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愛なき富豪と孤独な家政婦【ハーレクイン・セレクト版】

愛なき富豪と孤独な家政婦【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジェニー・ルーカス(JENNIE LUCAS)
 本屋を経営する両親のもとたくさんの本に囲まれ、アメリカ、アイダホ州の小さい町で遠い国々を夢見て育つ。十六歳でヨーロッパへ一人旅を経験して以来、アルバイトをしながらアメリカじゅうを旅する。二十二歳で夫となる男性に出会い、大学で英文学の学位を取得した一年後、小説を書き始めた。現在、幼い子供ふたりの育児に追われながらも執筆活動を通して大好きな旅をしているという。

解説

数多の女性たちを虜にしておきながら、愛だけは与えない男。それが家政婦のエマが7年間仕えてきた雇い主、世界的なホテル王チェーザレ・ファルコネッリだ。彼に快適な生活を送らせるべく、エマは料理や掃除はもちろん、ときには主のベッドに居座る美女を追い払う役目までも担ってきた。でもまさかそのベッドで、私自身が目覚めることになるなんて……。やがて、エマは妊娠に気づく。病身の彼女にとっては奇跡だった。だが妊娠を打ち明ける前に、チェーザレはエマに愛人になれと迫った。そして彼女が退職を申し出ると、怒りに駆られ、札束を投げつけたのだ。エマは傷つき、黙って彼のもとを去った。10カ月後……

■赤ん坊と二人で生きていこうと、ロンドンからパリへ渡ったヒロインでしたが、出張に来たヒーローとまさかの再会。彼に瓜二つの赤ん坊がベビーカーにいるのを目にしたとき、彼が取った行動とは?新女王ジェニー・ルーカスが綴る、傑作シークレットベビー物語!

*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 エマはかぶりを振った。「もうあなたのために働くのはやめたの」
「どうしても決心は変わらないのか?」
 彼の低くセクシーな声に、指の先まで震えたが、エマは必死で無視しようとした。
「あなたの性格は変えられないわ」つっかえながら言った。「そしてあなたも私の性格を変えられない。おたがいにできることはなにもないのよ。アーサーに私の最後の給料の小切手を切ってくれるよう頼んでください。セント・パンクラスに行く途中で受け取りますから」
「セント・パンクラス?」
「パリ行きの列車に乗るわ。新しい仕事につくの」
 チェーザレは彼女を見つめた。「二週間の猶予もなしに辞めるつもりなのか?」
「ごめんなさい」エマはつぶやいた。
 沈黙が流れた。
「僕はひどいボスだったようだ」チェーザレの口調に、エマは顔を上げた。「オフィスまでわざわざ来てもらう手間を省こう。給料は今払う」
「その必要はありません」
「いや、ある」チェーザレは冷たく言い放った。黒い長袖のシャツとスラックスというチェーザレの外見はいかにも国際的な実業家らしく洗練されていたが、筋肉質な肩から伝わる力と黒い瞳に宿る冷たい怒りは、とても上品とは言えなかった。「ほら」
 彼は財布から五十ポンド札を一握り取りだし、エマのほうに放り投げた。エマは目を見開いて、札が羽根のようにベッドに舞い落ちるのを見た。
「給料だ」チェーザレは顔をゆがめて言い、今度は財布からアメリカドルを取りだした。「君が取らなかった休暇の分だ」ユーロの札を投げた。「クリスマスのボーナス」日本円も投げる。「残業代」ディルハムとロシアのルーブルが続いた。「昇給分だ」
 ショックだった。紙幣が吹雪のようにベッドの上に舞うのをエマは見つめた。ペソ、レアル、クローネ……世界じゅうの紙幣が吹雪のように舞っている。
 財布が空になると、チェーザレはプラチナの腕時計をはずしてベッドの現金の山の上に放った。「さあ」冷たく言う。「僕のために働いた苦労がこれで埋め合わせできるか? これですんだか?」
 エマはごくりと唾をのんだ。彼は富を武器にして、ここまで冷酷にふるまえるのだ。エマをとても卑小に感じさせる。
「ええ。すんだわ」
「これでもう君は僕の使用人じゃない。現時点で」
 頭を高く上げてエマはベッドの紙幣に歩み寄った。取りなさい。自分に言い聞かせた。あなたが稼いだお金よ。すべて受け取るのよ! チェーザレが無造作に放ったお金は、彼にとってはなんということもない金額だ。一晩外で楽しんで衝動的に使ったり、裕福な友人たちのために高価なスコッチを買ったりするお金とほとんど変わらない。
 それでも……。ベッドの上の現金の山に手を伸ばすのは、あさましい気がしていやだった。前に進もうとしたところでエマは立ち止まり、ふっと息を吐いて手を引っこめた。
「今度はなんだ?」
「受け取れないわ。こんなふうにしては」
 チェーザレはゆっくりとベッドをまわって彼女に近づいた。「君のものだ。君が稼いだんだから」
「どうやって?」
「そんなことを言うな、エマ!」
 エマはぱっと彼に向き直った。「ベッドの上のお金なんか受け取れないわ。まるで私が……」
「僕の愛人みたいか?」近づくチェーザレの目が炎のように燃えていた。「君のせいで頭がおかしくなりそうだ」歯ぎしりして言う。「金を受け取りたくなかったら受け取るな。どうしても行く気なら行けばいい。君がなにをしようと、どうでもいい」
「それはいやというほどわからせてもらったわ」かすれた声でエマは言った。
「僕に勝ち目がないこともわからせてもらった。君は僕を利己的なろくでなしだと思っている。僕を憎み、君が言う“愛”を僕に捧げたことで自分を憎んでいるんだ。僕を見たくないから、あの夜を、仕事を辞める口実に使っているのさ」
 エマは息をのんだ。「口実ですって?」
「そうだ」チェーザレは今やすぐそばにいた。エマはふいに自分がほとんどなにも着ていないことを意識した。暗い寝室に二人きりだということも。白いレースのブラの下で胸の先がつんと硬くなった。自分の鼓動が耳の中で大きく響く。そびえたつチェーザレのたくましい体から発する熱も感じられる。彼のまなざしの熱さが恐ろしかった。自分の体が応えるように熱くなるのも。チェーザレが低い声で言った。「君は臆病者みたいに僕から逃げているんだ」
「冗談でしょう? 私が逃げているですって?」
 チェーザレが手を伸ばし、頬に触れた。彼の指先が肌に触れたとたん、エマはその温かさに頬を押しつけたくなるのを必死で抑えることしかできなかった。「君は僕にとってなんでもないんだ、エマ」彼がうなるように言う。「これまでも、これからも」
「よかったわ」喉が苦しい。「私も一刻も早く出ていきたいもの。今夜からは二度とあなたに会わずにすむのがすごくうれしい……」
 チェーザレの手がエマの頬から首へ、むきだしの肩へとすべった。心臓が強く打つあまり、彼が鋭く息をのむ音がほとんど聞こえなかった。エマは震えた。自分がぎりぎりのところにいるのがわかった。
 チェーザレは荒々しく彼女を腕に抱き寄せ、彼女の唇を自分の口で覆った。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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