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愛を試された公爵 三人の無垢な花嫁 III

愛を試された公爵 三人の無垢な花嫁 III

著: リン・グレアム 翻訳: 漆原麗
発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス三人の無垢な花嫁
価格:630円(税込)
10ポイント還元
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対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 リン・グレアム(Lynne Graham)
 北アイルランド出身。七月三十日生まれの獅子座。十代のころからロマンス小説の熱心な読者で、初めて自分でロマンス小説を書いたのは十五歳のとき。大学で法律を学ぶと同時に、十四歳のときからの恋人と卒業後に結婚。この結婚生活は一度破綻したが、数年後、同じ男性と恋に落ちて再婚するという経歴の持ち主。イギリス郊外に家と五エーカーの森林を持ち、そこで現在、スリランカとグアテマラからの養子を含めた五人の子供を育てている。時間のあるときは大好きな庭仕事に励み、得意のイタリア料理に腕をふるう。小説を書くときのアイデアは、自分自身の想像力とこれまでの経験から得ることがほとんどで、彼女自身、今でも自家用機に乗った億万長者にさらわれることを夢見ていると話す。ロマンス映画も大好きだが、ハッピーエンドでないものは好きではないという。

解説

 あるパーティでウエイトレスを務めていたモリーは、客からセクシャルハラスメントを受けた。その場を救ってくれたのが、スペインの銀行家にして公爵のレアンドロだった。長身で、見たこともないほどすてきな男性だ。モリーはその夜、誘われるがままに彼の家で一夜を過ごす。翌朝、彼女はレアンドロの言葉に打ちのめされた。「愛人として君をぼくのそばに置いておきたい」。初めての男性にお金で買われた気がして、モリーは憤然と彼の家を飛びだした。
 ■ 行方知れずだった末の妹が、ついに皆さまの前に姿を現します。2009年9月からお届けしている人気作家リン・グレアムの三部作。最終章にふさわしい力作をお楽しみください。

抄録

 レアンドロは顔色ひとつ変えず、突き放した目でモリーを凝視している。彼女は体の芯まで冷たくなった。
「君はそんなにうぶな女性ではあるまい」
 今までにつき合った女性はすべて、レアンドロから何かを得ようとした。彼は十代のころから、女性たちの標的となっていた。富は女性を引き寄せる。ベッドをともにすれば何かしらの利益を得られると女性は期待し、体を提供する。金が目的ではない者もいるが、そういう女性のねらいは社会的地位の獲得だ。由緒ある家柄のレアンドロと結婚してその姓を名乗り、スペインの上流階級でも最高の特権層に入りこもうとする。
「言っておくけれど、わたしは夢を実現するのに人の力を借りる必要はないの」モリーは半オクターブ高い声で言った。「男の人に囲われる必要もないわ。自分のことは自分でちゃんと──」
 レアンドロは遮った。「君なら、ウエイトレスよりもっとましな仕事ができる」
「あなたの愛人になるよりもずっとましなこともね!」モリーは食ってかかった。「身分がどんなに卑しくても、わたしは自尊心を捨てて身売りするようなまねはしないわ」
「まるで安っぽいドラマを見ているようだ。答えはノーということか?」レアンドロは闇夜のような黒い目でモリーを見すえた。精悍な顔をこわばらせ、不快感をあらわにしているものの、モリーとは違い、絶大な自制心を有していた。
「ええ、ノーよ。もう帰るわ」声が喉につまり、目の奥がつんとなる。「よくもそんな薄汚い提案ができたものね。ばかにしないで。あなたの隠し事に加担する気はまったくないわ!」
「そういう関係ではないんだ。ぼくはただ君をそばに──」
「でも、屈辱的なやり方でそばに置くことに変わりはないわ! あなたはわたしを自分と対等の人間とは決して見なさないでしょうから。わたしはおもちゃじゃないわ。暇つぶしに買って遊ぶおもちゃじゃないの」
 言いたい放題を言われ、レアンドロはとうとう席を立ち、上背を生かしてモリーを威圧的に見下ろした。「ゆうべ君はぼくと一緒にいて楽しかったはずだ。ぼくは君をおもちゃのように扱ったか?」
 モリーの頬がかっと熱くなった。相手を遊び道具のように扱ったのは、わたしのほうだ。そして好奇心を充分に満足させた……。「ゆうべはゆうべよ。あなたが何を考えているのか知らなかった。こんな話を聞かされるまで、あなたが好きだったのに」
 レアンドロはいぶかしげに眉を寄せた。「そうかな? 君もぼくと同じように求めていたと思う。ぼくは今でも君を求めている。君はそんなに簡単に気持ちを切り替えられるのか?」
 モリーは張りつめた弦のように身をこわばらせ、レアンドロを見つめ返した。気持ちを切り替えるのも、圧倒的な情熱を忘れ去るのも、容易なことではない。あの情熱は病みつきになりそうだ。とはいえ、あくまで冷静で、なんの感情も読み取れない彼の目を見ると、逆らわずにはいられなかった。「ええ、できるわ。それに、わたしは寛大ではないの」
 モリーは大股に玄関へと向かった。椅子にかけてあったコートを引ったくった瞬間、レアンドロはそれを奪い、モリーに着せてやった。
「礼儀だけは見上げたものね」モリーはコートの袖に手を通し、振り返って彼を見すえた。
 レアンドロは名刺を取りだし、白いブラウスの胸ポケットに入れた。「ぼくの私用電話の番号だ。考え直したら連絡してくれ」
「そんなことありえないわ。女性を慰み者としか考えないような時代錯誤の人から逃げだせて、わたしは運がよかったわ」
 レアンドロはモリーの頬に手をあてがい、ピンクの柔らかな唇にキスをした。たちまちモリーの体はかっと熱くなり、震え始めた。
「君は自分を抑えられない。必ず戻ってくる。ぼくは君を手放すようなまねはしない。絶対に」かすれた声で彼は言い放った。
 傲慢きわまりない言葉に、モリーは歯を食いしばって耐えた。でも、心配するには及ばない。彼はわたしの電話番号も住所も知らないのだから。
 なのに、エレベーターに乗りこんだとき、モリーは妙なむなしさに襲われた。それを無視したのもつかの間、現実的な問題に頭を悩ませる羽目に陥った。自分の車に戻ったところ、駐車違反のきっぷを切られていたのだ。この手の罰金はとても高い。モリーは気落ちして歩きだした。
 レアンドロはボディガードのチームに、モリーの車を追跡するよう命じていた。手放すものか。彼女が反抗すればするほど、よけいに欲しくなる。ああいう女性はほかにいない。金や家柄ではなく、ぼく自身を求めてくれる。この点は疑う余地がない。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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