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いつも笑顔で【ハーレクイン・イマージュ版】 ベティ・ニールズ選集 23

いつも笑顔で【ハーレクイン・イマージュ版】 ベティ・ニールズ選集 23


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュベティ・ニールズ選集
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ベティ・ニールズ(Betty Neels)
 イギリス南西部のデボン州で子供時代と青春時代を過ごした後、看護師および助産師としての教育を受けた。戦争中に従軍看護師として働いていたとき、オランダ人の男性と知り合って結婚。以後十四年間、夫の故郷オランダに住み、ベティは看護師、夫は病院事務と、ともに病院で働いた。イギリスに戻って看護師の仕事を退いた後、よいロマンス小説がないことを嘆く女性の声を地元の図書館で耳にし、自ら執筆を決意した。1969年、「赤毛のアデレイド」を発表して作家活動に入る。穏やかで静かなロマンス、その優しい作風が多くのファンを魅了した。2001年6月、惜しまれつつ永遠の眠りについた。彼女が生みだした作品は百三十以上にも及んでいる。好きな映画は『逢いびき』(英1945年)、尊敬する人物はウィンストン・チャーチルだったという。

解説

もっともっと近づきたいのに、ずっと彼はよそよそしいまま……。

フラニーは看護師になる夢をあきらめ、病気の伯母と医大生の弟のために家計を支えようと職探し中。さる夫人の雑用係の求人広告を見て応募するが、面接で断られてしまう。意気消沈して帰りかけたとき、その家のメイドが負傷し、偶然現れた夫人の知り合い、ヴァン・ダ・ケトゥナー教授を手伝って、けが人に処置をほどこしてから病院へ運んだ。年上の教授に胸をときめかせるフラニーだったが、病院に着いたところで置いてきぼりにされ、とぼとぼと家路についた。その後、彼女を捜しに戻った教授と入れ違いになるとは、つゆも思わず。

■冬のロンドンを舞台に繰り広げられるシンデレラ・ストーリーです。十人並みの見た目ながら持ち前の笑顔と明るさで頑張るフラニーと、大人の魅力を放つ年上ドクター。もどかしくも微笑ましい愛のすれ違いが描かれます。

*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン・イマージュ版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 事務所は大きかった。分厚いカーペットの上に重厚な椅子が並び、壁には肖像画がたくさんかかっている。きっとラスキン家のご先祖だろう。正面のデスクの向こうにいる女性に来意を告げてから間もなく、奥のドアに通された。ドアには金色の文字でオーガスタス・ラスキンと書いてある。中をのぞくと、巨大なデスクの向こうに本人が座っていた。きっとラスキン家のおじいさんだわ、いえ、ひいじいさんかもしれない、とフラニーは思った。老人は礼儀正しく立ちあがった。かなりよぼよぼだが、仕草や声には弱々しいところは全くなかった。
「ミス・ボウエン? 封筒を持ってきたかね? レディ・トランパーから知らせがあったが」
 老人は腰を下ろし、片手を差しだした。
「オーガスタス・ラスキンさんですか? ご本人だけに渡すようにと言われているものですから」
 彼は鋭い目でにらみつけた。「私がそうだ。きちんと確認したのはいいことだよ、ミス・ボウエン」
「じゃ、どうぞ」フラニーは言い、封筒を渡した。「何かご伝言はありますか?」
「いや、ありがとう」相手がまた立ちあがったので、フラニーは急いで別れを告げた。そんな老人が立ったり座ったりするのは体にさわると思ったのだ。
 時刻はもう五時すぎで、歩道は帰宅を急ぐ人々であふれていた。フラニーはシティをよく知らないので、とりあえず近くのバス停に向かった。すでに長い列ができていて、時刻表ははるか先だ。それを見に行けば、割りこもうとしているように思われるだろう。だれかにどのバスに乗ればいいのかきこうとして歩き続けたが、店はないし、警官もいない。フラニーは横道を横ぎろうと歩道に立って待った。こうなったら地下鉄を使うしかなさそうだ。
 横道から本通りへと流れる車の列はなかなかとぎれない。フラニーは辛抱強く待った。早くお茶が飲みたい。いつものことでフィンはおなかをすかせているだろう。伯母も昼間は大して食べなかったに違いない。そうだ、チーズプディングを作ろう。おなかにたまるし、おいしいし、安上がりで……。
 ヴァン・ダ・ケトゥナー教授は病院を出て小路をそろそろと車で走っているときに彼女を見た。みすぼらしいレインコートを着た、あのぱっとしない娘。明らかに道路を横ぎろうとしている。それにひどく表情が明るい。彼女の横に来ると同時に、教授は手を伸ばして助手席のドアを開けた。
「早く乗って。止められないんだ」
 フラニーは言われたとおりすっと車に乗りこんだ。「ご親切にどうも。永遠にあそこにいることになるのかと思ったわ。次のバス停で降ろしてくださる? それと、ウオータールーに行くにはどのバスに乗ればいいのか、ご存じないかしら?」
「知らないな。なぜウオータールーへ行くんだ?」
「家があの駅のすぐそばなんです」
 教授はバス停の前を通り過ぎた。「なぜここにいるんだい?」
「ラスキンさんのところに書類を届けに来たんです。レディ・トランパーの弁護士の。あ、バス停だわ」
 教授はいらいらと言った。「ここでは止まれないよ。家まで送ろう」
「いいえ、結構です。あなたは不機嫌そうですもの。きっとお仕事でお疲れなのね。そんなときに何キロも余計なドライブをさせられるのはいやでしょう。私のことは心配なさらないで。ほら、またバス停だわ。ちょっとでいいから止めてくださらない?」
「だめだよ。家はどこだい、ミス・ボウエン?」
「フィッシュ通り二十九番地。ウオータールー橋を渡って、すぐ先をロワー・マーシュに折れたところよ」フラニーは教授のいかめしい横顔にほほえんだ。「よかったら、フラニーと呼んでください」
「ミス・ボウエン、君はだれに対してもそんな友達みたいな態度をとるのかい?」
「まさか」フラニーは気さくに応じた。「たとえば、バーカーにはこんな態度はとれないわ」
「つまり、執事は友達の対象ではないというわけか?」教授は意地悪な見方をした。
 フラニーは動じなかった。「執事はあの人しか知りませんもの。少なくとも……」
「少なくとも?」車はウオータールー橋を渡っていた。相手が答えないので教授は促した。「なんだい?」
「なんでもありません。次の角を右に曲がって、それから三番めの角を右へお願いします」
 フィッシュ通りはたそがれどきの薄暗い街灯の明かりの下でみすぼらしく陰気に見えた。
「右かい、左かい?」教授がきいた。
「左に曲がって少し行ったところ……ここよ」
 教授は車から降りて助手席のドアを開けた。フラニーも外に出て彼の顔を見あげた。「ご親切にありがとうございました。でもここまでしてくださらなくてもよかったのに。特にあなたは気が進まなかったのだから」彼女はにっこり笑った。「今日の善行ね! おやすみなさい、先生。早くおうちに帰っておいしいものでも食べれば、気分もよくなるわ」
 教授は彼女の前に立ちはだかった。「君みたいな人は見たことがないよ。レディ・トランパーは君のおしゃべりを聞かされてはいないんだろうね?」
「ええ。私は話しかけられたときしか話しません。退屈させてごめんなさいね。私はただ……あなたが話しやすそうな人に見えたものだから」フラニーは歩道を横ぎりながら鍵を取りだした。「おやすみなさい、先生」彼女のうしろで静かにドアが閉まった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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