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赤毛の貴婦人【ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル版】

赤毛の貴婦人【ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 マーガレット・ムーア(Margaret Moore)
 俳優エロール・フリンに憧れ、『スター・トレック』のミスター・スポックに恋をした少女は、やがて謎めいた魅力的な悪漢をヒーローに仕立てたロマンス小説を書くことに夢中になった。カナダのオンタリオ州スカボローに夫と二人の子供、二匹の猫と暮らしている。読書と裁縫が趣味。

解説

初めて会った美貌の許婚は、世にも傲慢不遜な領主だった。

領主サー・ロジェに嫁ぐマイナは、運悪く大嵐に見舞われ、やっとのことで許婚の待つ城に到着した。だが、彼女はずぶ濡れだというのに、ロジェは出迎えさえしないという。それどころか、花嫁なぞ不要とばかりに始められた祝宴は既にたけなわ。愕然とするマイナだったが、意を決して大広間に踏み入り、奥の一段高い場所からこちらを見据える端整な顔の許婚を見つけた。そして精いっぱい反抗的な挨拶をして、部屋に引き上げた。するとしばらくして、ロジェがマイナの寝室を訪れ、彼女の先ほどの態度を戒めるため、冷徹に釘を刺した。「わたしの妻となる者に許されるのは、“服従”だけだ」

■赤毛は嫌いと公言する傲慢なサー・ロジェ。一方、赤毛のマイナは、彼の予想に違わず芯の強い娘ですが、婚礼の前夜、彼女はロジェが初夜に関して談笑しているのを漏れ聞いてしまい……。すれ違いがすれ違いを呼ぶ波瀾万丈の愛の物語を初リバイバルでお届けします。

*本書は、ハーレクイン・ヒストリカルから既に配信されている作品のハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 兎が一羽、下生えの藪から用心深く顔をのぞかせたのを見つけて、マイナはほほえんだ。食べ物を探しているお母さん兎かしら? それとも、連れ合いを探している雄兎?
 すると突然、その兎が怯えたようにぱっと小道を横切った。マイナの耳に、馬のひづめの音が聞こえてきた。
 案の定、それはサー・ロジェとレジナルドの一行だった。マイナはもう目的を達したので、隠れようとはしなかった。
「マイナ!」レジナルドが叫んだ。サー・ロジェが止まれの合図をしたので、声に安堵の色がにじんでいる。「どこに行っていたんだ?」
「お花を摘んでいたのよ」マイナはにらみつけるサー・ロジェを無視して静かに答えた。兵士たちが鞍の上で神経質に腰を浮かす。「警戒する必要はないわ」
 サー・ロジェがひらりと馬から飛び降りた。口をへの字に曲げ、黒い目をぎらつかせて、マイナのほうへ歩いてくる。「貴婦人がひとりで遠乗りに出るのは危険だ」その恐ろしい視線はきりきりとマイナを突き刺すように思えた。
「そうかしら、サー・ロジェ? あなたの領地は安全ではないの? 無法者たちはあなたの名前を聞いても震え上がらないの?」
 ロジェは、彼のことを領民の安全すら守れない男だとほのめかしている、澄んだ瞳の愚かな女を見つめた。「どんな森も、女のひとり歩きには安全ではない」
「そうだったわ。それを忘れるとは、わたしってなんておばかさんなのかしら」
 マイナはサー・ロジェのそばを通り過ぎようとしたが、彼に腕をつかまれ、引き寄せられた。馬の手綱がマイナの手から離れ、もう一方の手に持っていた花束が彼の胸に押しつぶされた。「きみはおばかさんではなく、貴婦人だ。貴婦人らしく扱われたかったら、そのように振る舞うんだな」ロジェがさらにマイナを抱き寄せたので、マイナの胸は彼の硬い胸板に押しつけられた。「それとも、貴婦人らしく扱われないほうがいいのかな?」ロジェはしわがれ声でささやいた。「それでもいいぞ。わたしがきみを森のなかに引きずり込んだら、あのまぬけなレジナルドが助けに来ると思っているのか? それとも、きみは森のなかに引きずり込まれたいのかな?」
「あなたはそんなことはしない――」
「わたしはなんでもやりたいことをやる。ここはわたしの領地だし、きみはわたしの妻になる。またわたしを怒らせたくなかったら、言われたとおりにするがよい」
「さもないと、どうするつもり? わたしを力ずくで奪うの?」マイナは問いただした。まわりに聞こえないほどに声は低かったが、その真剣な語調の裏には紛れもない情熱と確信があった。
 ロジェがその無遠慮な言葉に驚いて呆然とマイナを見つめているので、彼女は体をよじってロジェから離れた。彼はただ脅してマイナを従わせようとしたにすぎなかったのだ。
「たしかにあなたはなんでもおできになるでしょう。ですから、わたしが貴婦人らしく振る舞うとしたら、あなたは紳士らしく振る舞ったらいかがかしら?」マイナはつぶれた花束を投げ捨てて、腕を組んだ。「レジナルドのことであなたが言ったことは正しいわ。そのことはわたしもわかっています。たぶん、もっとよく知っているでしょう。ご安心ください、サー・ロジェ、結婚したら、人前では素直で従順な妻になりますから。でも、わたしの気持ちを無視してわたしを抱こうとはしないで。わたしに残されたわずかばかりの尊厳まで打ち砕こうとしたら、きっと後悔するわよ」マイナはそう言うと、垂れ下がっている手綱をつかんで、馬に乗ろうとした。
 ロジェがマイナをぐいと振り向かせた。
 マイナの視線が、腕をつかんでいる彼の力強いほっそりした指から険しい顔へと矢のように動いた。「痛いわ、サー・ロジェ」
 ロジェはマイナの腕を放した。マイナはすばやく馬にまたがり、全速力で城に向かって駆けていった。
 ロジェは自分の馬のところへのろのろと戻った。怒りと困惑のあまり、皆が興味津々の驚いた顔をしているのにも気づかなかった。いや、参った。マイナには驚かされた――それも、彼女の言葉にばかりではない。
 最も威圧的なときのわたしを怖がらない女がいたとは。彼女はどうやってああした振る舞いを身につけたのだろう? あの信じられないほど断固とした決意と、きらきらした灰色の瞳に宿る激しさは、いったいどこから来たのだろう? 彼女には度肝を抜かれたが、もっと驚いたのは、ロジェが感じたもうひとつのことだった。
 ロジェはマイナが気に入った。彼女の威厳ある態度と自信に感嘆した。彼女に敬意すら覚えた。
 鞍に手をかけて、馬の背に飛び乗ろうとしたとき、もうひとつの感情がロジェを襲った。彼女が欲しかった。そんな自分の欲望に気づいて、ロジェは激しく動揺した。
 だが、自分が感じたもの――彼女の体を自分の胸に抱き寄せたときに初めて感じたものを否定することはできない。森のなかで、かぐわしい花の香りに包まれて、髪を乱し、頬を薔薇色に染めたマイナは、野性的で、飼いならされていないように見えた、自由で、奔放で。ああ、あの情熱を少しでもわたしに振り向けさせることができたら……。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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