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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

結婚という名の檻の中で

結婚という名の檻の中で


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジュリア・ジェイムズ(Julia James)
 十代のころに初めてミルズ・アンド・ブーンのロマンスを読み、それ以来の大ファン。ロマンスの舞台として理想的な地中海地方、そしてイギリスの田園が大好きで、とくに歴史ある城やコテージに惹かれるという。趣味はウォーキング、ガーデニング、刺繍、お菓子作りなど。現在は家族とイギリスに在住。

解説

割りきったはずの契約結婚。なのになぜこんなに胸が騒ぐの?

なんとしても父が遺してくれた屋敷だけは守りたい──日々の生活にも困窮しているダイアナの望みはそれだけだった。そんな彼女の前に現れたのがニコス・トラモンティス、若くして巨万の富を築いた億万長者だ。彼は野心を隠しもせず、社交界へ足を踏み入れるのに彼女の家柄が必要だと言い放ち、大金と引き替えに2年間の契約結婚を申し出た。両親から愛は危険なものだと学んでいたダイアナは、愛するリスクもなく純潔も守れるならと、承諾してしまう。“ベッドで楽しみ、飽きたら捨てる”という彼の邪心も知らずに。

■無垢で愛らしいヒロインを描くことに定評のあるジュリア・ジェイムズ。今作も期待に違わぬシンデレラ・ロマンスです!紳士的な富豪ニコスがハネムーンで見せた別の顔にダイアナは驚いて……。

抄録

「ミスター・トラモンティス?」
 ダイアナはぽかんとした顔でハドソンを見つめた。執事兼雑用係のハドソンが、彼女のまったく予想外の訪問者の名前を告げたからだ。ニコス・トラモンティスが来るとは夢にも思っていなかった。グレイモントに、いったいなんの用があるのだろう?
 とたんに落ち着かない気分になったが、それでもダイアナは書斎に向かった。招かれざる客は、本棚に並んだ革の表紙の本を眺めていた。彼女が入っていくと、こちらに顔を向けた。あいかわらず息をのむほどハンサムだった。
 ロンドンから戻り、一週間が経っていたが、たちまちオペラを観劇した夜に引き戻されていた。だが今日の彼はタキシードではなく、ぱりっとした白いシャツにチャコール色のスーツを合わせ、ブルーのネクタイを締めている。タキシードもよく似合っていたが、スーツ姿もなんとも魅力的だった。
 ダイアナは胸がどきどき鳴りだした自分にとまどいながら、彼のほうに歩いていった。
「ミズ・セントクレア」ニコス・トラモンティスはそう言いながら手を差し出した。
 ダイアナはその手を取ったが、すぐに離した。
「連絡もしないで急に来たりしてすまなかった」ニコス・トラモンティスは淡々と言った。「でも、きみと話したいことがあったんだ。これはぼくだけでなく、きみにとってもいい話だ」
 ダイアナはなんのことかさっぱりわからなかったが、それでも暖炉のそばの古びた革張りのソファに座り、ベルを鳴らしてハドソンを呼び、コーヒーを持ってくるように頼んだ。
 再びふたりだけになると、ダイアナは招かれざる客に椅子に座るよう勧めてから、視線を合わせた。「あなたが何を話しに来たのか、わたしには想像もつきません、ミスター・トラモンティス」
 また誘いをかけてくるために、わざわざここまで来たのだろうか? ダイアナはうんざりしてそう思った。そうでなければいいのだけれど。
 トラモンティスは笑みを浮かべながら肘掛け椅子に座り、長い脚を組んだ。そのしぐさがあまりにセクシーだったので、心に警報が鳴り響き、ダイアナは身構えた。するとタイミングよくハドソンがコーヒーを持ってきてくれた。彼女はトラモンティスから顔をそむけ、コーヒーをポットからカップについだ。「お砂糖とミルクはどうなさいますか?」
「ブラックで」彼は短くそう答え、彼女が差し出したカップを受け取った。
 だがコーヒーを飲もうとはせずに、本棚が並んだ部屋を見まわし、それからダイアナに顔を向けた。
「きみはすばらしい屋敷を持っている、ミズ・セントクレア。売却しようとしないわけがわかったよ」
 彼女は目を見開いた。なぜニコス・トラモンティスはそんなことを知っているの? 彼にはまったく関係のないことなのに。
 彼はダイアナの顔を見ながら皮肉っぽい笑みを浮かべた。「そんなにむずかしいことじゃないさ、きみの財政事情を推測するのは。ぼくはイギリスのカントリー・ハウスには詳しくないかもしれないが、道路に穴があいていることや、石造りの建物がところどころ崩れかけていることや、庭に手入れが必要なことくらい、すぐにわかる」
 そう言うと、彼はコーヒーを口に運んでから、カップをテーブルに置いた。それから再び彼女と視線を合わせた。
「きみがトビー・マスターソンとつきあっている理由もわかった。彼が投資銀行の経営者だからだろう」
 怒りがふつふつとわきあがり、ダイアナは冷ややかな声で言った。「ミスター・トラモンティス、いったいなぜ――」
 彼は手を上げてダイアナの言葉をさえぎった。「ぼくの話を聞いてくれ」
 そして彼女をまじまじと見つめた。ダイアナは普段着だった。緑色のセーターに緑色のスラックス。髪は結ってクリップでとめてある。アクセサリーはひとつもつけておらず、化粧もほとんどしていなかった。だがそれでも肌は透けるように白く、目を見張るほどの美貌は健在だった。
「きみが金に困っていることはわかっている」彼は同情するように言った。
 だがダイアナはその言葉を聞いて警戒したようだった。顔から表情がなくなり、口もとがきつく引き結ばれた。コーヒーにはまったく手をつけていない。
「ぼくなら、きみを助けられる」彼は淡々と話を続けた。「これからぼくが提案しようとしていることは、きみの先祖も代々していたことだ。彼らもきっとこんなふうにして問題を解決していたんだろう。まあ、近ごろでは少なくなりつつあるが、まったくないわけではない」
 ニコスはそこで再びコーヒーを口に運び、おもむろにカップをテーブルに戻した。それから彼女のほうに顔を向けた。ダイアナの顔にはあいかわらずなんの表情も浮かんでいない。彼は先を続けた。
「きみは父親から受けついだ家族の財産を守りたいと思っている。だが、それには莫大な金が必要だ。それはきみも痛いほどよくわかっているだろう? 相続税を支払い、この歴史的価値のある屋敷を修復して維持する費用をまかなうのは、きみひとりでは無理だ。だから、きみは解決策を考えた」
 ダイアナは表情を変えなかった。石のように硬い表情で黙りこくっている。だがニコスは気にしなかった。それどころか、そんな顔のダイアナもとびきり美しいと思っていた。まさに“氷の乙女”という呼び名にふさわしい。美しいが、冷たくて近寄りがたい。ダイアナはナディアともほかのどんな女性ともちがっていた。ニコスはそんなところがとりわけ気に入っていた。


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