マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・セレクト

ギリシアの神の誘惑【ハーレクイン・セレクト版】

ギリシアの神の誘惑【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
XMDFのファイルをご覧になるにはブンコビューア最新版(無料)をインストールしてください。

「書籍ファイルが壊れています」と表示される場合は、ブンコビューアを最新版にアップデートしてください。
購入する


著者プロフィール

 シャンテル・ショー(Chantelle Shaw)
 イギリスの作家。ロンドン育ちで、頭の中でおはなしを作るのが大好きな少女だった。二十歳で結婚、第一子の誕生とともにケント州の海辺に移り、現在に至っている。浜を散歩しながら小説の構想を練るという。趣味はガーデニングやハイキング。六人の子供の母親でもある。

解説

キジアが勤めるレジャー企業グループのロンドン支社に、ギリシアの本社から社長のニコスが視察にやってきた。噂どおり、まるでギリシア神話の神のような男性だわ!初めて会ったキジアも彼の圧倒的な魅力に思わず息をのんだ。ニコスの個人秘書に抜擢されたキジアは懸命に仕事をこなしつつも、住む世界の違う彼への恋心を抑えきれない自分にうろたえていた。そんなある日、ニコスが開いた大邸宅での豪華なパーティのあと、キジアは彼から思いがけず甘い言葉をささやかれ、激しく動揺する。私は病気の後遺症のせいで子供が産めない体になってしまった。彼に跡継ぎを授けられないのだから、そっと身を引かなければ……。

■英国人作家シャンテル・ショーの日本デビューを飾った名作をお届けします。ギリシア人の傲慢なボスと生真面目な秘書の恋模様を描くオフィスものには、ため息が出るほどゴージャスな場面がいっぱい!二人と共に豪華客船の地中海クルーズをお楽しみください。

*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「溝に落ちたって、叔母さんから聞いたわ。替えのスカートと靴を持ってきていてよかった。サイズが合えば、遠慮なくどうぞ」
「恩に着るわ」キジアは心から感謝した。「ありがとう、ベッキー。五分で用意するわね」
 靴は、八センチもあるスティレットヒールの黒い靴だった。自分なら決して選ばない。とくに今夜はほとんど立ちっぱなしだ。幸い、スカートはミニではなく、それなりに丈があったが、フィットしすぎて、ヒップにぴたりと張りついている。黒い薄手ストッキングとハイヒールに合わせると、いつものキジアの控えめなスタイルとは似ても似つかず、ニコスの反応を想像してため息がもれた。
 だけど、もう時間がない。キジアは大きく息を吸い、ミセス・ジェソップのいる厨房に向かった。思いがけずニコスが彼女と話しているのを見て、足が止まった。
「やっぱり。似合うと思いましたよ」入ってきたキジアに、ミセス・ジェソップが言った。「すてきじゃありませんか、ミスター・ニアルコ?」
「とっても……目を奪われるね」ニコスは腕組みをして大型こんろにもたれている。
 じっと見つめられてキジアは赤くなり、ありもしないスカートのしわを伸ばした。仕事用のスーツに身を固めていないせいか、露骨な視線にさらされている気がしてならない。
「何を考えてらっしゃるか、わかります」キジアはもごもごと言った。
「それは困るな」ニコスは眉をつりあげた。「逮捕されてしまう」
「スカートも靴も台なしになってしまって、ベッキーが親切に貸してくれたんです。理想的とは言えませんけど……」
「その格好で何をするかによる。男の膝にまたがって踊るのかな?」皮肉たっぷりの口調だ。「さぞかし場が盛りあがるだろう」
「喜んでこんな格好をしていると思ってらっしゃるのなら、すぐにあらためてください」キジアは息巻いた。
 面白がるような表情と、もうひとつなんとも言えない表情がニコスの顔に浮かび、キジアはたまらず彼をにらんだ。性的な意識は、彼女のほうにしかないはずだ。彼がまつげを伏せる前に見せた目のきらめきは、きっと気のせいだろう。
 ニコスがこんなにすてきなのが悪いのよ、とキジアはわびしく思った。とびきり上等な黒のタキシードと純白のシャツが、金色がかった彼の肌を引き立てている。近づいてくる彼は、痛いほどの存在感を放っていた。長身なのに、身のこなしは豹のようにしなやかだ。
「頭の具合はどうだ?」ニコスがキジアの前にそびえ立った。
 キジアは思わずあとずさり、テーブルにぶつかった。「大丈夫です。何も問題はありません。信じられないかもしれませんけど、頭はしっかり働いています」澄ました顔で言ったが、彼の表情を見てキジアは妙に心がざわめいた。
 ニコスが頭をのけぞらせて笑うと、その日焼けした喉にキジアの目が吸い寄せられた。「それはよかった、|お嬢さん《ペダキ・ムー》」
 先ほどまでの怒りは消え去り、キジアはニコスの圧倒的な魅力にうち震えた。怒っているときのほうが、彼のことなど嫌いだと思えて、なにかと対処しやすいのに。
「主治医に電話して、脳震盪の症状についてきいてみた。めまいはするかい?」
 ええ。でも脳震盪のせいではない。ニコスのそばにいるから、くらくらするだけだ。
「いいえ」キジアはきっぱりと答えた。
「吐き気は?」
「ありません」
「頭痛は?」
 キジアが一瞬ためらいを見せると、ニコスの目が細くなった。
「意識を失ったのか? ほんの数秒でも。首の具合は? 鞭打ち症になっているかもしれない」
「本当に……大丈夫ですから!」ニコスが顎に手をかけ、じっと目をのぞきこんできたので、キジアは息をのんだ。「何をしているの?」
「瞳孔を調べている」低い真剣な声に、彼女の肌がざわめいた。
 時間が止まったような気がした。厨房の音もにおいもかき消え、目の前の男性に感覚が集中する。
「面白いな」永遠かと思えるようなひととき、キジアの瞳をのぞきこんだあと、ニコスはそっとつぶやいた。
 いたたまれずに、キジアは身じろぎした。顔をそむけたくても、深みのあるシェリー酒のような彼の瞳に釘づけになって動けない。
「何がですか?」キジアは息も絶え絶えにささやいた。
「きみの瞳は緑なのかグレーなのか……こんなふうにまじっているのは見たことがない。瞳孔が少しだけ開いているようだけど、どうしてかな?」ニコスの吐息が頬にかかり、キジアは息をのんで身を引こうとしたが、逆に彼の手に力がこもった。
「さあ、わかりません。でも、まったく問題ないことはわかります。もう七時ですよ」キジアは自暴自棄の心境だった。「もう階上に行かないと。お客さまへのご挨拶があります」
「ああ、すぐに行く……ただ、きみに言っておきたいことがある」


*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。