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きみの声が聞こえる【ハーレクイン・プレゼンツ作家シリーズ別冊版】

きみの声が聞こえる【ハーレクイン・プレゼンツ作家シリーズ別冊版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・プレゼンツ 作家シリーズ別冊
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★★2
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著者プロフィール

 シャロン・サラ(Sharon Sala)
 強く気高い正義のヒーローを好んで描き、業界のみならず読者からも絶大な賞賛を得る実力派作家。息子と娘、それに孫が四人いる。“愛も含め、持つ者は与えねばならない。与えれば百倍になって返ってくる”が信条。ダイナ・マコール名義の著書も出版されている。

解説

未来や遠くの出来事が見えてしまうグローリーは、人々から“魔女”と疎まれ、ずっと孤立してきた。ある吹雪の夜、グローリーは凄惨な事故の幻影を見て飛び起きた。横転した車、血まみれの男性……“彼”が助けを求めている!急ぎ病院に駆けつけ、救命に協力した――稀な血液型が一致したのだ。その男性ワイアットに絆を感じつつ、名も告げずに去った数カ月後。何者かによる放火で最愛の父と兄、そして家を失ったグローリーは、恐怖と哀しみに震えながら、虚空を見つめていた。ワイアット、どこにいるの?あなたに会いたい……私を助けて!

■ハーレクイン・ロマンスの日本上陸40周年を目前に控え、不動の三大人気テーマをご紹介します!本作は涙の作家シャロン・サラによる、不遇ヒロインを描いた不朽の感動作。グローリーの切なる心の声は、ワイアットに届くのでしょうか?

*本書は、シルエット・ラブストリームから既に配信されている作品のハーレクイン・プレゼンツ作家シリーズ別冊版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「これはひどい」
 車を降り、黒くこげた家の残骸に向かって歩きながら、ほかに言葉は出てこなかった。警察の黄色のテープが張られていて、この場所で人が死んだことを鮮烈に思い出させる。
 家がなくなっても、洗濯機と乾燥機の外枠だけは残っていて、人の命のはかなさをまざまざと見せつけていた。あちこちからまだ煙が上がっていて、山積みになった何かがくすぶっている。涼しい夕暮れの風のなかに不自然な熱気が残っていた。
 ワイアットは両手をポケットに入れ、あたりに漂う絶望の重みに背を丸めた。昨夜、助けを呼ぶ声を聞いたのに、彼は応えられなかった。彼が助けを必要としていたとき、彼女は来てくれたのに。罪の意識が耐えられないほど重くのしかかる。
「ああ、グローリー・ディクソン。あれは君だったんだろう? すまない。わかっていたら、助けに来ていたのに」
「本当に?」
 ワイアットは振り向いた。今度の声は頭のなかではなく、うしろから聞こえた。森から若い女性が出てくるのが見えたとき、幽霊を見ているのだと思った。彼女だ。病院の外で見た女性だ。
 自分の目が信じられず、ワイアットは肩越しに焼け跡を見て、また彼女に視線を戻した。突然、子犬が森から飛び出してきて、彼女の足にまつわりついた。彼はまじまじと見つめた。犬を連れた幽霊など聞いたことがない。
 ワイアットは逃げ出したい衝動をこらえて、大地を踏みしめた。「君は本物の人間なのか?」
 グローリーがため息をつき、ワイアットは彼女の息であたりの空気が動いたような気がした。それから彼女が目の前にやってきて、彼はその銀青色のまなざしに自分を見失った。気まぐれなそよ風が彼女の髪をなびかせ、つかの間、それは翼のように宙に浮いた。ワイアットはまた、彼女はまるで天使だと思った。
「どうして来たの?」グローリーが小声で言う。「どうしてわかったの?」
 その声で我に返り、ワイアットはまばたきをして、現実の世界に気持ちを向けようとした。目にしているものが信じられず、彼女の髪を指ですくう。それは絹のような手ざわりで、不自然なところはどこにもない。
「僕の名前を呼ぶ君の声が聞こえたんだよ」指に巻きつけた彼女の髪を見つめながら、ワイアットはつぶやいた。
 グローリーは驚いて息をのみ、あとずさった。私は彼に血液以上のものをあげてしまったの? 私のなかの何かをあげてしまったの?
 恐怖に引き寄せられ、彼女は黒くこげた家の残骸に視線を向けた。不意に涙があふれ、静かに頬を流れた。
 ワイアットは両腕を広げた。驚いたことに、彼女はためらうことなく腕のなかにはいってきた。
「ご家族のことは本当に気の毒だったね」彼は言い、グローリーをきつく抱きしめた。「でも、君が生きていると知ったらみんな喜ぶだろう。君の用意ができたら町まで連れていってあげよう」
 彼女の体から力が抜け、一瞬、気を失うのではないかとワイアットは思った。だが、そうではなくグローリーはただ身を引いただけだった。不安を感じ取り、ワイアットは彼女を放した。
「町にはまだ行けないわ」彼女は静かに言った。
 ワイアットは驚きを隠せなかった。「なぜ?」
「この火事が事故じゃないからよ。誰かが私を殺そうとして、父と兄が犠牲になってしまったの」
 彼は思わずグローリーの腕を取っていた。「どういう意味だ? 放火だというのか?」
「最初は火事じゃなかったわ。爆発があって、そのあとで火事になったの」
 グローリーは目をそらした。きっと彼は信じない。いつだって誰も信じてくれない。
「そうか。それなら警察に話したほうがいい。署長ならいい考えがあるだろう」
 グローリーが向き直った。森のなかから出てきて初めて、ワイアットは彼女の瞳に光を見て取り、彼女の声に燃えるような怒りを感じた。
「だめよ。あなたはわかっていないのよ。警察はここに来て焼け跡を捜索する。そして、三人ではなく二人の遺体を見つけるわ。そうしたら誰がやったにしても、犯人はまた私を殺そうとする。どうしたらいいのか考える時間が必要だわ」
 ワイアットは顔をしかめた。「誰がやったにしても? 君は知っているのかと思った」
 グローリーはかぶりを振った。
「それなら、どうして事故ではないとわかったんだい?」
 彼女は顎を上げ、鋭いまなざしでワイアットの反論を封じた。「私にはそこにないものが見えるの。何かが起こる前にそれがわかることもあるし、何かが起こっているときに見えることもある。でも、どんなふうに見えるにしても、私はただ……自分が何を知っているかわかっているの」
 ワイアットは深く息を吸った。彼も聞こえるはずのないものを聞いている。いまは聞くこと以上の何かができると言われて、彼女を疑うことはできない。「君は超能力者だということかい?」
「そう呼ぶ人もいるわ」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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