといいわ」彼女は窓の外の青い空に目を向けた。「妹とわたしはハグして発散したものよ。怒りを持て余したときなんかはね」
「何をしたって?」
 エイプリルは肩をすくめた。「ハグや体の接触にはストレスを軽減する効果があると、科学的にも証明されているわ。緊張をほぐすのにいいって」
 ライリーはおもしろそうに言った。「ぼくもハグで軽減しろって?」信じられないと言いたげな表情をしている。
 エイプリルはシートベルトをはずして両腕を広げた。「どうしていけないの? いかにも怒っていますという顔で家に入るわけにはいかないわ。そんなことをしたら、フィンがかわいそう」彼女は眉を上げた。「それに、ご承知のとおり、これは一回だけの申し出ですから」
 ライリーは破顔して、自分もシートベルトをはずした。「ぼくは常軌を逸してしまったに違いない」
 彼は助手席のほうへ体を寄せると、両腕にエイプリルを包みこんだ。それはやさしくて慎み深い抱き方ではなく、力いっぱいの抱擁だった。
 ライリーののびかけた髭が、頬をちくちくと刺激する。石鹸のにおいと男らしい香りが、エイプリルの感覚を洪水のように満たした。男性に抱きしめられた衝撃で、彼女ははっと息をのんだ。本当に長いこと、こんな感覚を味わっていなかった。
 これはライリーのためにしていることよ。わたしのためじゃないわ。
 でも、だったらどうしてこんな気持ちになるの?
 エイプリルは目を閉じ、この瞬間を記憶の中に刻みこんだ。
 わたしは自分で思うよりもずっと、誰かに抱きしめられたがっていたんだわ。
 ライリーが耳元でささやいた。「ありがとう、エイプリル」
「いいのよ」彼女は反射的に応えた。
 しばらくして、彼は抱擁を解いた。「さあ、息子に会いに行こう」


*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。