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半年だけのシンデレラ

半年だけのシンデレラ


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャシー・ウィリアムズ(Cathy Williams)
 トリニダード・トバゴの出身で、トリニダード島とトバゴ島、二つの島で育つ。奨学金を得てイギリスに渡り、一九七五年エクスター大学に入学して語学と文学を学んだ。大学で夫のリチャードと出会い、結婚後はイングランドに暮らす。テムズ・バレーに住んでいたが、現在は中部地方在住。夫との間に三人の娘がいる。

解説

キャサリンはドミニクに別れを告げようとしていた。この半年間、彼女は夢の世界に漂っていた。豪華なドレスに身を包み、毎夜パーティにくりだして、とびきりすてきなフランス人富豪の男性と熱い恋に落ちて……。でも本当のキャサリンは、平凡で控えめでまったく目立たないタイプだ。それに比べて長身で魅力的なドミニクは常に女性たちの注目の的。彼が本気で想ってくれているとは、ましてプロポーズされようとは、キャサリンは夢にも思っていなかった。あとわずかしかない命を輝かせるため、ロンドンに来ていたのだから。ドミニクを愛している。だからこそ、彼からの婚約指輪は受け取れない。

■ほかに恋人がいると嘘をついてドミニクを激怒させ、別れを告げたキャサリン。ところが、バーミンガムに戻って元の地味な暮らしを送っていた彼女のもとに、ドミニクが突然姿を現し……。人気作家C・ウィリアムズのシンデレラ・ロマンスをご堪能ください。

抄録

 一人の男性のせいで目に映るすべての色が明るさを増し、音楽はより甘く耳に響き、生活ががらりと変わってしまう──以前のキャサリンなら、そんな言葉を笑い飛ばしていただろう。しかしドミニクの出現がもたらしたものは、まさにそれだった。それまでのキャサリンの生活を白と黒で表すとしたら、今はすべてが鮮やかな色に彩られている。
 ドミニクは、いつものように最高の仕立てのチャコールグレーのスラックスをはき、白いシャツの袖を肘までまくり上げ、ジャケットを肩に引っかけている。百八十センチを超える長身に、しなやかで引き締まった体。ドミニクは瞬時に人の注目を集めるタイプだ。その優雅で無駄のない身のこなしは人を惹きつけずにはおかないし、黒髪と青緑色の瞳のきりっとした顔はうっとりするほど魅力的だ。
 もう何カ月もデートを重ねてきたのに、ドミニクが自分に惹かれていると知ったときの驚きはまださめやらない。まさかこの私に、と思った。
 でも実際は、そうではないのだ。彼が惹かれているのは私ではなく、快活で生気あふれる架空の人物なのだから。
 本当のキャサリン・ルイスは、快活でもなければ生気にあふれてもいない。ただの平凡で控えめで用心深い人間だ。ドミニクにはとても理由はわかってもらえないだろうが、ここ数カ月間、まったく別のタイプの女の子を演じていた。もうこれ以上、芝居を続けることはできない。
 確かに自由は味わった。だがその自由の代償は支払わなければならない。
 ドミニクがほほ笑みながらますます近づいてくる。その日焼けした魅力的な顔は、氷さえ溶かしそうだ。
「キャサリン、やっと会えたね」まだ少し距離のある位置でドミニクが言った。
 すぐ近くで日光浴をしている二人の若い女性が、まつげの下からドミニクを盗み見ている。彼がそばに来ると女性たちがそういう態度をとるのはいつものことだ。
「大事なお仕事中だったら、申し訳なかったわ」キャサリンは言った。ドミニクは無造作に隣に腰を下ろし、芝生にジャケットを投げ出した。
 彼にあまり近づかないようにしなければ。せっかくの決心が崩れてしまう。
「そうかな? こんなにいい天気なのにオフィスに閉じ込められているなんてつまらないと思うけど」温かく男性的な声にたちまち心がぐらつきそうになる。キャサリンは懸命に耐え、慎重に距離をとった。
「幸運なことに、あなたは出かけたいと思ったときに外に出られるのよね。会社が自分のものだから」
 ドミニクの日焼けした長い指に目をやると、初めてその指が自分に触れたときのことを思い出す。緩やかな優しい愛撫に火をつけられ、初めての激しい官能の嵐が全身を燃え上がらせたときのことを。
 キャサリンの言葉にドミニクは笑った。そういえば“君みたいに率直にものを言う人は初めてだ”と言われたこともある。“たいていの人間は、富や権力を持っている人の前では人格が変わってしまうのに、君は違うんだね”と。
 すべてを知ったら、彼は私をどう思うかしら?
「そう、幸運なことにね」ドミニクはそう応じてキャサリンに視線を向けた。
「プロジェクトの進み具合はどう?」キャサリンはきいた。話を切り出すのはもう少しあとでいい。愛してるわ、ドミニク。こんなに愛しているのに、ごめんなさい。
「本当はこんなところで仕事の話なんてしたくないんだろう?」ドミニクは頭の後ろに腕を当てて芝生に寝転がると、素早くキャサリンを隣に引き倒した。そして驚く彼女を見て低く笑いながら体に腕をまわし、今にも胸に触れそうな位置に手を置いたまま、頭を自分の肩にもたれさせた。
 キャサリンは一瞬パニックに陥り、懸命に気を静めようとした。
「君となら、仕事の話なんかよりもしたいことがいくらでもある。さしあたっては、シャンペン二本とスモークサーモンを買って僕のアパートに行き、一緒にのんびり過ごすというのはどう?」
「それはだめよ、ドミニク」キャサリンはあわてて起き上がり、膝を抱え込むように座ってドミニクを見下ろした。半ば目を閉じた彼の長く濃いまつげが、震えるように頬をかすめている。こんなにまつげが長いのに、少しも女性っぽい感じはない。それどころか、彼の顔はどこから見ても男性的だ。
 あなたは私に計り知れないほど多くのものを与えてくれたわ。私は自分勝手で臆病者なのかしら? いいえ、ただ人間的なだけなのかも。
「そうだな。こんないい天気には、アパートにだって閉じこもっていたくない。ドライブはどう?」彼の瞳の輝きに、キャサリンの全身の血はいっせいに騒ぎだした。「車を走らせて、どこでも好きなところまで行くんだ。海辺なんかいいな」
「この辺りの海辺は、あなたの思ってるようなところじゃないわ」こんな会話をいつまで続けていても仕方がない。言うべきことを言ってしまわなければ。だが、いざ真実を告げるときが来ると、なんとか少しでも先送りしたい気持に駆られてしまう。「海はたぶん灰色だし、砂は粗くて、浜辺には人がいっぱいいて……」
「君が旅行会社の社員でなくてよかった」
「私、スコットランドには行ったことがないんだけど……」
 あなたは私の人生に意味を与えてくれた。あなたのおかげで私の生活は価値あるものになった。もうそれだけで充分だ。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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