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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

暴君と夢見る小鳥

暴君と夢見る小鳥


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジェニー・ルーカス(JENNIE LUCAS)
 本屋を経営する両親のもとたくさんの本に囲まれ、アメリカ、アイダホ州の小さい町で遠い国々を夢見て育つ。十六歳でヨーロッパへ一人旅を経験して以来、アルバイトをしながらアメリカじゅうを旅する。二十二歳で夫となる男性に出会い、大学で英文学の学位を取得した一年後、小説を書き始めた。現在、幼い子供ふたりの育児に追われながらも執筆活動を通して大好きな旅をしているという。

解説

愛なき結婚に甘んじるのは、いとしい我が子に父親を与えるため。

水害で愛する家族も家もすべてを一瞬にして失ったハリー。高級ホテルの客室係として働き始めた彼女を支えていたのは、いつか誠実な男性と温かな家庭をもちたいという夢だけだった。それなのに、私はなんて愚かだったのかしら?雇い主のホテル王クリスティアーノに誘惑されて一夜で妊娠。ベッドからもホテルからも追いだされ、独りぼっちで我が子を産み育てることになるなんて……。困窮に耐えきれず、すがるようにクリスティアーノを訪ねたハリーは、残酷な言葉に身を震わせた。「君と結婚する。だが愛するのは息子だけだ」

■スター作家ジェニー・ルーカスが描く、心を揺さぶるドラマティックなシンデレラロマンスをお楽しみください。ハーレクイン・ロマンスの代名詞ともいうべき大スター作家、ペニー・ジョーダンの作品が好きな方にとくにおすすめしたい一作です!

抄録

 クリスタルのデカンタの蓋を取り、ちらりとハリーを振り返る。彼女はためらいがちに部屋に入ってきたところだった。「スコッチを飲むか?」
 ハリーが驚いた顔をして、かぶりを振った。
 クリスティアーノは再びバーのほうを向き、氷を入れたグラスにスコッチをついだ。それからデカンタの蓋を戻し、スコッチをゆっくりとひと口飲んだ。時間稼ぎをしていると自分でもわかっていた。
 ハリー・ハットフィールドとの一件はクリスティアーノにとって最大の過ちだった。三十五歳で、過去に女性がらみのスキャンダルがいくつもある彼にとってさえも。
 クリスティアーノはハリーに向き直り、ぶっきらぼうに言った。「さあ、二人きりになった。君の望みはなんだ?」
 ハリーは顔を赤らめ、ごくりと唾をのみこんだ。なんと言おうか考えているようだが、何も言う必要はない。彼女がここに来た理由はわかっている。
 金を要求しに来たのだ。
 クリスティアーノはひそかに自分を罵った。おまえはどこまで愚かだったんだ?
 こういう事態になるのはわかっていた。むしろ一年もかかったことのほうが驚きだ。
 ハリーは弁護士に相談したに違いない。弁護士は僕を不当解雇で十分訴えられると指摘したのだろう。あの日、僕は衝動的に彼女を解雇した。人生で最も愚かなことをしでかし、動揺していたからだ。
 僕はハリーを誘惑した。それは間違いない。予定より一日早くニューヨークに着いてペントハウスに戻ると、寝室から彼女の甘くハスキーな歌声が聞こえた。その哀愁をおびた悲しげな響きを耳にし、失ったものへの切望で胸がいっぱいになった。決して手に入らなかったもの、あえて夢見ることもなかったものへの切望で。
 そして彼女を見た。腕を広げ、真新しいシーツを振っている彼女を。信じられないほど美しく、砂時計のように官能的な体つきをしたブルネットの女性がベッドを整えていた。客室係の黒い制服さえ、彼女が着ると言いようもなくエロチックに見えた。
 思わず声をもらすと、彼女が振り返った。美しい顔を次々と感情がよぎった。驚き、恐れ、喜び。二人の視線がからみ合った瞬間、自分の名前すら忘れてしまった。
 それから彼女に向かってどうにかほほえんだ。“いつもの客室係じゃないね”
“カミールはお孫さんの世話をするために早く帰りました。彼女には、あなたに姿を見られないようにと言われていたんですが……”彼女が口ごもった。“私は目に見えない存在でなくてはならないんです”
 僕は彼女の体をむさぼるように見つめ、つぶやいた。“君が目に見えない存在でいるのは無理だ。さっき歌っていた歌はなんだい?”
“アパラチア地方の民謡です”
“美しい”触れられるくらい彼女に近づき、ささやいた。“それに、君も美しい”
 彼女が頬を薔薇色に染め、唇を開いた。無意識に誘惑するように。
 僕は彼女を引き寄せた……。
 誰が悪いかはわかっている。僕はハリーが欲しかった。だから彼女を抱いた。その結果どうなるか考えもせずに。もし考えていたら、自分を抑えただろう。雇い人とベッドをともにしないのは僕のルールの一つだ。
 だが、僕はさらにルールを破った。ハリーは雇い人というだけでなく、バージンでもあった。僕はバージンを抱かない。セックスを愛と取り違え、あとでトラブルの種になる女性と軽率につき合ったりはしない。
 最初のキスで、ハリーがバージンだとわかった。甘い唇の震えを、彼女のためらいや未熟さを感じ取っていた。
 それなのに自分を止められなかった。
 そのあと、またもやルールを破り、自分とベッドをともにしたという理由で彼女をくびにした。もちろん彼女の上司には何も言っていないが、ハリーにとって解雇の理由は明白だっただろう。彼女の弁護士にとっても。
 しかし今、ハリーがこの部屋の向こう側に立ち、ふっくらした魅惑的な唇を噛みしめているときに、弁護士のことを考えるのはむずかしい。彼女を再びこの腕の中に抱き寄せることしか考えられない。
 一年間、なんとか彼女を忘れようと努力してきた。もう忘れたと自分に言い聞かせてきた。だが、それは嘘だとわかっている。
「君はなぜここにいるんだ?」クリスティアーノは低い声で鋭く尋ねた。
「私は……話があって……」ハリーの言葉が途中でとぎれた。
 クリスティアーノはハリーに背を向け、グラスをがちゃんとカウンターの上に置いた。彼女を抱きしめてキスしたい衝動に屈しまいと、体の脇で両手を握りしめる。彼女の唇を再び味わうという甘美な罪を犯したくてたまらない。
 あの晩ハリーを抱いても、十分ではなかった。もっと彼女が欲しくなっただけだった。腕の中の彼女がすでに恋したようにクリスティアーノを見あげていたことも、役には立たなかった。ハリーは彼に体以上のものを、金以上のものを与えさせようとした。
 だが、クリスティアーノが女性に与えられるのはセックスと金だけだった。
 だからすぐにハリーをベッドから追い出した。そして、翌朝ハリーの上司に連絡を取り、彼女をくびにした。
 それでもハリーを求めるのをやめられなかった。今、クリスティアーノは呼吸を荒くしながら彼女に向かって一歩踏み出した。


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