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裏切りの結末【ハーレクイン・セレクト版】

裏切りの結末【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ミシェル・リード(Michelle Reid)
 1997年の日本デビュー以来たちまち人気を博し、ハーレクイン・ロマンスを代表する作家になる。五人きょうだいの末っ子として、マンチェスターで育った。現在は、仕事に忙しい夫と成人した二人の娘とともにチェシャーに住んでいる。読書とバレエが好きで、機会があればテニスも楽しむ。執筆を始めると、家族のことも忘れるほど熱中してしまうという。

解説

ある日かかってきた、夫ダニエルの浮気を告げる1本の電話――その瞬間、レイチェルの世界は粉々に砕け散った。ダニエルは金融界に名を轟かす、敏腕の会社経営者。仕事は常に忙しく、家を空けることも幾晩もある。17歳で彼と結婚し、あまり世間を知らないレイチェルは、疑いもせず、子供の世話をしながら毎日彼の帰りを待っていた。それなのに彼が本当は浮気していたなんて、何かの間違いよ。レイチェルは淡い期待にすがろうとした。だが帰宅したダニエルは、妻の疑いを否定しようともせず、強引に体を奪おうとして……。

■夫の愛人のことが心に重くのしかかり、思わず夫を拒んだヒロイン。しかし、彼女への関心をあらわにする男性の登場によって、夫の嫉妬心に火がつき……。読者の圧倒的な支持を得る、HQロマンスの大人気作家M・リードが、幼妻の切ない心を綴ります。

*本書は、ハーレクイン・クラシックスから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 レイチェルはベビーベッドにかがみこんだ。マイケルの嬉しそうな笑顔に心の疼きが和らぐ。彼女はしばらくマイケルのおなかをくすぐったり、母と子だけに通じる無意味な言葉をささやいたり、ひたすら赤ん坊の相手をして楽しんだ。
 これは私のものだ。人生が私から何を奪おうとも、子供たちの愛情だけは奪えない。
 マイケルは汗でびしょびしょだった。ベッドから出す前に、レイチェルは服を脱がせてやった。朝はいつもご機嫌なマイケルは、バスルームに抱いていく間も、一人で何やらしゃべりながら母親の胸で体をはずませていた。
 赤ん坊を心地よくタオルに包んで部屋に戻り、服を着せる。いつもは自分の着替えより先にマイケルを連れて階下に下り、朝食をとらせることにしている。だが双子は目ざといから、昨夜のままの身なりの私を見たら、不思議がってわけをきくに違いない。
 ちょうどダニエルが起き出すころ合いだったので、寝室に入っていくには絶大な勇気を要した。キルトの下にダニエルが寝ていないか、レイチェルはそっと薄暗い室内をうかがった。彼はいないと思ったとたんにバスルームで音がした。すぐにダニエルが現れた。すでに白いシャツに鉄灰色のスーツのズボンを身につけている。彼はたちまち妻に気づいて、ぱっと足を止めた。
 ダニエルと知り合って以来、彼の前でこれほど自分のみじめな様子が気になったことはない――あんまり泣いたせいで腫れぼったい目、青ざめた顔、ぼさぼさの髪。
 同時に、これほど彼を意識したこともなかった。高い背丈、ぴんと伸びた背筋、引きしまった筋肉。胸板は厚く、腹部は平らで、腰は引きしまっていて長くたくましい脚は……。
 いけない。レイチェルは口がからからになった。恐る恐る見上げると、夫の視線とぶつかった。よく眠れなかったのか、疲れた様子だ。どんづまりの事態を解決しようとあれこれ思案したのだろう。
 レイチェルは夫に背を向けてベッドに近づき、中央にマイケルを下ろそうとして柔らかなマットレスに膝をついた。マイケルは父親の注意を引こうとして猛烈に足をばたつかせたが、ダニエルの目はぴたりと妻に向けられていた。赤ん坊はじれて大声をあげ、顔を真っ赤にして起き上がろうとした。レイチェルが思わずほほ笑んで、ゆらゆら振っている手をつかまえてやると、マイケルはすぐに母親の手を支えにして起きようとした。
 ダニエルがベッドに歩み寄り、反対側から身を乗り出してもう一方の手を取る。マイケルが起き上がるには、どうしてもその手につかまる必要があった。
「だあ!」マイケルは得意そうに言って両親の手を振りほどき、満足げにキルトの表面をなでた。
 レイチェルは息子に目を注ぎながらも、夫の訴えるような熱い視線を頬に痛いほど感じていた。「レイチェル、頼む、こっちを見てくれ」ぶっきらぼうな懇願がみじめな心に絡みついたが、その願いを受け入れるわけにはいかない。彼女は首を振った。
「いいえ」強いて平静な声で言う。するとダニエルは重い吐息をついて、マイケルを抱き上げ柔らかな頬にキスしてから、ベッドの頭の方に移動させた。レイチェルは警戒してすばやく身を起こしたが、ダニエルの方が早かった。彼女の手首をとらえてそっと引き寄せると、温かく力強い腕で妻をかき抱いた。
 そんなのずるいわ! 情けなく思いながらも、レイチェルはダニエルに抱かれる心地よさに浸り始めた。胸が詰まり、やがてずきずき脈打ち出す。彼女は嗚咽をのみこんだ。
「泣かないでくれ」ダニエルがおろおろとつぶやいた。やさしい言葉を聞いたとたんにレイチェルは自制心を失い、夫の肩に泣きくずれた。彼は妻をひしと抱きしめて、何度も何度もくり返し謝った。「悪かった、ごめんよ。すまなかった、ごめん……」
 だが、それで十分だろうか? 謝ってすむ問題ではない。ダニエルは何もかも踏みにじったのだ。愛も、誠実さも、信頼も、尊敬も。
「もう、大丈夫よ」レイチェルはつぶやくと、途方もない力を尽くして立ち直り、身を引こうとした。
 だがダニエルは腕に力を込めた。「耐えられないほどきみを傷つけてしまった、レイチェル」自分の苦悩をぐっと抑えてつぶやく。レイチェルは彼の胸がこわばり鼓動が乱れるのを感じた。「だが、性急にことを決めてはいけない、今きみはひどく……」感情的になっている――レイチェルは彼が何を言おうとしたか察したが、ダニエルはその先は口にしなかった。「もう一度チャンスをあたえてくれれば、どんな努力でもするよ。ぼくがたった一度ばかな過ちを犯したからって、何もかも投げ出さないでくれ。そんなこと、きみにできるわけがない!」
「投げ出したわけじゃないわ」レイチェルが言い返して身を引くと、今度はダニエルも手を離した。服を探して部屋の中を歩き回る妻を暗いまなざしで見守っている。
 するとマイケルが泣き出し、二人を驚かせた。朝食が欲しいのだ。レイチェルは服を胸に抱えたまま、困惑して部屋の真ん中で立ち往生した。まず着替えるか、マイケルを先にするか決めかねていた。
 結局ダニエルが赤ん坊を抱き上げてドアに向かった。「マイケルはぼくが見てる。着替えをしたまえ。まだかなり早いから」夫が出ていくと、レイチェルは緊張がゆるんで文字どおりへたりこんだ。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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