マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクション恋愛小説ラブストーリー御曹司

婚約破棄、したはずですが?〜カリスマ御曹司に溺愛されてます〜

婚約破棄、したはずですが?〜カリスマ御曹司に溺愛されてます〜


発行: マーマレード文庫
シリーズ: マーマレード文庫
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★★1
◆レビューを書く

¥0サンプル
XMDFのファイルをご覧になるにはブンコビューア最新版(無料)をインストールしてください。

「書籍ファイルが壊れています」と表示される場合は、ブンコビューアを最新版にアップデートしてください。
購入する


解説

ここにいるのは、君に会いたかったからだ
完璧御曹司に愛を乞われ、再び恋心が疼き出す……!?

婚約破棄をきっかけに家を出て、海運会社で働く七倉綾。ある日、突然の人事異動により常務取締役の秘書に任命される。そこで常務として紹介されたのは、かつての婚約者・黒崎湊だった!幸せだった当時と変わらぬ優しさで接してくる湊に、綾は忘れようとしていた恋心が揺れ動く。お互いの言葉の誤解を解くことで、止まった二人の時間が再び動き出し…。

抄録

「お待たせ」
 かすかに息を弾ませた湊が、すぐ傍らに立っていた。
 ――あれ……湊さん、やっぱり顔色が悪い……。
 綾は思わず『どうしたの?』と、湊に手を伸ばしかけた。
 だが、すんでのところで我に返る。
 同時に、耳に、周囲の話し声やピアノの生演奏の音が流れ込んできた。
 幼い頃から馴染んできた、華やかな雰囲気に流されたせいだろうか。
 湊を、昔の湊のように感じてしまったのだ。
 ――疲れてるのかな、私。
 綾は伸ばしかけた手を収め、さりげない口調で言った。
「お疲れさまです」
 立ち上がった綾に、湊が微笑みかけた。
「……お疲れさま。君のそんな格好、初めて見る」
 大人びた顔立ちの湊が、少年のようなはにかんだ笑みを浮かべる。その笑顔に、綾の心臓が締めつけられる。
 昔と同じ、優しい笑みに見えたからだ。
「はい、お客様の目に触れる職種になったので、配慮しようかと思って」
 ドキドキしているのは、過去の記憶のせいではない。新しい上司が規格外の美貌の持ち主で、さらには、笑顔を突然向けられたからだ。
 ――こんな男前に微笑まれたら、誰だってドキドキするに決まってる。湊さんは、そういう意味では、ズルい……。
 綾は湊から視線をそらし、彼に尋ねた。
「これからどうなさいますか?」
「上のレストランを予約してある。君はあの店が好きだっただろう?」
 綾は当惑し、口をつぐんだ。湊が言っているのは、何度か連れてきてもらったフレンチレストランだ。
 フランスの批評誌で、毎年星を得ている高級店だ。今の綾には贅沢すぎる。
「秘書と訪問されるようなお店ではないと思いますが」
 綾の硬い声音に、湊が唇を軽く吊り上げる。
「もう予約してしまったから」
「……今日は、どのようなお話を?」
 尋ねると、湊が軽くため息をつく。
 光の加減か、やはり彼の目の下に、うっすら紫のくまが浮いて見える。
 見咎めて、綾は眉をひそめた。
 付き合いが長いから知っている。
 湊はどんなに具合が悪くても、それを表に出そうとしない。
 常に快活でいなければ周囲を不安にさせるし、『後継者になるには体力が足りないのではないか』など、心ない噂も立てられるからだ。
 ――まさか、また無理してるのかな?
 無視しようかとも思ったが、やはり心配が先に立つ。
 湊はエレベーターの前で足を止めた。
 逡巡の末、綾は、湊の引き締まった背中に向けて尋ねた。
「常務、少しお疲れなのでは?」
 湊が驚いたように振り返る。
 黒い目が射貫くように綾を見ている。
 綾は勇気を出し、言葉を続けた。
「体調がすぐれないのであれば、無理せず帰られた方がよいかと」
「ありがとう。相変わらず鋭いな……ただの時差ボケだ。おとといアメリカから戻ったばかりでうまく眠れなくて」
 言いながら、湊が、ゆっくりと綾の顔を覗き込んだ。
 非の打ちどころがないほど整った顔が近づき、綾の心臓が止まりそうになる。
 黒い目に、心の中まで覗き込まれそうだ。
 気付けば湊がとても近くにいる。
 周囲から見たら、恋人同士と誤解されそうなほど、すぐ近くに……。
 綾が言葉を失った刹那、軽いベルの音と共にエレベーターのドアが開いた。
 同時に、外国人の子供が飛び出してきて、綾にぶつかりそうになる。
 パンプスの綾は、子供を避けようとしてよろけかけた。
 ――あ……っ!
 バランスを崩して体勢を立て直せない。転んでしまうかもと思った時、不意に力強い腕に抱き寄せられた。
 爽やかな香りが綾の胸を満たす。
 一拍遅れて、湊の胸に抱き寄せられているのだと気付いた。
 広くて引き締まった胸にもたれたまま、綾の思考が停止する。
『なぜ駄目と言ったのに飛び出すの! ああ、ごめんなさい、大丈夫かしら?』
 エレベーターから降りてきた女性が、子供を厳しく叱りつけ、英語で綾たちに話しかけてきた。
 湊に抱かれて呆然としていた綾は、我に返って、慌てて彼の腕から離れた。
『大丈夫です』
 笑みを浮かべ、英語で答えて会釈をし、エレベーターに先に乗り込んで扉を押さえる。
「失礼しました、黒崎常務。お乗りくださいませ」
 貼りつけたような笑顔の綾に、湊が言った。
「ありがとう」
 エレベーターの扉が閉まり、沈黙が狭い空間に満ちる。
 何を話していいのか分からない。
 綾は操作パネルを見つめたまま、じっと身を硬くした。
 側にいるだけで落ち着かない。
 湊の一挙一動に、動揺してしまう。
 同時に、こんな状態で仕事としてやっていけるのだろうかと、不安も感じる。
 再び軽いベルの音が鳴り、エレベーターは上階のレストランフロアへ着いた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。