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夢の一夜の代償【ハーレクイン・ディザイア傑作選】

夢の一夜の代償【ハーレクイン・ディザイア傑作選】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイアハーレクイン・ディザイア傑作選
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 サンドラ・ハイアット(Sandra Hyatt)
 RITA賞ノミネート経験もあるUSAトゥデイのベストセラー作家で、心温まるユーモアを織り込んだ情趣あふれる情熱的作風が魅力。2011年8月、急逝。生前数カ国に住んだが、故郷はニュージーランドと語っていた。

解説

孤独を癒したかった夜――夢の一夜か、悪夢の一夜か。

別れた元恋人の華やかな結婚披露パーティに出席中、孤独が身に染みたキャリーは、闇に沈むバルコニーへ出た。するとそこには、先客がいた。謎めいた緑の瞳の美男。名はニック。寂しさを埋めるように、キャリーはニックに誘われるまま踊り、生まれて初めて理性を忘れて、彼と熱い一夜をともにした。しかし翌朝、ニックの名刺を見てフルネームを知り、驚愕する。私から恋人を奪った花嫁の兄……しかも名だたる大富豪だったなんて!キャリーは何も告げず、眠る彼を残して逃げるように立ち去った。ところが後日、ニックと仕事上で再会してしまったうえに、彼に妊娠検査を迫られた結果、子供を身ごもっているとわかり……。

■“ハーレクイン・ディザイア傑作選”からお届けする、早世の名作家サンドラ・ハイアットの渾身作です。心寂しさに負けそうになった夜、拠り所を必要としたキャリー。でも恋の相手の正体は、誰より不都合な人物でした。愛なき結婚という現実が目の前に迫り……。

*本書は、ハーレクイン・ディザイアから既に配信されている作品のハーレクイン傑作選となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 妹の結婚式で出会った相手に惹かれるとは思いもしなかった。アンジェリーナと過ごした数カ月間で疲れ果て、しばらく自由を満喫しよう、当分は誰ともつき合わずにひとりを楽しもうと思っていたのだ。
 ひとりに乾杯し合った女性が今、隣にいる。
 だが、この女性は何かが違う。夜闇にたたずむ姿をひと目見た瞬間、自分と同じ何かがあると思えた。今も手を握っているだけで、つながりのようなものを感じる。
 この世には運命と呼ぶべきものがあるというのが、祖母ローザの口癖だ。ニックはその考えを否定していた。運命など信じるたちではない。男なら自分で運命を切り開くものだ。しかし……これは運命かもしれない。祖母の意味ありげな柔らかい笑い声が聞こえたような気がする。電話をかけにバルコニーに出たのは、祖母に口やかましく言われたからだ。やはり祖母は何かを予見していたのだろうか。
 いくら否定しようと祖母は自説を曲げず、一族の中でニックひとりが自分の“能力”を受け継いでいると言い張った。そして今回のように、祖母の言うとおりだとしか思えないことも何度かあった。それを口実に、出会ったばかりの女性をベッドに連れこもうとしているのかと、ニックは失笑した。
 これは運命なんかじゃない。欲望がつのっただけだ。ニックはエレベーターのボタンを押した。
「何を笑っているの?」
 かたわらの女性を見おろしたニックは、チョコレート色の瞳に引きこまれた。空いているほうの手を上げ、彼女の顔を取り巻くシルクのような髪に触れた。情熱の一夜が明けたあとのようすは想像がつく。乱れ髪でまどろむのだろう。そう思ったとたん、ニックは愕然とした。ふだんはこんなふうに先の想像までしないのに。いつも今を生きているのだから。それなのに、翌朝の彼女の姿やベッドで朝食をとるようすまで思い描いている。昼食やディナーをともにして、また一緒に踊るところさえ想像できる。
「笑えることがたくさんあってね」
 キャリプソが返してきた微笑は、ためらいがちだが効果絶大だった。喜びと欲望がふくらんでいく。彼女を笑わせ、あの瞳の奥にひそむ悲しげな影を消してやりたい。少なくとも今夜だけは、彼女にすべてを忘れさせてやれる。ふと、こちらの思いを読み取ったような輝きが彼女の瞳に浮かんだ。衝動がつのり、ニックは目をそらした。ゆるく開かれた唇に今キスしたら、やめられなくなるだろう。再びボタンを押したとき、エレベーターの到着を告げるチャイムが響いた。
 ドアが閉まり、ふたりきりになると、バルコニーにひとりたたずむ彼女を初めて見たときから考えていたことを実行に移した。ほっそりした首筋に手のひらを当て、無防備で柔らかな喉と顎の境目に親指で触れる。手の甲に、しなやかな髪が流れ落ちた。
 ニックはキャリプソを上向かせ、ゆっくりと時間をかけて唇を味わった。
 永遠に時が続くと思えるような、やさしいキスだった。キャリプソがさらに上を向き、唇が深く重なり合った。まさに桃だ。デザートに出た完熟の桃の味がする。キャリプソの唇が、ニックの唇に柔らかくなじんだ。体はほとんど触れていないのに、熱い思いが彼を貫いた。
 ニックは辛抱強く、つねに理性的だと人に言われてきた。だが、このエレベーターの中では理性の糸も切れる寸前だった。最上階に到着し、エレベーターのドアが開いているのに気づいたとき、なんとか耐えられたという安堵と未練が入り混じった。
 ニックは頭を上げ、濃い茶色の瞳を再びのぞきこみながら、キャリプソの両手を持ちあげた。左右の手の甲に交互にキスを落とすと、あわただしく取ってきたパーティバッグが腕の下で揺れた。
 キャリプソを連れてスイートルームに向かう。あせりは禁物だ。彼女を夢中にさせるには時間をかけなくてはいけない。キャリプソの手の感触や髪の香りをゆっくりと味わいたい。体を密着させ、彼女が自分と同じリズムで動いているのを実感したい。
 ニックはポケットから部屋のカードキーを出したものの、ドアに差しこもうとしてためらった。キャリプソに目を向ける。彼女の心も決まっていて、本当に僕を求めてくれていると思いたい。自分ひとりの思いこみでなければいい。すると、キャリプソがすばやくカードを取り、ドアに差しこんだ。表示ランプが緑色に光るなり、彼女はドアを押し開けて先に部屋に入った。
 キャリプソが振り向き、手を伸ばしてきた。彼女の両手を取ったとき、ニックは二度と放したくないという気持ちに襲われた。視線を合わせた瞬間、奔放そうでいて純粋とも思えるまなざしに、ニックは我を忘れた。そのまなざしにふさわしい微笑を浮かべたキャリプソが、ニックをドアの内側へ引き入れ、抱きついてきた。
 ニックの胸に顔をうずめ、体をぴったりと合わせながら、しばらくじっとしている。ほかの点でもぴったりだろうとニックは思った。彼女のぬくもりが全身に流れこみ、ますます熱くなる。
 キャリプソが顔を上げ、口づけした。ニックの呼吸が奪われた。
 また桃の味がした。その奥でかすかに広がる彼女だけの味わいと香りが、つのる衝動と熱で引きたてられる。ニックはしなやかな体を両手で撫でさすった。ドレスの赤い布地は柔らかく、つやめいている。
 彼女のすべてが欲しくてたまらない。体じゅうがそう訴えている。この夜は自分にとって、ほかに比べようのない特別なひとときとなるだろう。キャリプソにとっても同じだと思いたい。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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