和書>小説・ノンフィクション>ボーイズラブ小説>花嫁
著者プロフィール
日向 唯稀(ひゅうが ゆき)
2月11日生まれ。水瓶座のAB型。関東出身在住。著作多数。オヴィスノベルズでは「マイダーリンシリーズ」全7冊、「誘惑シリーズ」全11冊を上梓。
2月11日生まれ。水瓶座のAB型。関東出身在住。著作多数。オヴィスノベルズでは「マイダーリンシリーズ」全7冊、「誘惑シリーズ」全11冊を上梓。
解説
「これまで見てきたどんな花嫁よりも綺麗だ」
一度は余命三ヶ月と宣告されるも、九死に一生を得た優麗なる若社長・白石は、現在五年生存率25%という癌の再発防止治療の日々を送っている。不安にかられる白石を心身共に支えていたのは、二十年来の親友であり主治医でもある天才外科医・黒河。積み重ねた友情の上に実った愛は熱く甘く激しくて、すべてが光り輝いていた。が、そんな矢先に白石は、見知らぬ男に拉致監禁されてしまい!?
一度は余命三ヶ月と宣告されるも、九死に一生を得た優麗なる若社長・白石は、現在五年生存率25%という癌の再発防止治療の日々を送っている。不安にかられる白石を心身共に支えていたのは、二十年来の親友であり主治医でもある天才外科医・黒河。積み重ねた友情の上に実った愛は熱く甘く激しくて、すべてが光り輝いていた。が、そんな矢先に白石は、見知らぬ男に拉致監禁されてしまい!?
抄録
「――――帰ったぞ」
と、完全にシーツを敷き終え、ベッドマットを包み込んでいないうちに、黒河は帰宅した。
「あ、療治。ごめん、気づかなかった。お帰り」
すっかりベッドに懐いていた白石は、慌てて身を起こした。
黒河を横目に、シーツの端に手を伸ばした。
「なんだよ、一人でブツブツ言ってたのかよ。話し声がしたから、てっきり野上と電話でもしてるのかと思った。今から早急の仕事を持って行きます――――とかってさ」
黒河は、手鞄をベッド横に置かれたシングル・ソファに放ると、その手で羽織っていた上着を脱いだ。
「野上なら、今夜は専務に誘われて飲みに行くって。さっき電話があった。何かあったら、連絡してくださいって」
「ふーん。なら…、朝まで遠慮はいらねぇわけか」
ネクタイを抜き取り、シャツとズボンという姿だけになると、ベッドの上で四つんばいになっている白石を眺めて、ニヤリと笑った。
「野上に遠慮なんかしたことないくせに」
「してるさ、一応。変にその気になられても困るから、お前に声は立てさせないようにとか」
「あれで?」
シャツのボタンを二つばかり外して、自分に尻を向けた白石に、そのまま襲いかかる。
「って、なんだよ!! まだベッドメイクの途中――――んっ」
突然背後から伸しかかられて、白石は呆気なく身を崩した。
外耳を齧られ、全身をブルリと震わせた。
「どうせ乱すんだから、必要ねえって」
黒河の利き手が、ベッドに突っ伏す白石の胸元を、器用にまさぐってくる。
「――――そういうことじゃな…、っん」
抵抗しようにも外耳から頬へ、頬から唇へと這う口付けは、すぐさま白石を翻弄する。
『せっかく気持ちよく寝かせてやろうと思ったのに』
身体を返され、正面から抱きしめられてしまえば、あとは乱れたシーツを握るだけ。何も助けてはくれない洗い立てのシーツを自ら乱してしまう、ただそれだけだ。
「なら、どういうことだよ」
黒河は、クスクスと笑いながら、白石の手からシーツを外すと、それを自ら引き込んだ。
『身体に染みついたエチルアルコールの匂いが、陽だまりの匂いを消していく』
「帰ってくるなり、挑発しといて――――責任取れって!」
じゃれるように、包むように、二人の身体をゴロリと回転させると、シーツをグルリと巻きつけた。
『全部が、療治の匂いになっていく』
二人してシーツにくるまれたためか、白石はいつになく鼻腔をくすぐられた。
「キス…、しろよ。お前から」
そうでなくとも、黒河の上に重なる形で身を伏せているのに、強気な催促に心まで捕らわれる。
「…chu」
こうなっては、なすがまま。言われるままに、口付ける。
「なんか、いいな…これ」
当然、黒河はご機嫌だ。
「何が?」
「遊んでるみてぇで、楽しい。ほら、子供がよくタオルケットとかにくるまって、ゴロゴロするだろう。あれと一緒で」
いい大人が子供じみたことをしている。それが余計に楽しいようだ。
「何が子供だよ。療治は高校生になっても、やってたよ」
しかし、そんな黒河を見下ろすと、白石は少しばかり呆れてみせた。
「え?」
「手持ち無沙汰になると、ベッドに転がって、シーツやタオルケットにくるまってた。自分でぐるぐる巻きになって、ゴロゴロ転がって――――これも覚えてないの?」
*この続きは製品版でお楽しみください。
と、完全にシーツを敷き終え、ベッドマットを包み込んでいないうちに、黒河は帰宅した。
「あ、療治。ごめん、気づかなかった。お帰り」
すっかりベッドに懐いていた白石は、慌てて身を起こした。
黒河を横目に、シーツの端に手を伸ばした。
「なんだよ、一人でブツブツ言ってたのかよ。話し声がしたから、てっきり野上と電話でもしてるのかと思った。今から早急の仕事を持って行きます――――とかってさ」
黒河は、手鞄をベッド横に置かれたシングル・ソファに放ると、その手で羽織っていた上着を脱いだ。
「野上なら、今夜は専務に誘われて飲みに行くって。さっき電話があった。何かあったら、連絡してくださいって」
「ふーん。なら…、朝まで遠慮はいらねぇわけか」
ネクタイを抜き取り、シャツとズボンという姿だけになると、ベッドの上で四つんばいになっている白石を眺めて、ニヤリと笑った。
「野上に遠慮なんかしたことないくせに」
「してるさ、一応。変にその気になられても困るから、お前に声は立てさせないようにとか」
「あれで?」
シャツのボタンを二つばかり外して、自分に尻を向けた白石に、そのまま襲いかかる。
「って、なんだよ!! まだベッドメイクの途中――――んっ」
突然背後から伸しかかられて、白石は呆気なく身を崩した。
外耳を齧られ、全身をブルリと震わせた。
「どうせ乱すんだから、必要ねえって」
黒河の利き手が、ベッドに突っ伏す白石の胸元を、器用にまさぐってくる。
「――――そういうことじゃな…、っん」
抵抗しようにも外耳から頬へ、頬から唇へと這う口付けは、すぐさま白石を翻弄する。
『せっかく気持ちよく寝かせてやろうと思ったのに』
身体を返され、正面から抱きしめられてしまえば、あとは乱れたシーツを握るだけ。何も助けてはくれない洗い立てのシーツを自ら乱してしまう、ただそれだけだ。
「なら、どういうことだよ」
黒河は、クスクスと笑いながら、白石の手からシーツを外すと、それを自ら引き込んだ。
『身体に染みついたエチルアルコールの匂いが、陽だまりの匂いを消していく』
「帰ってくるなり、挑発しといて――――責任取れって!」
じゃれるように、包むように、二人の身体をゴロリと回転させると、シーツをグルリと巻きつけた。
『全部が、療治の匂いになっていく』
二人してシーツにくるまれたためか、白石はいつになく鼻腔をくすぐられた。
「キス…、しろよ。お前から」
そうでなくとも、黒河の上に重なる形で身を伏せているのに、強気な催促に心まで捕らわれる。
「…chu」
こうなっては、なすがまま。言われるままに、口付ける。
「なんか、いいな…これ」
当然、黒河はご機嫌だ。
「何が?」
「遊んでるみてぇで、楽しい。ほら、子供がよくタオルケットとかにくるまって、ゴロゴロするだろう。あれと一緒で」
いい大人が子供じみたことをしている。それが余計に楽しいようだ。
「何が子供だよ。療治は高校生になっても、やってたよ」
しかし、そんな黒河を見下ろすと、白石は少しばかり呆れてみせた。
「え?」
「手持ち無沙汰になると、ベッドに転がって、シーツやタオルケットにくるまってた。自分でぐるぐる巻きになって、ゴロゴロ転がって――――これも覚えてないの?」
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