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心があなたを忘れても【MIRA文庫版】

心があなたを忘れても【MIRA文庫版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: MIRA文庫
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★★1
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著者プロフィール

 マヤ・バンクス(Maya Banks)
 幼いころからロマンスを愛読し、作家になることを夢見ていた。十代になると毎日ノートを持ち歩き、想像のふくらむまま過激な愛と情熱の物語を書き続けるようになる。現在の話はそのときのものほど過激ではないが、ロマンティックという点では引けを取らない。現在は夫と三人の子供とともにテキサスで暮らしている。狩猟や釣り、ポーカーを好む。

解説

幸せだったあの日々は記憶の扉に閉じこめて――涙なくしては読めない、ギリシア富豪との切ない愛。

彼の子供を妊娠している――その事実を知ったマーリーは一人物思いにふけっていた。子供の父親であるクリュザンダーは世界を股にかけるギリシア人富豪で、ふたりはいま一つ屋根の下に暮らしている。妊娠したと打ち明けたら彼はどんな反応をするだろう?クリュザンダーが二人の関係をどう考えているのか確かめようと、マーリーは仕事から戻った彼にさっそく問いかけた。「ぼくらの間に関係などない。きみは“愛人”だ」返ってきた辛辣すぎるその言葉に、マーリーは凍りつく。だが運命は、さらなる悲劇を彼女に用意していた。

*本書は、ハーレクイン・ディザイアから既に配信されている作品のMIRA文庫版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 マーリーはベッドルームのクローゼットの前に立ち、ずらりとかかっている服をぼんやりと見つめた。手の甲で涙をふき、なにを着るか考えることに集中しようとした。
 どの服も好きじゃない。しかめっ面でクローゼットの右の棚を見ると、Tシャツと色あせたジーンズが積まれていた。
 ジーンズに手を伸ばし、次々と広げてみたが、どれもマタニティ用ではなかった。ハンガーにかかった服もすべて妊娠後期に着る服ではない。ウエストラインがきつすぎる。なぜ?
 ふと気配を感じてゆっくりふりむくと、クリュザンダーが立っていた。彼はもう怒っていないようだったが、マーリーは顔を背けた。
「怒って悪かった」彼がマーリーの手首をとった。
 マーリーは体をこわばらせ、クリュザンダーと目を合わせた。
「あなたのものを勝手に使うべきじゃなかったわ」それから、クローゼットを手で示した。「どうやらわたしたち、別々の生活をしていたみたいね。もう一度こつを覚えるまでは大目に見て」
 クリュザンダーは眉をひそめ、とまどったように彼女を見た。「どういう意味だ? 別々の生活?」
 マーリーは肩をすくめた。「これが証拠よ。だれだってわかるわ。わたしは客用の部屋に寝かされた。服は別々。ものも別々。ベッドも別々。こんな状態だったのに妊娠しているなんて、驚きね」皮肉っぽく言い、そして意を決して、頭のなかでひときわ光を放つ質問をした。「なぜわたしと婚約したの? 妊娠はアクシデントだった? わたしはわざと妊娠してあなたを罠にかけた、卑劣な女なの?」
 ヒステリックにきこえると思いつつも止まらない。マーリーは傷ついていた。安心したかった。幸せな人生を送っていたのだというしるしがほしかった。
「なんだって? こっちへ来るんだ」
 クリュザンダーは有無を言わせずマーリーをベッドに引っぱっていって座らせ、自分も隣に座った。居心地の悪さに襲われ、マーリーはあたりを見まわした。「パトリスは?」人前で喧嘩したくはない。
「僕が戻ったから帰らせたよ」いらだった口調だ。「僕がきみのそばにいられないときは、彼女にいてもらう。一緒にギリシアにも来てもらう」
 マーリーは思わずがっかりした顔をした。「ギリシアではあなたとふたりきりだと思っていたのに」
 クリュザンダーの表情は、マーリーと同じようには望んでいないと告げていた。拒絶されたみたいで、マーリーは胸がつぶれる思いだった。
「看護師は必要ないと思っているのかもしれないが、きみの健康がなによりも大切なんだ」彼の声が優しくなり、目から厳しさが消えた。「きみは妊娠中だ。しかもひどいストレスにさらされた。最高のケアを僕が求めるのは当然だろう」
 マーリーはゆっくりうなずいた。
 彼は真剣な目でマーリーを見つめた。「さっきはすまなかった。あんなふうに言う権利は僕にない」
 マーリーは鼻を鳴らした。クリュザンダーが眉を上げる。「あなたは第一級のろくでなしよ」
「忙しくて八つ当たりしてしまったんだ。許してほしい」
「謝罪を受け入れるわ」冷ややかに言った。
「それと、僕らは別々の生活を送っているわけじゃない。きみが僕を罠にかけてプロポーズさせたわけでもない。二度とそんなことを言ってもらいたくないな」ため息をついてからつづけた。「客用のベッドルームに寝かせたのは、きみの体調を考えてだ。見知らぬ男と部屋やベッドを共有するのはストレスになるかと思ったんだ」
 急にさっきまでの不安がばかげたものに思えた。あれは侮辱ではなく、クリュザンダーの気づかいだったのだ。
 マーリーは肩を落とし、ため息をついた。
「あなたはわたしを求めていないんだと思ったの」
 クリュザンダーはマーリーの顔を手で包んだ。金色の目に光が輝いている。彼は身をかがめ、唇をマーリーの唇の上でさまよわせた。
 マーリーは息をのんだ。体に火がついたようで、彼と唇を重ねたくてたまらなくなった。唇が触れ合った瞬間、稲妻が背筋に走り、野火となって全身に広がった。本能的に彼女はクリュザンダーに体を寄せ、彼はマーリーの頬に指を広げてキスを深めた。胸の先がかたくなり、欲望が下腹をざわつかせる。とがった胸の頂を彼の胸がこすった。マーリーは両腕をクリュザンダーの体にまわし、えりあしに手を差し入れた。安心感に包まれる。病院で目覚めてからはじめて、正しいことをしている感じがした。
 クリュザンダーは低いうめき声をもらし、体を引いた。息づかいは荒く、目は熱っぽかった。
「きみの体は僕を覚えている。たとえきみの頭が覚えていなくても」その言葉には男としての満足感がうかがえ、傲慢にきこえたが、マーリーに自信を与えた。クリュザンダーは、肉体的な次元だけでも彼女が自分を認識したと、喜んでいるようだった。
「合う服がないの」ふいに口走り、ばかなことを言ったと顔を赤らめた。キスをされて脳が溶けてしまったらしい。あわてて気まずさを隠そうとした。
 クリュザンダーの片方の眉がまた上がった。
「なぜマタニティ用の服がひとつもないの? わたし、買ってなかったの?」
「悪かった、|かわいい人《ペダキ・ムー》。考えていなかったよ」彼は誘惑的なほほえみをゆっくり浮かべた。「ジーンズ姿のきみを見るのは大好きなんだが」
 マーリーは首をかしげた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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