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解説
優良企業アルトモーツの営業・曽根昴は朝、目が覚めると猫になっていた。しかも、恋人で優しいはずの会社の先輩・本間祥一は猫が嫌いで、猫になった昴には冷たい。困っていた昴を助けたのは、社長の甥でライバルの小此木克行だった。昴は果たして猫のままなのか? また、昴の初体験の相手はどっちに!? キュートでお茶目なラブ・コメディ!
抄録
「昴? どうした?」
目から大粒の涙を流している昴を見て、小此木は我に返ったようだ。先ほどまでの怒髪天をつくような怒りは影を潜めている。
『俺が馬鹿だった』
「泣いているのか? ね、猫も涙を流すのか?」
小此木は猫の涙に動揺していた。
『馬鹿だ』
「昴?」
『綺麗さっぱり騙されて有頂天になった俺が馬鹿だった。騙されていた自分に腹が立つ。なんであんな男に騙されたんだ』
憑き物が落ちたように、本間への想いがなくなっていた。
「悪い、俺が怖かったか? お前のことを怒ったんじゃないぞ。俺は自分自身に腹が立ったんだ。ぼやぼやしている俺が悪かった」
小此木は猫が思い違いをしていると考えたようだ。
『俺も馬鹿だったけど、確かに、お前も悪いっ』
昴は小此木に向かって叫びだした。どこか狼の遠吠えに似ていないこともない。
「昴、どこか悪いのか?」
『いや、お前のほうがずっと悪いかもしれない。俺はお前に嫌われているとばかり思ってた。友達に部屋を借りてまで、このマンションに引っ越してくるんだったら、さっさとなんか言ってくれりゃよかったんだよ』
昴は泣き喚いた。
小此木には小さな怪獣が喚いているようにしか聞こえない。
「昴、メス猫にフラれたショックか?」
昴は覗き込んできた小此木の頬を引っかいた。
『馬鹿野郎ーっ』
「どうしたらいいんだ?」
小此木は、昴渾身の爪痕を手で擦っている。
『好きだったら、好きって言えーっ』
「昴、もし、お前が何かの病気でも安心しろ。俺が必ず治してやるからな。お前はなんの心配もしなくていいぞ」
猫の具合が悪いと思ったのか、小此木は真剣な顔で受話器を取った。
『どこに電話するんだ?』
「救急車を呼ぶからな」
昴は受話器を待った小此木の手に噛みついた。
『馬鹿ーっ、猫のために救急車が来るかーっ、俺は猫なんだぞ。猫じゃなかったら、お前の恋人になってやる。おい、俺を人間に戻せーっ』
昴は猫でいることが悔しくてたまらなかった。
「痛……昴、そんなに興奮して……」
『俺、一度もヤってない』
昴は自分でもわからないけれども、清らかに生きてきた人生を振り返ってしまった。清らかに生きようと心がけていたわけではないのに、清らかに生きてしまったのだ。
「昴?」
『一度ぐらいヤりたい』
目の前に誰よりも熱くて魅力的な男がいた。それも、昴を情熱的に愛している男だ。自分のものにしたくてたまらなくなる。もう、いてもたってもいられない。
「昴、腹が空いたのか?」
『俺、お前とヤりたいーっ』
猫の姿は理性を奪うのか、昴は小此木を押し倒した。もっとも、小此木の顔に飛びついただけだ。
「うわっ……」
小此木は背中からフローリングの床に倒れた。
『ヤれーっ』
昴は喚きながら、小此木の唇にキスをした。いや、正確にいえば、小此木の薄い唇をぺろぺろぺろと舐めた。
昴の涙がぽろぽろと小此木の頬に落ちる。
「昴、もしかして、俺を慰めているのか?」
『俺は悔しい』
猫でいることがもどかしくて仕方がない。身体中の血が逆流しそうだ。事実、どこもかしこも熱い。
「俺が悪かったんだよ。曽根にさっさと好きだって言えばよかったんだよな。今からでも遅くないのかな? でも、肝心の曽根がどこに行ったかわからないんだよ」
『ここにいるーっ』
*この続きは製品版でお楽しみください。
目から大粒の涙を流している昴を見て、小此木は我に返ったようだ。先ほどまでの怒髪天をつくような怒りは影を潜めている。
『俺が馬鹿だった』
「泣いているのか? ね、猫も涙を流すのか?」
小此木は猫の涙に動揺していた。
『馬鹿だ』
「昴?」
『綺麗さっぱり騙されて有頂天になった俺が馬鹿だった。騙されていた自分に腹が立つ。なんであんな男に騙されたんだ』
憑き物が落ちたように、本間への想いがなくなっていた。
「悪い、俺が怖かったか? お前のことを怒ったんじゃないぞ。俺は自分自身に腹が立ったんだ。ぼやぼやしている俺が悪かった」
小此木は猫が思い違いをしていると考えたようだ。
『俺も馬鹿だったけど、確かに、お前も悪いっ』
昴は小此木に向かって叫びだした。どこか狼の遠吠えに似ていないこともない。
「昴、どこか悪いのか?」
『いや、お前のほうがずっと悪いかもしれない。俺はお前に嫌われているとばかり思ってた。友達に部屋を借りてまで、このマンションに引っ越してくるんだったら、さっさとなんか言ってくれりゃよかったんだよ』
昴は泣き喚いた。
小此木には小さな怪獣が喚いているようにしか聞こえない。
「昴、メス猫にフラれたショックか?」
昴は覗き込んできた小此木の頬を引っかいた。
『馬鹿野郎ーっ』
「どうしたらいいんだ?」
小此木は、昴渾身の爪痕を手で擦っている。
『好きだったら、好きって言えーっ』
「昴、もし、お前が何かの病気でも安心しろ。俺が必ず治してやるからな。お前はなんの心配もしなくていいぞ」
猫の具合が悪いと思ったのか、小此木は真剣な顔で受話器を取った。
『どこに電話するんだ?』
「救急車を呼ぶからな」
昴は受話器を待った小此木の手に噛みついた。
『馬鹿ーっ、猫のために救急車が来るかーっ、俺は猫なんだぞ。猫じゃなかったら、お前の恋人になってやる。おい、俺を人間に戻せーっ』
昴は猫でいることが悔しくてたまらなかった。
「痛……昴、そんなに興奮して……」
『俺、一度もヤってない』
昴は自分でもわからないけれども、清らかに生きてきた人生を振り返ってしまった。清らかに生きようと心がけていたわけではないのに、清らかに生きてしまったのだ。
「昴?」
『一度ぐらいヤりたい』
目の前に誰よりも熱くて魅力的な男がいた。それも、昴を情熱的に愛している男だ。自分のものにしたくてたまらなくなる。もう、いてもたってもいられない。
「昴、腹が空いたのか?」
『俺、お前とヤりたいーっ』
猫の姿は理性を奪うのか、昴は小此木を押し倒した。もっとも、小此木の顔に飛びついただけだ。
「うわっ……」
小此木は背中からフローリングの床に倒れた。
『ヤれーっ』
昴は喚きながら、小此木の唇にキスをした。いや、正確にいえば、小此木の薄い唇をぺろぺろぺろと舐めた。
昴の涙がぽろぽろと小此木の頬に落ちる。
「昴、もしかして、俺を慰めているのか?」
『俺は悔しい』
猫でいることがもどかしくて仕方がない。身体中の血が逆流しそうだ。事実、どこもかしこも熱い。
「俺が悪かったんだよ。曽根にさっさと好きだって言えばよかったんだよな。今からでも遅くないのかな? でも、肝心の曽根がどこに行ったかわからないんだよ」
『ここにいるーっ』
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