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妻と呼ばないで【ハーレクイン・セレクト版】

妻と呼ばないで【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ナタリー・リバース(Natalie Rivers)
 英国サセックスの田園地方で育つ。シェフィールド大学在学中に現在の夫と出会い、ひと目で恋に落ちたという。卒業後、二人でロンドンに移り住み結婚、そして二人の子供に恵まれる。医療検査機関の研究所の職員、小学校教師という前職を経て、現在は母親とロマンス作家というすばらしい二つの職業に就けて幸せだと語る。

解説

秘書のクロエは、名家出身のイタリア人実業家の上司、ロレンツォ・バレンテにひそかに思いを寄せてきた。億万長者である彼にプロポーズされるとは夢にも思わなかったので、今日、ベネチアの教会で結婚式を挙げた幸せに身を震わせた。ところがその夜、クロエが愛の言葉を口にしたとたん、ロレンツォは激怒して言ったのだ。「この世に愛など存在しない」良い妻になりそうな彼女をあくまで理性的に選んだだけだと。クロエは絶望のあまり、彼の瀟洒な邸宅から逃げ出した――。3カ月後、イギリスの小さな村で暮らすクロエの前に、険しい表情を浮かべたロレンツォが姿を現し……。

■“愛を欲しがるのは愚か者だけ”――そう信じて疑わない冷酷なボスに恋してしまった純真な秘書。報われぬ想いのゆくえは……?セクシーで波瀾万丈な、愛なき結婚物語!

*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 個人秘書として二年間彼に思いを寄せてきたが、信じがたい魅力を持つベネチア出身の上司への片思いが報われる日など絶対に来ないと思っていた。こちらは平凡なイギリス女性なのに、彼のほうはベネチアでもっとも歴史のある高貴な家柄の出身というだけでなく、国際的な評価も高い億万長者の実業家だ。彼は別世界の人だから、結婚などできるはずがないと思い込んでいた。
 ところが、ほどなくロレンツォからデートに誘われたのだ。
 はじめはとても本気にはできなかった。彼が経営する会社のロンドン事務所で働きはじめて以来、このうえなく洗練された上流階級の女性たちが彼の腕にぶらさがっている光景を絶え間なく目にしてきたからだ。どれもすらりとした長身の美女ばかりで、つやのある豊かな髪をふわりとなびかせ、男性をベッドに誘っているようなくすぶった目をしていた。
 クロエの容姿はといえばその正反対だった。背が低く、髪はブロンドで、体にめりはりはあるものの、色白の顔はそばかすだらけ。淡い緑色の瞳はマスカラやアイシャドーをほんの少し濃い目に塗っただけでやりすぎに見えてしまう。
 はじめは彼女も疑っていた。だって、ロレンツォみたいな立派な男性が自分のような目立たない女に関心を寄せるなんてありえない話だから。それでも、やはり彼の魅力には抵抗できなかった。クロエの私生活につむじ風のごとく侵入してきた彼は、いかにも情熱的なイタリア男性らしい、せっかちな強引さで彼女を口説いた。
 ためらいが跡形もなく消え去るまで、たいして時間はかからなかった。これまでつき合ってきた女性たちはつかの間の気晴らしにすぎず、彼にとっては自分が特別な存在なのだということがクロエにもわかってきた。
 愛しているという言葉を一度も聞いてはいないけれど、自分の感情を細やかに表現するのは彼の趣味ではないのだと気づいた。ベネチアの邸宅に招待されたとき、ロレンツォはふたりの将来について語り、子どもが欲しいという話までした。彼女にしてみれば、それにまさる愛と誓いの表現など存在しなかった。
 だから、自分のすばらしい第二の人生が始まるのだと信じて――その生活がいつまでもつづくと信じて、彼のプロポーズを喜んで受け入れた。
「二階へ行こう。愛しいきみの情熱のほどに期待しているよ」ロレンツォの声がかすれている。「きみとの結婚をぼくがどれほど喜んでいるか教えてあげよう」
 彼の顔を見あげたとたん、幸せの涙がこみあげて目頭が熱くなってきた。自分が格別すてきな女性だとは思わないし、セクシーだとか美人だとか、うぬぼれたこともない。ただ彼が自分をそんなふうにほめてくれるのが言葉にできないほど嬉しかった。
 その顔を眺めていると、この午後ずっと口にしていたシャンパンよりもっと強烈に彼に対する愛情と幸福感とが体を駆けめぐるのを感じた。そのときふと、あることが頭に浮かんだ。
 あなたを愛しているわ。
 簡単な言葉なのに、一度も彼に言ったことがない。いままで、どちらも相手にそういう愛情表現をしたことがなかった。
 はじめのうちは自分の気持ちを認めるのが恥ずかしかったけれど、いまはもう以前のクロエではない。わたしたちはもう結婚したのよ。教会で人々の前に立ち、終生変わらぬ誓いを交わした仲ですもの。そう思うと幸福感がこみあげてくる。
 体の中を飛びかっている言葉をふいに口にしたくてたまらなくなった。
「あなたを愛しているわ」
 するとロレンツォのようすが激変した。あまりのすさまじさに、その言葉が凍りついて空中に砕け散ったような気さえした。とてつもない恐怖におそわれた彼女は自分が大きな過ちを犯したことに気づいた。
「愛だって?」耳ざわりな声に彼が受けたショックの大きさが現れている。「なぜ、そんなことを言い出すんだ?」
「だって……わたしの正直な気持ちですもの……」恐ろしい彼の形相から目を離せず、口ごもりながら答える。
「どういうつもりで、そんなふざけた言葉を口にしたんだ?」黒々とした眉根をいぶかしげに寄せながらロレンツォは詰問した。「知ってのとおり、きみは承知してくれているとばかり思っていたが。ぼくたちの結婚はそういうものじゃない」
「でも……」言葉がつづかない。ふいにクロエは胃がむかつくほど不安におそわれた。この人はなにが言いたいのだろう?
「これは、あくまで現実的な取り引きなのに」彼は噛みつくように言った。「きみなら妻の役が完璧にこなせるだろうし、理にかなった実際的な取り引きのほうが危険をはらむおおげさな感情表現よりはるかにすぐれている。そういう話をしたはずじゃないか。そうした件について、きみはずっとぼくの意見を理解してくれていると思っていたが」
「意味がわからないわ」わけのわからない恐怖感の中でクロエは彼を見つめた。胸の鼓動がむかつく痙攣をともないながら激しさを増したのがわかる。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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