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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ディザイア

御曹司の冷たい執心

御曹司の冷たい執心


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ティファニー・ライス(Tiffany Reisz)
 エロティカ作家としての道を進むため、厳格な神学校を中退したという異色の経歴を持つ。“誰かが傷つかなければ、それはエロティカではない”を信条に、この特殊なジャンルにおけるすべての取材やリサーチを精力的にこなしながら、執筆活動を続けている。アメリカ南部ケンタッキー州在住。

解説

美しい御曹司にかなわぬ恋をした。ドレスを着てもお姫様にはなれないのに。

フラッシュは生活費のために溶接というきつい仕事をこなしながら、2年前から副社長のイアンに片想いをしていた。富と権力に恵まれた彼は、大学も出ていない私の手の届く人じゃない。たとえ半年前、二人で夢のような一夜を過ごしていたとしてもだ。その証拠にイアンは翌日、てのひらを返すように私をあっさり捨てた。パーティの夜、背伸びしてドレスを身にまとい、彼に会いに行ったら、入口で警備員に追い返された屈辱は、いまも忘れられない。耐えきれなくなったフラッシュは、ついに会社を辞めると彼に告げた。するとこれまで無関心だったイアンから、突然自宅へ招待される。最後に私をもてあそぶ気?それでも彼女の心は自然と浮き立って……。

■数々の賞を受賞してきた実力派、T・ライスがハーレクイン・ディザイアに初登場です!ヒーローの人生の伴侶にはなれないと知っているヒロインは、彼と一緒にいたい一心からベッドだけの相手に甘んじようとしますが、その願いも拒絶されてしまいます……。

抄録

「ほかには何もされなかったんだろう?」イアンはグレーと茶色がかったブロンドの髪を額からかき上げた。かがむとその髪が目にかかってすてきなのだが、長めなので高級スーツには似合っていなかった。
「いまはもう関係は良好だわ。何カ月も、あの人たちの車のドアは溶接していない」
「いつ訴えられてもおかしくない君にしては何よりだ」
「私があなたの従業員の中で唯一の女だから?」
「君がどうしようもなく無鉄砲だからだ」
「気に入らない女はそう呼ぶの? それで気が晴れる?」腕組みをしたフラッシュは、平静を装ってドア口に寄りかかった。
 イアンはしばらくしてうなずいた。「君の言うとおりだ。僕が言いすぎた」デスクに肘をつき、両手の指を組みあわせた。「すまない」彼女が姿を現すといつもそうなるように、副社長の顎には力がこもっていた。
 フラッシュは肩をすくめた。「べつにいいの。あなたに捨てられてから、私もあなたのことは、ありとあらゆる言い方で呼んだから」
 いきなり立ち上がったイアンが、フラッシュを中に引っぱりこんでドアを閉めた。「声を落としてくれ。会社の評判をなんだと思っている」
「だったら、どうして私なんかを雇ったの?」
「雇ったのは僕じゃない。父だ」
「そうだったわ。だったら、なぜ私をくびにしなかったの?」
「技術が優れているからだ」
「あなたも悪くなかったわ」フラッシュはウインクをした。失うものは何もないので、くるりと背を向け、イアンのデスクの上に座って脚を組む。
「あの夜のことを言ったわけじゃない」
「ああ……“あの夜”ね。私がベッドですごくよかったから、そういう名前をつけたの?」
「あの夜の僕たちは無分別で、酒を飲みすぎていた」
「いいえ、あなたはビール二本、私はウイスキーを二杯飲んだだけで、どちらも下戸じゃない。判断の誤りをお酒のせいにしないで」フラッシュは顎を上げた。「本当に判断の誤りだったの?」
「そのとおりだ。君とこんな会話をしていることが証拠だろう。僕は従業員とこういう話をしたくない。いいボスになろうとしているのに、君は邪魔ばかりする」
 フラッシュは申し訳ない気持ちになりかけた。でもお金持ちでハンサムなイアンは、数百万ドルももらえる副社長という地位を父親からリボン付きで贈呈された。そんな人に同情する必要はない。
 それでもイアンは百八十五センチの長身で、肩幅が広くて、ベッドではいやになるほど最高だと、半年前の“あの夜”のおかげでわかった。それ以来、私は彼を忘れられないでいるけれど、そのことを伝えるつもりはない。イアンは知らなくていいからだ。彼は知らないままのほうがいい。
「かわいそうに」フラッシュは頭を振った。「欲望の犠牲になっただなんて映画になりそうだわ。あなたの役は、クリス・ヘムズワースに演じてもらう? 髪の色も肩幅もそっくりだから」
「フラッシュ」イアンは腕組みをしようとして思い直したらしく、両手をズボンのポケットに入れた。
「何かしら、イアン?」
「君は僕をイアンと呼んでいい立場ではない。そう呼ばれると、二人はボスと従業員以上の関係なのかと周囲に思われてしまう」
「しばらく前、私はあなたの家のシャワーで、背中からあなたの体液を洗い流した。とんでもなく激しいひとときを過ごしたあとで、あなたがそこに放ったからよ。なのに、どうしてただのボスと従業員なのか、もう一度説明して」
「フラッシュ」
「はい」フラッシュは赤毛のショートヘアに指をくぐらせた。長く伸ばしていた髪を無造作に短く切ったのは二年前のことだ。なんといっても、長い髪と建築現場は相性が悪い。それに、職場の中年男性たちをぎょっとさせるのは楽しかった。
「用はなんだ?」イアンがきいた。「さっさと言ってここから出ていき、僕に仕事をさせてくれ」
「仕事って、私のことを考えながら自分に触る行為を言ってるの?」
「フラッシュ、頼むから」イアンの猛烈に不愉快な顔に、彼女は大笑いするのをこらえた。ハンサムで冷静な男性が、恥ずかしがる姿はかわいい。
「フラッシュって私の本名じゃないの。本当の名前はヴェロニカ。そう呼んでいいのに。あの夜は呼んでくれたでしょう。“あの夜”は」指で引用符を作って強調する。
「みんなはフラッシュと呼んでいるが」
「私の中にいたときのあなたは、ヴェロニカと呼んだわ」
「フラッシュ、この――」
「“この”も私の名前じゃない。私の名前を言って。そうしたら、なぜここに来たか話すわ」
 イアンはポケットから両手を出し、姿勢を正して近づいてきた。身をかがめればキスができるくらいの距離なのに、彼にその気はないのが残念だ。
「ヴェロニカ……」ささやきほどの小声で、イアンが言った。あの夜と同じ言い方に、フラッシュはもはや彼をからかえなくなった。だから、私はずっとなんの意味もないふりをしたかったのだ。イアンに名前を呼ばれ、見つめられては、無関心でいられなくなるから。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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