和書>小説・ノンフィクション>ボーイズラブ小説>花嫁
著者プロフィール
高峰 あいす(たかみね あいす)
10月10日生まれ。天秤座のAB型。東京生まれの、東京育ち。好きなことは、昼寝とにゃんこたちと遊ぶこと。
10月10日生まれ。天秤座のAB型。東京生まれの、東京育ち。好きなことは、昼寝とにゃんこたちと遊ぶこと。
解説
朝岡組の末息子・勇紗は、手柄を立てて自分も組の一員として認められたいと願っていた。そんなある日、勇紗は客人接待を命じられる。幹部になれるチャンスかもという勇紗の淡い期待は、イタリアンマフィアのボス・クリスティアーノによって無残にも踏み躙られてしまう。《花嫁奴隷》として差し出された冷酷な現実を冷淡に告げる男の手によって、勇紗は敏感な体に調教されてしまい……。
目次
花嫁奴隷
不機嫌な花嫁
不機嫌な花嫁
抄録
「部屋には誰も入れるな。電話も繋がなくていい」
「分かりました」
「え、昼食会は……」
「私はお前と二人で、話がしたいと言ったはずだ」
痛いほどに腕を掴まれ、半ば引きずられる形で勇紗はエレベーターに乗せられた。文句を言おうとして口を開くが、クリスティアーノの横顔を見た瞬間、勇紗は口を閉ざす。
――怒ってるのか?
表情に際立った変化はないものの、纏う雰囲気が明らかに違っている。
異変を敏感に察した勇紗だが、逃げたくても腕を掴むクリスティアーノの力が強すぎて、振り払うこともできない。
――どうしよう。俺、殺されるのか? 従業員がいれば、警察呼んでもらって……。
普段なら考えもしないことが、脳裏に浮かぶ。
ヤクザが警察を頼るなど、笑い話にもならない。
それほどまでに、勇紗は危機感を覚えていた。
「このフロアは、全て借り切っている。こちらが呼ばない限り、ホテルの者は誰一人として一歩も入れはしない」
勇紗の考えが分かったのか、クリスティアーノはエレベーターを降りると静かに告げた。逃げ場がないと分かったけれど、それで諦めるわけにはいかない。
「離せ! 腕が痛いんだよ!」
「こうしていなければ、逃げるだろう」
「逃げないよ! 俺は朝岡組の、幹部になる男だぞ!」
言い合いをしている間に、廊下の一番端にあるドアの前まで来てしまう。クリスティアーノは片手で器用にドアを開けると、今度は勇紗の腰へ腕を回し、小脇に抱える。
まるで小動物に対する扱いをされ、勇紗の怒りは頂点に達した。
「いきなり何するんだよ! 分かった! さっき俺が言ったことが、気にくわなくて怒ってるんだろ。図星で、怖くなったのか? 謝るなら、今のうちだぞ。俺がこんな扱いされたって分かったら、父さん…じゃなくて、組長が……」
「黙れ」
いくつかの部屋を通り過ぎ、クリスティアーノが一番奥にある寝室の扉を開けた。そして、勇紗をキングサイズのベッドに放り投げる。
「わっ」
何が起こったのか分からず、ベッドの上でもがいていた勇紗は、男の手で仰向けにされた。
「随分とよく動く口だな」
「うるせ……ンッ」
不意打ちで口づけられた勇紗の口内に、クリスティアーノの舌が滑(すべ)り込む。
ねっとりとした熱が舌や歯をなぞり、初めての感覚を勇紗に与える。
「ッ…ぅ……」
勇紗にとって、これは生涯で二度目のキスだったが、こんなに激しいものは初めてだ。息が詰まり、あまりの苦しさに涙が浮かぶ。
「…も…苦しいっ!」
我慢しきれず渾身の力を振り絞ってクリスティアーノの胸を叩くと、ようやく唇が解放された。
荒い呼吸を繰り返す勇紗とは反対に、散々嬲った男は平然としたまま冷たい眼差しを向ける。
「お前は私の『花嫁奴隷』だ」
「は? なに言って……」
*この続きは製品版でお楽しみください。
「分かりました」
「え、昼食会は……」
「私はお前と二人で、話がしたいと言ったはずだ」
痛いほどに腕を掴まれ、半ば引きずられる形で勇紗はエレベーターに乗せられた。文句を言おうとして口を開くが、クリスティアーノの横顔を見た瞬間、勇紗は口を閉ざす。
――怒ってるのか?
表情に際立った変化はないものの、纏う雰囲気が明らかに違っている。
異変を敏感に察した勇紗だが、逃げたくても腕を掴むクリスティアーノの力が強すぎて、振り払うこともできない。
――どうしよう。俺、殺されるのか? 従業員がいれば、警察呼んでもらって……。
普段なら考えもしないことが、脳裏に浮かぶ。
ヤクザが警察を頼るなど、笑い話にもならない。
それほどまでに、勇紗は危機感を覚えていた。
「このフロアは、全て借り切っている。こちらが呼ばない限り、ホテルの者は誰一人として一歩も入れはしない」
勇紗の考えが分かったのか、クリスティアーノはエレベーターを降りると静かに告げた。逃げ場がないと分かったけれど、それで諦めるわけにはいかない。
「離せ! 腕が痛いんだよ!」
「こうしていなければ、逃げるだろう」
「逃げないよ! 俺は朝岡組の、幹部になる男だぞ!」
言い合いをしている間に、廊下の一番端にあるドアの前まで来てしまう。クリスティアーノは片手で器用にドアを開けると、今度は勇紗の腰へ腕を回し、小脇に抱える。
まるで小動物に対する扱いをされ、勇紗の怒りは頂点に達した。
「いきなり何するんだよ! 分かった! さっき俺が言ったことが、気にくわなくて怒ってるんだろ。図星で、怖くなったのか? 謝るなら、今のうちだぞ。俺がこんな扱いされたって分かったら、父さん…じゃなくて、組長が……」
「黙れ」
いくつかの部屋を通り過ぎ、クリスティアーノが一番奥にある寝室の扉を開けた。そして、勇紗をキングサイズのベッドに放り投げる。
「わっ」
何が起こったのか分からず、ベッドの上でもがいていた勇紗は、男の手で仰向けにされた。
「随分とよく動く口だな」
「うるせ……ンッ」
不意打ちで口づけられた勇紗の口内に、クリスティアーノの舌が滑(すべ)り込む。
ねっとりとした熱が舌や歯をなぞり、初めての感覚を勇紗に与える。
「ッ…ぅ……」
勇紗にとって、これは生涯で二度目のキスだったが、こんなに激しいものは初めてだ。息が詰まり、あまりの苦しさに涙が浮かぶ。
「…も…苦しいっ!」
我慢しきれず渾身の力を振り絞ってクリスティアーノの胸を叩くと、ようやく唇が解放された。
荒い呼吸を繰り返す勇紗とは反対に、散々嬲った男は平然としたまま冷たい眼差しを向ける。
「お前は私の『花嫁奴隷』だ」
「は? なに言って……」
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