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愛を禁じた理由
著: アマンダ・ブラウニング 翻訳: 青海まこ発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:630円(税込)
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対応端末:パソコン ソニー“Reader”
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著者プロフィール
アマンダ・ブラウニング(Amanda Browning)
イングランドのエセックス州に生まれ、今もそこに住む。本で読むような、波瀾万丈の人生を二人の兄や双子の妹とともに生きてきた。本が大好きで図書館に職を得たが、やがて独身の身軽さで作家として身を立てる決意ができたと語る。成功したことがまだ信じられないが、今では余裕ができ、刺繍やバードウォッチングなどの趣味も楽しんでいる。
イングランドのエセックス州に生まれ、今もそこに住む。本で読むような、波瀾万丈の人生を二人の兄や双子の妹とともに生きてきた。本が大好きで図書館に職を得たが、やがて独身の身軽さで作家として身を立てる決意ができたと語る。成功したことがまだ信じられないが、今では余裕ができ、刺繍やバードウォッチングなどの趣味も楽しんでいる。
解説
社交に明け暮れる奔放な生活を送っていた十代の頃、エイミは思慮のなさから取り返しのつかない事故を起こした。罪悪感にさいなまれ、現実の厳しさに目覚めた彼女は、それ以来別人のように生活態度を改め、今は外科医ニックの有能な秘書として働いている。ある日、ニックの両親の屋敷に招かれたエイミは、彼の兄で著名な実業家ジョナスと出会う。プレイボーイと噂され、圧倒的な魅力を放つ彼をひと目見て、エイミは激しく惹かれた。いったいどうしたというの? この九年、幸せにつながるものすべてを自らに禁じてきたのに。
抄録
「みんなさぞ喜んだでしょうね」
冷たい言い方に、ジョナスの目の奥で何かがひらめく。彼は笑って降参した。「お見事だよ、エイミ。うまい返事だ。弟が君を高く買うのも無理はない」
「私は最善を尽くしているだけよ」
「やあ、騎兵隊が来たぞ」ジョナスはそっけなく言った。「なかなかいいタイミングだな」
料理を手に現れたニックが、エイミの前にカップと皿を置き、兄を見やって尋ねた。「タイミングがいいって、何がだい?」眉をひそめている。
「料理を持ってくるタイミングさ」ジョナスは弟に向かっていたずらっぽく笑った。「エイミはテーブルさえ食べそうになっていたんだ」
「遅くなってすまない」
「謝らなくていいわ」警告の視線をジョナスに向けながら言う。「彼はからかっているだけよ」
「兄はいつもそうなんだ」
ジョナスは苦笑して座り直した。「実は、エイミを口説いていた。だが、彼女は手ごわくてね」
「いいぞ、エイミ!」ニックは彼女にウインクした。「ジョナスが指を鳴らすなり、腕の中に飛びこむ女性ばかりだからな」彼はエイミの隣に座り、勢いよく食べ始めた。
エイミも食事を始めた。しばらく沈黙が続く。
やがてジョナスが尋ねた。「みんなが押しかけてくるのは何時ごろだ?」
「昼前だろう。それからおなじみの儀式が始まる。いつものように、父さんがソーセージやバーガーを火あぶりにするってわけだ!」
兄弟の楽しげな様子に、エイミも微笑を誘われた。
ジョナスがにやりとして彼女を見る。「前にも我が家のパーティに出たことがあるのかい?」
「いいえ、初めてよ」一族の人々に会うのは少し不安だった。かつては見知らぬ人の集まりにも平気で顔を出し、にぎやかなパーティも大好きだった。けれど、あの恐ろしい日以来、笑ったり楽しんだりすることが罪悪に思える。罪を負うべき自分が何事もなかったように楽しむことなど、二度とできそうにない。だからこそ、良心に恥じない生き方を心がけ、パーティのたぐいもことごとく避けてきた。やがて、名ばかりの友人たちは離れていった。
「それなら、たいした経験になるぞ」
ジョナスのおどけた言葉を聞き、エイミは意識を現実に引き戻した。
「そうだ、兄さんはあのときのことを覚えているかい……」
兄弟は楽しげに思い出を語り始めた。エイミはそれを聞き流しながら、椅子にもたれ、最後のクロワッサンをゆっくりと食べた。それから、よく似た兄弟二人を注意深く観察する。どちらもハンサムだが、ニックの顔立ちのほうが優しい。髪は濃い茶色で、兄は黒髪。全体に弟のほうが穏やかな雰囲気を漂わせている。ジョナスはもっと荒々しい。そこに惹かれたのだ。
ふと、エイミは手を伸ばしてジョナスの顔に触れたくなった。記憶にとどめるために。なんてばかげた考えだろう。彼のことなど覚えていたくない。別れるのが早ければ早いほどいい。ところが、そう思ったとたん、彼女の心に小さな喪失感が生まれた。カップを見下ろし、困惑して眉を寄せる。喪失感? 彼が私に求めているのはたった一つのことなのに。でも……彼には何かがある。
笑い声が聞こえ、エイミは我に返った。目を上げると、ニックが愉快そうに身を乗りだし、ジョナスも満面の笑みを浮かべている。彼女も釣られて微笑し、またしても胸に引っかかるものを感じた。
けたたましい笛の音が響き、三人はあたりを見まわした。テラスの端にマイケルが立ち、手招きしている。
「二人ともこっちに来てくれ。テーブルを運ぶのに手が必要なんだ。さあ、早く!」
兄弟は顔を見合わせて肩をすくめ、素直に立ちあがった。
「父は自分の部隊に招集をかけるのが好きなんだ」ニックが愛情をこめて言う。
エイミはにっこりした。「楽しんできて」ニックが先に去ると、ジョナスと視線が合った。彼の顔にあざけりの表情が戻っている。胃がひきつるのを感じながら、彼女は眉を上げて尋ねた。「まだ何か?」
「これだけさ」ジョナスはテーブルをまわりこむと、腰をかがめ、避ける暇も与えずエイミの頬にすばやくキスをした。
「ちょっと!」彼女は抗議の声をあげた。だが、ジョナスの唇の感触に息がつまり、たちまち鼓動が速まる。あまりにもすばらしかった。
ジョナスは反省の色も見せない。「少しは楽しみがないとな。これは分割払いのようなものだと考えてくれ」
さらりと言ってから、彼は弟のあとを追った。言葉も出ないエイミを残して。
彼女はジョナスの後ろ姿を見送った。なんて魅力的な姿だろう。いまいましいけれど、あの人の外見は完璧すぎる。広い肩に引き締まったヒップ、そして長くたくましい脚。彼に匹敵する男性など、そうはいないはず。そんなことを思った自分を、エイミはすぐさましかりつけた。ジョナスへのふしだらな気持ちを心から追いださなければ。
それには相当な努力が必要だろう。でも、彼のことで頭をいっぱいにするのはもうおしまい。守ろうと固く決めた誓いを、彼のために破るわけにはいかない。決して。
*この続きは製品版でお楽しみください。
冷たい言い方に、ジョナスの目の奥で何かがひらめく。彼は笑って降参した。「お見事だよ、エイミ。うまい返事だ。弟が君を高く買うのも無理はない」
「私は最善を尽くしているだけよ」
「やあ、騎兵隊が来たぞ」ジョナスはそっけなく言った。「なかなかいいタイミングだな」
料理を手に現れたニックが、エイミの前にカップと皿を置き、兄を見やって尋ねた。「タイミングがいいって、何がだい?」眉をひそめている。
「料理を持ってくるタイミングさ」ジョナスは弟に向かっていたずらっぽく笑った。「エイミはテーブルさえ食べそうになっていたんだ」
「遅くなってすまない」
「謝らなくていいわ」警告の視線をジョナスに向けながら言う。「彼はからかっているだけよ」
「兄はいつもそうなんだ」
ジョナスは苦笑して座り直した。「実は、エイミを口説いていた。だが、彼女は手ごわくてね」
「いいぞ、エイミ!」ニックは彼女にウインクした。「ジョナスが指を鳴らすなり、腕の中に飛びこむ女性ばかりだからな」彼はエイミの隣に座り、勢いよく食べ始めた。
エイミも食事を始めた。しばらく沈黙が続く。
やがてジョナスが尋ねた。「みんなが押しかけてくるのは何時ごろだ?」
「昼前だろう。それからおなじみの儀式が始まる。いつものように、父さんがソーセージやバーガーを火あぶりにするってわけだ!」
兄弟の楽しげな様子に、エイミも微笑を誘われた。
ジョナスがにやりとして彼女を見る。「前にも我が家のパーティに出たことがあるのかい?」
「いいえ、初めてよ」一族の人々に会うのは少し不安だった。かつては見知らぬ人の集まりにも平気で顔を出し、にぎやかなパーティも大好きだった。けれど、あの恐ろしい日以来、笑ったり楽しんだりすることが罪悪に思える。罪を負うべき自分が何事もなかったように楽しむことなど、二度とできそうにない。だからこそ、良心に恥じない生き方を心がけ、パーティのたぐいもことごとく避けてきた。やがて、名ばかりの友人たちは離れていった。
「それなら、たいした経験になるぞ」
ジョナスのおどけた言葉を聞き、エイミは意識を現実に引き戻した。
「そうだ、兄さんはあのときのことを覚えているかい……」
兄弟は楽しげに思い出を語り始めた。エイミはそれを聞き流しながら、椅子にもたれ、最後のクロワッサンをゆっくりと食べた。それから、よく似た兄弟二人を注意深く観察する。どちらもハンサムだが、ニックの顔立ちのほうが優しい。髪は濃い茶色で、兄は黒髪。全体に弟のほうが穏やかな雰囲気を漂わせている。ジョナスはもっと荒々しい。そこに惹かれたのだ。
ふと、エイミは手を伸ばしてジョナスの顔に触れたくなった。記憶にとどめるために。なんてばかげた考えだろう。彼のことなど覚えていたくない。別れるのが早ければ早いほどいい。ところが、そう思ったとたん、彼女の心に小さな喪失感が生まれた。カップを見下ろし、困惑して眉を寄せる。喪失感? 彼が私に求めているのはたった一つのことなのに。でも……彼には何かがある。
笑い声が聞こえ、エイミは我に返った。目を上げると、ニックが愉快そうに身を乗りだし、ジョナスも満面の笑みを浮かべている。彼女も釣られて微笑し、またしても胸に引っかかるものを感じた。
けたたましい笛の音が響き、三人はあたりを見まわした。テラスの端にマイケルが立ち、手招きしている。
「二人ともこっちに来てくれ。テーブルを運ぶのに手が必要なんだ。さあ、早く!」
兄弟は顔を見合わせて肩をすくめ、素直に立ちあがった。
「父は自分の部隊に招集をかけるのが好きなんだ」ニックが愛情をこめて言う。
エイミはにっこりした。「楽しんできて」ニックが先に去ると、ジョナスと視線が合った。彼の顔にあざけりの表情が戻っている。胃がひきつるのを感じながら、彼女は眉を上げて尋ねた。「まだ何か?」
「これだけさ」ジョナスはテーブルをまわりこむと、腰をかがめ、避ける暇も与えずエイミの頬にすばやくキスをした。
「ちょっと!」彼女は抗議の声をあげた。だが、ジョナスの唇の感触に息がつまり、たちまち鼓動が速まる。あまりにもすばらしかった。
ジョナスは反省の色も見せない。「少しは楽しみがないとな。これは分割払いのようなものだと考えてくれ」
さらりと言ってから、彼は弟のあとを追った。言葉も出ないエイミを残して。
彼女はジョナスの後ろ姿を見送った。なんて魅力的な姿だろう。いまいましいけれど、あの人の外見は完璧すぎる。広い肩に引き締まったヒップ、そして長くたくましい脚。彼に匹敵する男性など、そうはいないはず。そんなことを思った自分を、エイミはすぐさましかりつけた。ジョナスへのふしだらな気持ちを心から追いださなければ。
それには相当な努力が必要だろう。でも、彼のことで頭をいっぱいにするのはもうおしまい。守ろうと固く決めた誓いを、彼のために破るわけにはいかない。決して。
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