マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

アドニスにこの身を捧げ

アドニスにこの身を捧げ


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
XMDFのファイルをご覧になるにはブンコビューア最新版(無料)をインストールしてください。

「書籍ファイルが壊れています」と表示される場合は、ブンコビューアを最新版にアップデートしてください。
購入する


著者プロフィール

 アニー・ウエスト(Annie West)
 家族全員が本好きの家庭に生まれ育つ。家族はまた、彼女に旅の楽しさも教えてくれたが、旅行のときも本を忘れずに持参する少女だった。現在は彼女自身のヒーローである夫と二人の子とともにオーストラリア東部、シドニーの北に広がる景勝地、マッコーリー湖畔に暮らす。

解説

富豪に愛された夢の一夜。けれど、美しい思い出にはできなくて……。

いつもは大好きなコーヒーの香りを不快に感じたその日、ウエイトレスのアリスは妊娠したことに気づいた。思い当たるのはただ一人。従姉の結婚式で会ったアドニだけ。慣れないシャンパンに悪酔いした彼女を介抱してくれたセクシーなギリシア富豪に、純潔を捧げたのだった。妊娠の事実を伝えたくて彼のオフィスを訪ねたアリスはしかし、金目当てと罵られ、ショックを受ける。しがないウエイトレスの私を、彼が本気で愛するわけないのに。アリスは涙をこらえ、逃げるようにオフィスを出たが……。

■女神アフロディテを虜にした美青年アドニスさながらの魅力を持つ大富豪、アドニ・ペトラキスの子を宿したヒロイン。出会った夜、あんなに優しかった彼がまさか突然、冷酷な鉄面皮と化し、DNA鑑定を要求してくるとは夢にも思わず、傷ついて……

抄録

 アドニが一歩こちらに近づくと、アリスは体の内がねじれるような、不安とときめきに襲われた。
 シャンパンの酔いはさめていた。こんな男性と二人きりになっている自分が信じられなかった。
 アドニは並はずれた富と力の持ち主だ。無造作に着こなしたオーダーメイドの服を見れば、それがわかる。
 けれど、思わずアドニを見つめてしまうのは、彼が別世界の住人だからではない。アドニが男そのものだから。長身でたくましく、顔の彫りは深く、眉は鳥の翼のように黒く曲線を描き、頬骨は高い。口もとは、笑みを浮かべるには縁遠そうに見えるけれど、ひとたびほほ笑めば、ブルーとグリーンの中間色の瞳までがきらめく。その笑みを目にするだけで、心の奥底の緊張の糸がほぐれていくような気がする。
 わたしは、彼に何を言ってしまったのだろう? 会話は断片的に覚えている。でも、すべてを記憶しているわけではない。彼の豊かで温かな、包み込むような笑い声なら、はっきりと思い出せるのだけれど。
 アリスは、名づけ親のデイヴィッド以外には感じたことのない絆を、目の前の男性に感じていた。デイヴィッドは年齢は離れていても、彼女の親友のようだった。けれど、アドニに対する彼女の感情は、デイヴィッドへの思いとはまるで違う。アリスは体が震え、ドレスに包まれた胸の頂が張りつめてきた。
 アドニもそれに気づいたのか、視線を彼女の胸もとに向けた。アリスは息が詰まり、興奮に血が熱くなった。こんな気持ちになるのは初めてだった。だが、彼女は男性経験も、性的な興奮を感じた経験も、限りなくゼロに近かった。
「すっかりお邪魔をしちゃったわね」乾いた唇を舌で湿らせると、アドニの目がその動きをとらえた。衝撃がアリスを襲った。熱い興奮が唇から胸へと広がり、両脚のあいだの感じやすい部分へと下っていく。「もう帰らないと」
 アドニに背中を向け、ハンドバッグを手に取る。振り返ると、彼は距離を詰めていた。近すぎる。彼女は顔を上に向け、視線をそらした。そのとき、自分が裸足だと気がついた。靴を探さなくては。
「きみの帰りを待っている人がいるのか?」
 不安がよみがえり、アリスは表情を曇らせた。デイヴィッドが亡くなると同時に、彼女は家を失った。死の床にあるデイヴィッドの介護に専念していたために、彼を亡くしたあとのことにまで頭がまわらなかった。少しばかり貯金はあったが、仕事が見つかるまで家賃が払えるかどうかは微妙だった。
「わたしは独り暮らしよ」
「それなら、急いで帰る必要はないはずだ」彼は誘惑するような表情を見せた。
 心臓が跳ねあがり、肋骨にぶつかる。呼吸も苦しくなった。「それはつまり……」彼女の言葉は途切れた。「泊まっていけと言っているの?」
「さっきまでは乗り気だったはずだ」
「乗り気?」
「覚えていないのか?」
「わたしは……」アリスは会話の断片を思い出した。「あなたにすごいキスをしそう、と言ったことは覚えている」酔った勢いでそんなことを口走ってしまった。恥ずかしかったけれど、いまや興奮がそれを上まわっていた。
「まだそうしてみたい気はあるか?」アドニの押し殺した声が彼女の下腹部にまで響きわたり、アリスは左右の膝が震えた。
 いまが帰るべきタイミングよ。堅実な人生を送ってきたアリス・トレハーンは、そう思った。けれど、もう一人のアリス・トレハーンは――人生を楽しみたいと願うもう一人のアリスは、興奮にわなないていた。
「あるわ」考えるより先に言葉が口をついて出ていた。これまでは考えはしても、決して口にはしたことがなかった。
「いい答えだ。きみの唇を見ていると、たまらなくなる」
 わたしの唇? アリスは自分の唇に触れようとした。だが、彼女の手がとらえたのは、頭を低くしてきたアドニの頬だった。彼の吐息はコーヒーとブランデーの匂いがした。
 視線を上げると、エーゲ海のような瞳が見えた。その瞳には、問いかけるような色がたたえられている。アドニは引き返す最後のチャンスを提示していた。
 答える代わりに、アリスは彼の短めの髪に指を滑り込ませた。つま先立ちをし、彼の唇に自分の唇を押し当てる。
 アドニは唇を使い、アリスの口を優しく開かせた。彼の温かな舌先が分け入り、奥へと進む。体の内がとろけ、膝から力が抜けていく。アリスを支えているのは、ウエストにまわされた彼のたくましい腕だけだった。
 彼女は空いているほうの手でアドニの胸に触れた。彼の筋肉は固く、熱かった。アリスが体を密着させると、アドニは舌をさらに深く差し入れた。
 ウエストを抱いていたアドニの腕が下に移り、ヒップを引き寄せる。
 彼が欲望の証を押しつけると、アリスは息をのんだ。
 アドニが不意にキスを中断すると、アリスは落胆のあまりすすり泣きの声をもらしそうになった。アリスがすぐに顔を上に向けると、アドニは彼女の額にキスをした。
 彼が体を震わせた瞬間、アリスは気づいた――興奮しているのは、わたしだけじゃない。そう思ったとたん、驚きと喜びが全身を満たした。出会ったときは、わたしが一方的に彼を好きになっていただけ。でも、いまは違う。
「アドニ?」彼女の声はかすれていた。
 彼は顔を上げ、アリスと視線を合わせた。
「引き返したいなら、これが最後のチャンスだ」“目もくらむようなキス”の話をしていたときの、からかうような表情は完全に消え、怖いほど真剣な顔だった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。