和書>小説・ノンフィクション>ハーレクイン>ハーレクイン・ロマンス
著者プロフィール
ルーシー・モンロー(Lucy Monroe)
アメリカ、オレゴン州出身。姉の影響でハーレクインのロマンス小説を読み始めた。大学在学中に“生涯でいちばんすてきな男性”と知り合って結婚し、子供が生まれてからは母親としての道を選んだ。十八歳の夏に家族で旅行に行ったヨーロッパが忘れられず、今も時間があれば旅行を楽しんでいる。
アメリカ、オレゴン州出身。姉の影響でハーレクインのロマンス小説を読み始めた。大学在学中に“生涯でいちばんすてきな男性”と知り合って結婚し、子供が生まれてからは母親としての道を選んだ。十八歳の夏に家族で旅行に行ったヨーロッパが忘れられず、今も時間があれば旅行を楽しんでいる。
解説
グレイスはニューヨークの会社で個人秘書として働いている。彼女の上司はアミール、中東の国ゾーラの第三王子だ。プレイボーイ・プリンスの異名をとるアミールは、最近もタブロイド紙をにぎわしたばかり。憂慮した父、国王から、隣国のプリンセスとの結婚を命じられた。ところが相手が昔の恋人と駆け落ちしたため、話は流れる。アミールをひそかに愛しているグレイスがほっとしたのも束の間、ある日アミールは彼女に告げた。「僕に妻を見つけてほしい」有能な個人秘書の彼女に、花嫁候補のリストをつくれというのだ。そんなつらい仕事はできない! グレイスは限りなく悲しかった。
抄録
グレイスは、彼女を食べるために地球にやってきたエイリアンか何かのように彼を見上げた。思ったほど自分が狼狽《ろうばい》していないのが不思議だ。「私でいいの?」信じられない思いできく。
「きみが欲しい!」そして彼はキスをした。
激怒しているにもかかわらず、欲望がついに解き放たれたにもかかわらず、アミールは紳士以外の何ものでもなかった。結局、それは二人にとって初めてのキスだった。そしてきっと、平凡さなど見せかけにすぎない彼の個人秘書にとっては、正真正銘初めてのキスに違いなかった。グレイスは甘く、熟れた木いちごのような味がする。唇がとてもやわらかい。アミールの唇に喜びをもたらす完全な形だ。彼女は愛撫《あいぶ》のお返しはしなかったが、彼を押しのけようともしない。
アミールは唇を離した。「キスを返してごらん」
驚きに焦点の合わなくなった目でグレイスが見ている。「どうすればいいのかわからない」
「僕の唇と一緒に唇を動かすんだ。口を開いてくれれば、僕がきみを味わえる」
「わかったわ」
その言葉はうめき声のように聞こえた。アミールはさらなる情熱にかられ、グレイスの唇に音をたててキスをした。
グレイスは教えられたとおりにした。アミールは激しさをぶつけるのではなく、無邪気な探索から性的な喜びへと時間をかけて彼女を導くよう心を配った。両手を彼女の背中に沿って上下に這《は》わせ、自分の高まりを彼女に押しつける。グレイスは、初めて怖がらずにそれを感じることができた。きみがこんなにも僕を変化させたのだ、とアミールは彼女に知ってほしかった。
グレイスは甘くかすかな泣き声のような声をもらしながら、指で彼の胸をもてあそんでいる。
ときどき、またいとこのハキムが妻のキャサリンを僕の子猫ちゃんと呼ぶが、なぜそんな呼び方をしていたか、今初めてわかった。
アミールはグレイスの口のなかを味わった。いちごのクリームがけのようにたっぷりと甘い彼女の唇は、なかに入るとさらに官能の度合いを増した。その甘さに、たちまち中毒になってしまいそうだ。
キスは熱をおび、無垢な個人秘書はアミールをかりたてる方法を急速に学びつつあった。彼女の服を脱がせ、デスクに横たえて全身にキスをしたい。それを行動に移さないようにするには、ありったけの自制心が必要だ。
いつか必ず。アミールは心に誓った。いつか必ず実行に移す日が来る。
突然、グレイスが彼の腕を振りほどいた。「だめよ、待って……なぜこんなことをするの?」
「どういう意味だ? 僕はきみが欲しい、そう言っただろう」これは男には理解しがたい女心か?
「そうかしら。本当は、性的なテクニックを武器に私を操ろうとしてるんじゃないの?」
アミールの体に衝撃が走った。「僕をそんな男だと思っているのか?」
「交渉するときのあなたは非情そのものだもの」
「下心なんかないさ」攻撃をしかける場合、非情であることにそれなりの利点はあるが。
とにかく、グレイスが僕の秘書をやめるつもりなら、今まで彼女をベッドに連れこまないようにしていた最大の理由はなくなる。グレイスの初めての恋人になり、庇護《ひご》してやれるのだ。彼女に性の手ほどきをするのは楽しいだろう。口からでまかせを言ったり、彼女を利用するようなまねは決してしない。彼女は僕を求めているのだから。
グレイスが不機嫌な顔を向けた。「別の人と結婚する男性の愛人にはならないわ。あなたは誠意を尽くすと約束したのよ、覚えてる?」
「もうほかの女性と一緒のところを見られてはならないと言ったのはきみだ。だけど、きみと一緒にいるところを見られるのは問題にならない」
「つまり、私なら都合がいいわけ? 女の体をしていれば誰でもいいの?」
彼女は僕に何を言ってほしいのだろう。隠れていたロマンティックな気質がまた表に出てきたのだろうか。「事をややこしくしないでくれ。僕以外の人間からもっとオファーを受けたいとは思っていないんだろう? 僕の申し出を受けとってくれれば、二人とも幸せになれる」
*この続きは製品版でお楽しみください。
「きみが欲しい!」そして彼はキスをした。
激怒しているにもかかわらず、欲望がついに解き放たれたにもかかわらず、アミールは紳士以外の何ものでもなかった。結局、それは二人にとって初めてのキスだった。そしてきっと、平凡さなど見せかけにすぎない彼の個人秘書にとっては、正真正銘初めてのキスに違いなかった。グレイスは甘く、熟れた木いちごのような味がする。唇がとてもやわらかい。アミールの唇に喜びをもたらす完全な形だ。彼女は愛撫《あいぶ》のお返しはしなかったが、彼を押しのけようともしない。
アミールは唇を離した。「キスを返してごらん」
驚きに焦点の合わなくなった目でグレイスが見ている。「どうすればいいのかわからない」
「僕の唇と一緒に唇を動かすんだ。口を開いてくれれば、僕がきみを味わえる」
「わかったわ」
その言葉はうめき声のように聞こえた。アミールはさらなる情熱にかられ、グレイスの唇に音をたててキスをした。
グレイスは教えられたとおりにした。アミールは激しさをぶつけるのではなく、無邪気な探索から性的な喜びへと時間をかけて彼女を導くよう心を配った。両手を彼女の背中に沿って上下に這《は》わせ、自分の高まりを彼女に押しつける。グレイスは、初めて怖がらずにそれを感じることができた。きみがこんなにも僕を変化させたのだ、とアミールは彼女に知ってほしかった。
グレイスは甘くかすかな泣き声のような声をもらしながら、指で彼の胸をもてあそんでいる。
ときどき、またいとこのハキムが妻のキャサリンを僕の子猫ちゃんと呼ぶが、なぜそんな呼び方をしていたか、今初めてわかった。
アミールはグレイスの口のなかを味わった。いちごのクリームがけのようにたっぷりと甘い彼女の唇は、なかに入るとさらに官能の度合いを増した。その甘さに、たちまち中毒になってしまいそうだ。
キスは熱をおび、無垢な個人秘書はアミールをかりたてる方法を急速に学びつつあった。彼女の服を脱がせ、デスクに横たえて全身にキスをしたい。それを行動に移さないようにするには、ありったけの自制心が必要だ。
いつか必ず。アミールは心に誓った。いつか必ず実行に移す日が来る。
突然、グレイスが彼の腕を振りほどいた。「だめよ、待って……なぜこんなことをするの?」
「どういう意味だ? 僕はきみが欲しい、そう言っただろう」これは男には理解しがたい女心か?
「そうかしら。本当は、性的なテクニックを武器に私を操ろうとしてるんじゃないの?」
アミールの体に衝撃が走った。「僕をそんな男だと思っているのか?」
「交渉するときのあなたは非情そのものだもの」
「下心なんかないさ」攻撃をしかける場合、非情であることにそれなりの利点はあるが。
とにかく、グレイスが僕の秘書をやめるつもりなら、今まで彼女をベッドに連れこまないようにしていた最大の理由はなくなる。グレイスの初めての恋人になり、庇護《ひご》してやれるのだ。彼女に性の手ほどきをするのは楽しいだろう。口からでまかせを言ったり、彼女を利用するようなまねは決してしない。彼女は僕を求めているのだから。
グレイスが不機嫌な顔を向けた。「別の人と結婚する男性の愛人にはならないわ。あなたは誠意を尽くすと約束したのよ、覚えてる?」
「もうほかの女性と一緒のところを見られてはならないと言ったのはきみだ。だけど、きみと一緒にいるところを見られるのは問題にならない」
「つまり、私なら都合がいいわけ? 女の体をしていれば誰でもいいの?」
彼女は僕に何を言ってほしいのだろう。隠れていたロマンティックな気質がまた表に出てきたのだろうか。「事をややこしくしないでくれ。僕以外の人間からもっとオファーを受けたいとは思っていないんだろう? 僕の申し出を受けとってくれれば、二人とも幸せになれる」
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