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水の都の孤独な花嫁

水の都の孤独な花嫁


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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解説

嘘の上に築かれた幸せ。それでも私は愛することしかできない。

その日、スカイエは10カラットのダイヤの結婚指輪をはずした。イタリア人富豪マッテオに熱烈に求愛され、結婚したのに、二人の薔薇色の日々は1カ月しか続かなかった。マッテオは最初から、妻を愛してはいなかったからだ。その証拠に彼はすんなり離婚に応じ、スカイエをさらに傷つけた。でも、いちばんの秘密は守れた。安心した直後、彼女は気を失う。スカイエを助け、病院に運んだのはマッテオだった。しかし意識が戻った彼女が見た、夫の表情はひどく険悪だった。「おなかの子は渡さない」そして、彼は離婚の書類を破り捨てた!

■幼くして両親を失い、ずっと孤独だったヒロイン。生まれてくる子に同じ思いをさせないため、愛する夫に愛されない日々に耐える決意をしますが、ベネチアには幸せだったころの思い出がありすぎて……。HQロマンス期待の星、C・コネリーのデビュー作です!

抄録

「いったいどんな話をしに来たんだ?」マッテオが胸の前で腕を組んだ。スカイエはグラスを持って窓に近づき、ベネチアの町を見おろした。実際にはなにも目に入らなかったが。
「私たちの婚姻関係についてよ」その言葉は弱々しかったけれど、忘れたかった記憶を残らず呼び覚ました。
 一目ぼれの恋。結婚式。夜ごと繰り返された、奔放で官能的な時間。あのころは、マッテオが帰ってくるのを待つのも苦痛ではなかった。睡眠と栄養をとって夫の帰宅に備えた私は、自ら進んで彼のベッドの奴隷となった。そういう以前の愚かな行動を思うと、自己嫌悪で胸が悪くなりそうだ。
「結婚を終わらせることについて話したいの」スカイエは町の景色に背を向けると、大きなダイヤモンドの指輪をねじるように指からはずし、会議用テーブルに置いた。
 表情はいかめしかったが、マッテオが口を開くことはなかった。動揺も怒りもうかがえず、文句を言うことも、彼女を引きとめようとする気配もない。
 なぜなら、二人の結婚生活の根っこにあるのは、私に対する思いではないからだ。
 マッテオに結婚を決意させたのは、彼の祖父と父親、そしてスカイエが聞いたことさえなかったばかばかしいホテルが理由だった。彼らの人生を左右した出来事に対する復讐が、そもそもの始まりだったのだ。
「離婚手続きのための書類を持ってきたの。サインさえしてくれれば、あとは私が処理するわ」
 マッテオは息を吐いた。「見せてくれ」
 離婚の申し出をすんなりとは受け入れないと思っていたのに、目の前の彼はとても落ち着き払っている。そんなに心配する必要はなかったのかもしれない。
「これよ」スカイエはハンドバッグから紙を取り出した。たった五ページの書類だ。
 一ページずつ目を通したマッテオは、やがて書類をデスクの端に置いた。「もし僕が離婚するつもりはないと言ったらどうする?」
 スカイエはぎょっとした。心の中では早くも成功を祝っていたのに。「ばかなことを言わないで」
「結婚を解消したくないことの、どこがばかなことなんだ?」
 大股に近づいてきたマッテオにじっと見つめられると、スカイエは棒立ちのまま体を震わせることしかできなかった。
「私たちの結婚は、まがいものよ。あなたもわかっているはずだわ」
「僕にとってはじゅうぶん現実だ」マッテオがいきなりスカイエの腰に手をまわして引き寄せると、やわらかい体と強くて硬い体がぶつかり合った。なじみのある感覚にスカイエの全身には欲望がみなぎり、とてつもない熱が生まれた。その唇からくぐもったうめき声がこぼれる。離れなければいけないとわかっているのに、離れられない。二度と近づくまいと決意していても、スカイエはほんの一瞬、最後にもう一度だけ夫に触れたくなった。
「現実とは呼べないでしょう」スカイエはかすれた声で否定した。「私、知っているのよ」
「なにを知っているんだ?」穏やかで、やさしささえ感じられるきき方だ。
「なにもかもを」彼女は目を閉じた。「あなたのお父さんと、私の父のこと。二人が同じ女性に恋をして、あなたのお父さんが彼女と結婚したこと。拒絶されて傷ついた父が怒り、手段を選ばずにあなたたちを経済的に困った状況へ追いやったことをよ」
 マッテオは鼻先で笑った。「ずいぶんと控えめな言い方だな。いいか、真相はそうじゃない」彼はぞっとするような表情を浮かべて、スカイエに顔を近づけた。「君の父親ケアリー・ジョンソンは、僕の祖父を破産させた。あいつは、祖父が人生をかけて築きあげてきたものをすべて壊したんだ」
 腹の底からわきあがるようなマッテオの怒りに唖然としたものの、スカイエは気丈に言い返した。「だから、私をひどい目に遭わせたかったの?」
 辛辣で逃れようのない沈黙が二人を包んだ。どんな言葉を使ってどう言うべきかを、マッテオは考えているようだ。
「君をひどい目に遭わせるつもりは、みじんもなかった」彼はようやくそう言った。
「それなら、父を罰したかったの?」
 マッテオはとっさに否定できなかった。真実でないと言えるのか? ろくでなしのケアリー・ジョンソンへの憂さを晴らせたと思ったとき、僕は喜んでいなかったか? 一晩じゅう、ベッドで彼の娘に声をあげさせたときに……そうだ。僕は甘い夜を楽しむと同時に、復讐もしたかった。しかも、スカイエはとても協力的な人質だった。
「君が僕と結婚したのは、愛していたからだろう? 忘れたのか?」
 ええ、私はマッテオを夢中で愛していた。でも、すべては仕組まれたことだった。質問をはぐらかされても、スカイエは冷静に受けとめていた。夫が私に抱いていたのは、愛とはほど遠い感情だったのだ。「愛と憎しみはとても似ているわよね? それでも、愛がこんなに早く別の感情に変わるとは驚きだわ」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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