和書>小説・ノンフィクション>文芸>日本文学>現代小説
著者プロフィール
倉科 遼(くらしな りょう)
テレビドラマ化された『夜王』『嬢王』(ともに集英社)などヒット作多数。2001年に映画化された『女帝』(芳文社)は、劇画界に”ネオン街モノ”という新ジャンルを開拓したと言われる。
テレビドラマ化された『夜王』『嬢王』(ともに集英社)などヒット作多数。2001年に映画化された『女帝』(芳文社)は、劇画界に”ネオン街モノ”という新ジャンルを開拓したと言われる。
解説
裏切り、策略、暴力、裏社会……禁断のリアル!
どん底からわずか数年で首都圏13店舗、海外進出まで果たした若きキャバクラ帝王・輝咲翔。波乱に富んだ彼の半生をもとに人気原作者・倉科遼が放つ伝説の成功物語!
どん底からわずか数年で首都圏13店舗、海外進出まで果たした若きキャバクラ帝王・輝咲翔。波乱に富んだ彼の半生をもとに人気原作者・倉科遼が放つ伝説の成功物語!
目次
〔第1章〕 ホスト
〔第2章〕 起業
〔第3章〕 炎上
〔第4章〕 借金
〔第5章〕 暗躍
〔第6章〕 大連
〔エピローグ〕 輝咲
〔第2章〕 起業
〔第3章〕 炎上
〔第4章〕 借金
〔第5章〕 暗躍
〔第6章〕 大連
〔エピローグ〕 輝咲
抄録
総帥
2003年11月、中国遼寧省《りょうねいしょう》大連市。
この年の暮れ、大連のナイトビジネス界はある話題で沸き返っていた。それは大連初の日本企業による日本スタイルのキャバクラが誕生したからだ。
店の名は「K大連」。
高級感のある内装、そして教育が徹底されたプロのキャスト、黒服。そのスタイルは後進的だった大連のナイトビジネス界にとって大きな衝撃となった。
大連のナイトビジネス界は、この「K大連」に触発されて、それまでのシステムやサービスが一新され、大きく変化していくこととなる。
そんな海を挟んだ一大センセーショナルを巻き起こしたそもそもの始まりは、一人の日本人青年の思いつきのようなひと言からだった。
4ヶ月前――2003年7月、東京・六本木。
陽も沈み“ネオン”という夜の陽が頭上に輝き出すと、不夜城といわれるこの街には、さまざまな人間が集まってくる。あたかも闇の中に灯る明かりに群がる浮塵子《うんか》のように……。
政財界の人間が集うのが銀座なら、この街は接待から遊びまで、芸能・マスコミ・広告業界など、いわゆる“ギョーカイ”の人間が集う街。近隣に外国大使館や外資系企業が多いことから、外国人の姿も珍しくない。また、意味もなくただやって来ては、クラブでひたすら踊り狂う無軌道な若者たちやこの街を主戦場とするキャバ嬢やホステス、ホストなどの“夜”を仕事とする人々。そして夜の陰の主役であるヤクザたち。
だがその時は、まだ太陽の光が頭上から降り注ぐ午後2時。街の景色は夜とは一変し、この4月に六本木ヒルズがオープンしたため、家族連れや若いカップルであふれていた。
その六本木ヒルズにほど近いビルの一室に、青年はいた。
広さ20坪ほどの部屋では会議が行われ、青年はその上座にいた。
日焼けした褐色の肌に耳まで隠れる茶髪。11月には30歳を迎えるという年齢の割には童顔に見える純朴そうな顔。一見すると、どこにでもいる“イマドキの兄《あん》ちゃん”風で、無邪気さを秘めた子供のような瞳が印象的だ。
会議は青年がオーナーを務めるキャバクラグループの月例会議だった。幹部たちは、売り上げやキャストたちの管理などについて、グループが現在抱えている課題とその対策案を報告していた。
このキャバクラグループは、都心には一店舗も店を持たず、千葉や埼玉などの首都圏で十数店舗を展開するという大成功を収めている異色の企業だった。
十数店舗を抱えるグループの幹部会なのだから、抱える問題・課題は少なくはない。幹部たちはグループを維持していくための対策を必死で考え、会議に臨んでいた。
幹部たちが次々と発言する様を青年は無言のまま眺めていた。その子供のような好奇心に富んだ瞳で。
報告がひと通り終わり、会議が途切れた時、青年は何の前触れもなく突如立ち上がった。
「僕からひとつ提案があるんだけど」
*この続きは製品版でお楽しみください。
2003年11月、中国遼寧省《りょうねいしょう》大連市。
この年の暮れ、大連のナイトビジネス界はある話題で沸き返っていた。それは大連初の日本企業による日本スタイルのキャバクラが誕生したからだ。
店の名は「K大連」。
高級感のある内装、そして教育が徹底されたプロのキャスト、黒服。そのスタイルは後進的だった大連のナイトビジネス界にとって大きな衝撃となった。
大連のナイトビジネス界は、この「K大連」に触発されて、それまでのシステムやサービスが一新され、大きく変化していくこととなる。
そんな海を挟んだ一大センセーショナルを巻き起こしたそもそもの始まりは、一人の日本人青年の思いつきのようなひと言からだった。
4ヶ月前――2003年7月、東京・六本木。
陽も沈み“ネオン”という夜の陽が頭上に輝き出すと、不夜城といわれるこの街には、さまざまな人間が集まってくる。あたかも闇の中に灯る明かりに群がる浮塵子《うんか》のように……。
政財界の人間が集うのが銀座なら、この街は接待から遊びまで、芸能・マスコミ・広告業界など、いわゆる“ギョーカイ”の人間が集う街。近隣に外国大使館や外資系企業が多いことから、外国人の姿も珍しくない。また、意味もなくただやって来ては、クラブでひたすら踊り狂う無軌道な若者たちやこの街を主戦場とするキャバ嬢やホステス、ホストなどの“夜”を仕事とする人々。そして夜の陰の主役であるヤクザたち。
だがその時は、まだ太陽の光が頭上から降り注ぐ午後2時。街の景色は夜とは一変し、この4月に六本木ヒルズがオープンしたため、家族連れや若いカップルであふれていた。
その六本木ヒルズにほど近いビルの一室に、青年はいた。
広さ20坪ほどの部屋では会議が行われ、青年はその上座にいた。
日焼けした褐色の肌に耳まで隠れる茶髪。11月には30歳を迎えるという年齢の割には童顔に見える純朴そうな顔。一見すると、どこにでもいる“イマドキの兄《あん》ちゃん”風で、無邪気さを秘めた子供のような瞳が印象的だ。
会議は青年がオーナーを務めるキャバクラグループの月例会議だった。幹部たちは、売り上げやキャストたちの管理などについて、グループが現在抱えている課題とその対策案を報告していた。
このキャバクラグループは、都心には一店舗も店を持たず、千葉や埼玉などの首都圏で十数店舗を展開するという大成功を収めている異色の企業だった。
十数店舗を抱えるグループの幹部会なのだから、抱える問題・課題は少なくはない。幹部たちはグループを維持していくための対策を必死で考え、会議に臨んでいた。
幹部たちが次々と発言する様を青年は無言のまま眺めていた。その子供のような好奇心に富んだ瞳で。
報告がひと通り終わり、会議が途切れた時、青年は何の前触れもなく突如立ち上がった。
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