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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ディザイア

消えた花嫁と忘れじの愛

消えた花嫁と忘れじの愛


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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解説

結婚したことさえも忘れた花嫁。でも、交わした愛と情熱は消えず……。

花嫁のキャロラインは大富豪デイモンとの新婚旅行後に誘拐され、幸せの絶頂からどん底へと突き落とされた。やがて救出されるも記憶を失い、結婚や夫のことも曖昧だった。そして実家にかくまわれたが、父から衝撃的なことを聞かされる――おまえの夫は遺産相続のために間に合わせの結婚をしただけで、妻の誘拐が判明しても、身代金すら払わなかったのだ、と。お金が目的だった?本当はわたしを愛していないの?彼との間に授かったかわいい息子を、先日産んだばかりなのに……。デイモンの真意を知るため、キャロラインは意を決し、夫のもとへと戻ることにした――幼子の存在は秘密にしたまま。

■確かな記憶がないキャロラインに伝えられた、衝撃の事実。幸せが指の間からこぼれ落ちゆく切なさをこらえつつ、結婚の真相を知るために夫のもとへ戻ると、意外にも温かく迎えられます。けれども、息子の存在を隠されていたことがわかると、デイモンは激怒し……。

抄録

「わたし――」キャロラインはためらった。目にさまざまな感情がよぎる。罪悪感。不安。
「別にかまわない」デイモンはキャロラインを動揺させるのが忍びなくて、片手で彼女の膝に触れた。「きみがぼくのところに来てくれてうれしいよ」
「でも、父は警察に、わたしが自らあなたのもとを去ったと言ったんでしょう? あなたも警察に相談していたのね?」
「きみはロンドンから帰国して飛行機が着陸したときに、ぼくにメールをくれたんだ」デイモンは、渡英の件でふたりが口喧嘩をした話には触れなかった。「ただ荷物をまとめてぼくと別れるためなら、連絡なんてしないだろう?」
「たしかにそうね」キャロラインがうなずき、ポニーテールが揺れた。「わたしたちが不幸でない限りはありえないわ」
「新婚旅行の直後に?」デイモンは彼女の膝から手を離して携帯電話をとりだし、保存してあった写真を見せた。「何枚か見て、不幸な夫婦の写真に見えるかどうか確かめてくれ」
 キャロラインは写真を順に見ていった。ベッキオ橋、ウフィツィ美術館の前、朝のエスプレッソを楽しむお気に入りのカフェ、ふたりでのぼった鐘楼。笑顔のキャロラインや、彼女の頬にキスするデイモンの写真からは互いへの深い愛情が伝わってくる。
 もしくは、デイモンが深い愛情と考えていたものが。
「まあ」キャロラインはすばやく指を動かして写真を次々にスクロールしていった。「警察にはこの写真を見せたの? わたしの父には? なんて言われたの?」
 キャロラインの声は震えていた。全身が震えているようだ。
「すまない」デイモンは彼女の肩に腕を回し、その手からそっと携帯電話をとりあげた。「きみを動揺させるつもりはなかったんだ。リラックスしてくれ」なにがそこまでキャロラインの心を乱したのか定かではなかったが、それでもデイモンはこれ以上、彼女を動揺させたくなかった。
「この件は重要すぎるから、リラックスするなんて無理よ」キャロラインはデイモンの手を払ってぱっと立ちあがると、小さな展望台のまわりを歩きだした。「あなたが相談した警察官に連絡させてくれる? たぶんその警察官はわたしの父からも話を聞いているはずね」
 デイモンははじかれたように立ちあがり、渋い顔で身構えた。「ぼくを信じないのか?」
 キャロラインは考えこむ顔つきで小首をかしげた。「わたしはずいぶん時間をかけて、過去をつなぎあわせようともがいてきたわ。あなたにも父にも偏っていない、中立的な意見を知りたいのよ」
「当然だ」デイモンは再びキャロラインに手を伸ばした。彼女はひどく震えている。慰めが必要だ。「キャロライン、あまり興奮するのはよくない。なにかほかのことを考えよう。もっと幸福なことを」
「それほど幸福だったのなら、あなたはなぜわたしが自らあなたのもとを去ったと信じたの?」キャロラインは唇をすぼめて眉根を寄せ、デイモンを見あげて答えを待っている。
 デイモンは言葉を探した。「どんな夫婦にもちょっとした諍いはあるものだ。きみのお父さんから、娘からは定期的に連絡があると聞かされたとき、ぼくはなにかへまをやらかしたに違いないと思った。それでもきみはじきに家に帰るはずだと」
「それで何カ月も過ぎたときには?」キャロラインはじっとデイモンを見つめた。澄んだ目の奥でいらだちがくすぶっている。
「一度はぼくを愛してくれたのだから、きみは再び愛してくれるはずだと考えて心を慰めていた」デイモンはキャロラインの肩に両手をかけて引き寄せた。彼女のそばにいるといつも感じる絆を、彼女にも感じてほしかった。「ぼくらが分かちあったものは消えないとわかっていた。だから私立探偵を雇って、自らきみを見つけようとしたんだ」
 デイモンはキャロラインが息をのむのを感じた。彼女の瞳の奥で、警戒とともにあたたかな感情が燃えている。
「ぼくが言いたいのはこういうことだ」デイモンはやさしくキャロラインの顎に触れて、クリームを思わせる肌のやわらかさを確かめてから、ほのかなバラの香りを吸いこんだ。
 できるなら、時間をたっぷりかけて彼女の感触やぬくもりに浸りたかった。もしキャロラインがほかになにも覚えていないなら、これを思いだす必要がある。
 デイモンは唇をほんの少し触れあわせた。それから彼女と額を合わせてじっと待った。
 キャロラインの手が彼の肩に置かれ、セーターとTシャツ越しに彼女の爪がそっと食いこんだ瞬間、デイモンの全身の血がかっと熱くなった。飢えたような欲望に襲われ、彼は歯を食いしばった。無理やり体を引いてキャロラインの両手を肩からはずさせ、やさしく愛撫して唇を押しつけた。
「たしかにこれは、情熱がまだあるという証拠ね」キャロラインがようやく口を開いた。デイモンに負けず劣らず渇望のにじむ声だ。それでも彼女は手を引っこめてポケットに押しこんだ。「でも、愛情についてはどうかしら?」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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