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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・イマージュ

命のかぎりの愛を

命のかぎりの愛を


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

ジェニファー・テイラー(Jennifer Taylor)
心温まるストーリーを得意とし、近年は医療の現場を舞台にしたロマンスを好んで執筆している。科学研究の仕事に従事した経験があるので、すばらしい登場人物を創造することはもちろん、作品を書く際の調べ物も楽しんでいるという。趣味は読書と旅行と犬の散歩。イングランド北西部に夫とともに住む。

解説

あの日、彼は私とお腹の子を捨て、私は彼への恋心を、捨てた……。

エイミーはギリシアの島に、幼いわが子を連れてきた。恋人だった外科医ニコに子どもは欲しくないと言われ、別れて独りで産んで、看護師を続けながら育ててきただいじな息子だ。流産したと思っているニコは、その存在さえ知らない。これは、父親の顔も知らない子と学校でいじめられた息子に、パパはギリシアの人だと話し、その地でルーツを感じてもらう旅だった。まさか、そこでニコ本人と、偶然の再会を果たすとは思いもせずに。幼い心はただでさえ傷ついているのに、もしもまた拒絶されたら……。息子を守りたい一心で事実をひた隠しにするエイミーだったが、皮肉にも、9年ぶりに会うニコとわが子は、あまりにも生き写しで――

■2017年、惜しくもこの世を去った名作家による、涙あふれる感動作をお贈りいたします。別れる前、ニコに知らせた流産は双子のうちの一人だけで、もう片方の胎児はお腹の中で無事に生きていた――そんな奇跡が生んだ、シークレットベビー&運命の再会の物語!

抄録

テラスに上がる階段の下に彼が立っているのを見て、エイミーは心臓が口から飛び出しそうになった。彼は診療所から真っすぐここへ来たらしく、薄手のスーツ姿で、白い開襟シャツがオリーブ色の肌をいっそう引き立てている。栗色の目と漆黒の髪、端整な顔立ちをした彼は人目を引き、店内にいた数人の女性が興味津々の様子で彼を見つめていた。
エイミーはニコの体に視線を走らせ、はっとした。九年前と比べてずいぶん変わったように見える。痩せたのは確かだけれど、そのせいか精悍な印象がさらに増している。以前から常に自信たっぷりで、威厳に満ち、主導権は自分が握っているという空気を醸し出していたのが、今はますます顕著になっている。ハンサムで、成功した男性そのものだ。それがエイミーをおびえさせた。ニコがジェイコブのことを知ったら、もうわたしの思うようにはいかなくなる。ニコは主導権を握ろうとするだろう。それだけは避けなければ。彼がジェイコブのことを最優先に考えてくれるとは思えない。あの子が傷つかないという保証がどこにあるの?
エイミーがテラス席にいるのを見つけて、ニコは息をのんだ。一瞬、背を向けて立ち去りたい衝動に駆られたが、そんなことをしたら動揺をさらけ出すようなものだ。彼女に会うのを尻込みしていると思われたいのか?階段を上がっていきながら自問した。もちろん、思われたくない。彼女のテーブルのそばで立ちどまり、なんとか笑顔を作った。自分が感じているよりも自然な笑顔に見えていることを願いながら。
「やあ、また会ったな。ぼくのお気に入りのランチの店を見つけたようだね」
「あなたがここに来ているなんて知らなかったわ」エイミーはぴしゃりと言った。
「それはそうだろう」むきになって言い返され、ニコは思わず一歩あとずさりそうになった。ぼくの言ったことが癇に障ったらしいが、どうしてなのかはわからない。少し様子を見てみよう。「ただ、うれしい偶然だと言いたかっただけさ」
だが、様子を見てみようという考えはすぐに脇へ押しやった。彼女のいら立ちの原因を突きとめようとするのは得策ではない。後悔するような状況に自分を追い込みたくなければ、彼女とは距離を保つことだ。ぼくとエイミー・プレンティスは男女の関係だった。それだけだ。彼女とはなんの約束もしていないし、あれ以上の関係になりたいとも思っていなかった。もしエイミーが妊娠していなければ、彼女の名前すら覚えていなかったかも……。
本当にそうか?
その問いかけがジャム壺のまわりをうるさく飛びまわる蜂のように頭の中を行き交ったが、ニコはそれを追い払った。そんなことを考えるのは時間の無駄だ。エイミーのことは長い間思い出さなかったとはいえ、心の片隅に常にいるのは自覚していた。エイミーと流産の件は、そう思いたくなくても人生の重大事件になっている。彼女に支配されているのではないかと思うと、面白くなかった。ぼくは自分の思いどおりに生きたい。自分の行動を他人に説明しなければならないなんてまっぴらだ。
「それで、休暇を楽しんでいるかい?」そう尋ねて、椅子を引いた。空いているテーブルもいくつかあったが、わざわざほかの席に座ることでこの出会いを何か意味のあるものにしたくない。
「まだ一日しかたっていないわ」エイミーは言い返してから、失礼な物言いをしたことに気づいて赤面した。そして息子に目をやり、口調を和らげて言った。「でも、楽しんでいるわよね、ジェイコブ?」
「うう、はいほう」少年はサンドイッチがいっぱい詰まった口でもごもごと言った。
ニコは面白そうに笑った。「“うん、最高”と言いたいんだな。ジェイコブはずいぶん食欲旺盛だけど、午前中は何をしていたんだい?」
「ビーチへ行って泳いだり、砂の城を作ったり」エイミーはみずみずしいブラックオリーブにフォークを突き刺しながら答えた。
ニコは彼女がオリーブを口に運ぶのを見ないように、息を深く吸い込んでメニューを手に取り、じっと眺めた。エイミーのその美しい唇にキスをしたことを思い出してもしかたがない。そんなことがまたあるはずがないからだ。ぼくは彼女にキスをするような立場になる気はない。少しでも分別があれば、絶対にそんなことはしない。すでに悟ったように、エイミーはぼくの人生を混乱に陥れる力を持っている。人生を彼女にひっくり返されるのはごめんだ。ぼくがコンスタンティス島に移住したいちばんの理由は健康のためだということを忘れてはいけない。ストレスのない生活がぼくには必要だ。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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