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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ディザイア

残酷なクリスマス

残酷なクリスマス


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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解説

お腹に赤ん坊がいることを告白したら、また二人の関係は終わるのだろうか。

あともう少しでクリスマスだというのに、マイケル・ケリーが同じ階に引っ越してくるなんて!新しい部屋に移ったばかりのシャーロットは茫然とした。彼女はニューヨークの不動産王マイケルと付き合っていたが、真剣な恋愛をするつもりのない彼との関係に疲れ、別れを告げた。だが、別離の直後にマイケルの子供を妊娠していることに気づき、ひとりで子供を産み、育てる決心をしたばかりだったのだ。“僕は父親になどなりたくない”と宣言したマイケルにまた魅せられ、妊娠を知られたりしては絶対にだめ。ところがある雪の夜、偶然でくわした彼と熱いキスを交わしてしまう。

■K・ブースは大都会を舞台にしたセクシーな作品で人気急上昇中の作家。本作では、日本デビューを飾った『愛と裏切りの婚約指輪』でヒーローの妹として顔を見せていたシャーロットがヒロインを務めます。不動産王の子供を予期せず身ごもった彼女の運命は?

抄録

 シャーロットがコートをはおろうとすると、マイケルは以前の習慣のせいで、つい袖を持ち上げてしまった。
 シャーロットが乱暴に彼の手を振りほどいた。「やめてちょうだい。ひとりでできるわ」
「一階までいっしょに下りよう」
「階段で下りるつもりだったんだけど」
「ぼくもさ」
「だったら、好きにするといいわ」彼女は階段を下りはじめた。左右の手すりを同時につかんでいるのは、並んで歩きたくないからだろう。
 ロビーまで下りると、マイケルは彼女を引き止めた。「シャーロット、ちょっと待ってくれないか」そう言って腕をつかんだものの、すぐに放した。彼女の顔に軽蔑の表情が浮かんだからだ。「イギリスに行くときにアパートメントを引き払ったと言っていたな? 向こうで暮らすつもりだったのか?」アメリカを離れたタイミングが、不自然なような気がする。シャーロットは彼を捨て、完全に姿を消した。ヨーロッパに渡ったという話を聞いたのは、それからしばらくあとのことだった。
「いつまでロンドンにいるのか、自分でも決めていなかったのよ。アパートメントの賃貸契約もちょうど切れかかっていたから、家財道具をトランクルームに預けて、イギリスに行くことにしたの」
 マイケルは肩をすくめた。「けっこうなご身分だな。果たすべき責任がないから、逃げたくなったらすぐに逃げ出すわけか」
「あのときは人生を組み立て直そうとしていたのよ。それで、叔母さまといっしょに暮らしていたの」
“人生を組み立て直そうとしていた”意味はよくわからなかったが、難問に直面したとたんに逃げ出すのは、いかにもシャーロットらしい。「ピンチになるたびに逃げていたんじゃ、話にならない。ぼくは父にそう教わったぞ」
「わたしがイギリスに行った理由も知らないくせに、思い込みだけで語るのはやめてちょうだい」
「だったら、その理由とやらを聞かせてくれ」
「話せないわ」
「ぼくが言いたいのは、人は困難を乗り越えねばならないということだ。ぼくたちが付き合っていたころも、些細なトラブルでつまずくたびに、きみはぼくに助けをもとめていたはずだ」
 シャーロットは怒りに頬を紅潮させた。「まず第一に、わたしはあなたに助言をもとめていない。第二に、あなたはもっと女性のことを勉強すべきね。わたしは、あなたに助けをもとめていたわけじゃないわ。話を聞いてもらいたかっただけよ」
「わかった。それならきみの話を聞こう。イギリスに行った理由を話してくれ」
「いまさら“話を聞こう”と言っても手遅れよ。さよなら、マイケル」彼女はビルのドアを開けた。
 あいかわらずだな、とマイケルは思った。彼女はいつも芝居がかっている。
「あっ」シャーロットが声をあげる。「リリーに車を呼んでもらうのを忘れちゃった」
 マイケルは、ためらいがちに歩道を進むシャーロットを追いかけた。「車で送ろうか? それがいやなら、ぼくがリリーに電話するが」
「放っておいて。自分でタクシーを呼ぶわ」
「それなら、ぼくに送らせてくれ。これだけ寒いと凍えてしまうぞ」
 マイケルが足を前に踏み出すと、シャーロットは彼に鋭い視線を投げかけた。彼女の吐く息は白く、頬は赤く染まりつつあった。
「わたしは寒いのが好きなのよ」
「見え透いた嘘はやめるんだな。寒いのは嫌いなはずだ」
「あなたは、わたしのことを知っていると思い込んでいるだけなのよ。ほんとうは何も知らないくせに」
 話がまるで噛み合わないな、と彼は思った。これ以上、彼女のあてこすりに耐える気にはなれない。「わかった。それなら、いい一日を過ごしてくれ」彼はシャーロットに背を向け、駐車場を目指して歩きだした。
「あなたなんて、最悪の一日を送ればいいのよ!」背後から彼女の声が聞こえた。
 そうだな。たしかに最悪の一日になりそうだよ。
 通りの角を曲がり、車に乗り込む。駐車場から車を出すと、シャーロットが見えた。歩道で足を止め、タクシーを探している。彼の口からため息がもれた。ウインカーを点滅させて右折し、彼女を置き去りにするのは簡単だ。だが、頭の中では、もう一人の彼が小声でささやいていた。“おまえは罪の埋め合わせをするべきだ”と。彼女の話が曖昧すぎて、過去に犯した罪とやらが何なのかが、よくわからなかったとしても。
 運転席のウインドウを下ろすと、凍てつくような空気が流れ込んできた。「シャーロット、乗るんだ。送っていくよ」
「すぐにタクシーが来るはずよ」彼女は目も合わさずに言った。
「助手席のシートヒーターのスイッチも入れるから」
 シャーロットは振り返った。きらめくブルーの瞳は、これだけ距離を置いても魅力的だった。「それなら、乗せてもらうわ」
 シャーロットが寒そうに首をすくめて助手席の側にまわると、マイケルは運転席のウインドウを閉めた。シャーロットが座席に体を沈めると、バニラのような甘い香りが鼻を刺激した。狭い車内で彼女と二人きりになったという事実を、いやというほど意識させられる。下腹部がたちまち激しい反応を示した。
「慎重に運転すると約束して」シャーロットは送風口の前で手をさすると、彼の許可も得ずに勝手にヒーターの目盛りを上げた。
「ぼくがどんな男なのかは、きみにもわかっているはずだ。ぼくの辞書に“慎重”という文字はないのさ」


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