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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン文庫

暗闇のエンジェル

暗闇のエンジェル


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆1
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著者プロフィール

 スーザン・ネーピア(Susan Napier)
 バレンタインデー生まれ。生まれながらのロマンス小説家と言える。ニュージーランド、オークランドでジャーナリストとして出発。ハンサムな上司と結婚したのち小説の執筆を始める。現在は永遠のヒーローである夫と未来のヒーローである二人の息子、二匹の猫、コンピューターと暮らす。執筆の合間には読書と料理を楽しんでいる。

解説

ウエディング・ドレスの仮縫いの最中、ふいに玄関のベルが鳴る。脳腫瘍の手術を終え、結婚を間近に控えたヘレンが扉を開けると、そこには婚約者の兄、精悍な印象のアレグザンダーが佇んでいた。目が合って、視線が絡む。思わず吸い込まれそうな気がした。「ヘレン。ようやく見つけた、僕のエンジェル」なぜ懐かしそうに見つめるの?会うのは今日が初めてなのに。からかわれているのだろうとヘレンは思っていたが、やがて、鋭い痛みが頭の芯を走り抜け、予期せぬ怯えが走った。手術で失ったのかもしれない、記憶の奥に潜む、愛の予感に――

抄録

「じゃあ詳しい話をしようか?少しは興味があるだろう?いまは思い出せないかもしれないが、知っておくほうがいいとは思わないか?あの夜、ぼくはあるパーティーに出席した……」
ヘレンのステップが大きく乱れた。彼の手から逃れようとするが、放してもらえない。「アレックス、ご親切は嬉しいわ」精いっぱいの皮肉をこめる。「でも、これは偶然の一致だわ。わたしは厳格に育てられたの。わたしにとって、セックスと愛情と結婚は一つのものよ。わたしは一夜の冒険を楽しむタイプではないの」
「だが、きみは正常な状態ではなかったはずだ。成熟しかけた若い女性が、女性としての将来に不安をいだいていたのだから」
「わたしだったはずないわ」静かに言い、ヘレンは決定的な告白をした。「もしそうなら、わたしにはどうしてまだ経験がないの?」
アレックスもステップを誤った。彼は毒づくと詫びを言い、困惑に上気したヘレンを見おろした。
「ヘレン……経験がないというのは、きみが自分でそう思っているだけなんだよ」
自信の中心に穴を開けられたようだった。わたしは議論の余地のない証拠を握っていると信じていたのに。彼女は呆然と頭を振った。
「確かにきみには経験がない、ぼく以外の男性とはね」おだやかな口ぶりだったが、ヘレンはそのおだやかさに怒りを覚え、体を硬くした。アレックスはさらに大胆になった。「考えてもごらん、ヘレン。きみと弟がこのまま新婚の夜を迎えると、二人とも大変なショックを受けることになる」
「口を閉じて、アレックス」ヘレンはもう彼の言葉を消化しきれなかった。「いったい、あなた……」
「きみが心配なのさ。事実を見つめてくれ、ぼくらは愛しあったんだ、ヘレン。きみは『暗闇のエンジェル』を読んだかい?」
「え?」こんな時に自分の本の感想を聞きたいのだろうか?なんというエゴだろう!「いいえ、開いたこともないわ!」ヘレンはぴしゃりと答えた。
「読んでみたまえ」アレックスは口をゆがめて微笑した。「あれはきみのことなんだ」
「なんですって?」ヘレンの声があたりの人々の注意をひいた。「わたしのことですって?」彼女は声を低くした。
「ぼくらのことだな、正確には」とアレックスが言う。
「なにを……なにを書いたの……?」言葉が出てこなかった。
「ぼくらの愛の一夜についてさ。きみはぼくに霊感を与えてくれた。きみに会ったことで、ぼくは自分の最高の仕事を達成できた。ある意味で、あの本はきみへの贈り物なんだ。あれ以外に感謝をあらわす方法がなかった……。だが、いまは違う」
すると、その出会いとやらについては全世界がわたし以上に知っているのね!
「なぜそんな話をするの?」ヘレンは小声で言った。「過去の出来事はわたしにはどうにもできないわ」彼女は少し平静をとり戻した。「あなただってそうよ。お願いだからグレッグを救ってあげて!」少しずつ元気も出てきた、「彼はあなたの人生を台無しにしたわけじゃないわ。あなたは自分の婚約者が姿を消すと別の女性と結婚したんでしょう?あなた、考えたことない?グレッグはいいことをしたのかもしれない、あなたとその婚約者は実はふさわしくなかったのかもしれないって」
アレックスが顔をあげた。「それはグレッグに聞いたのか?」鋭い口調で彼は尋ねた。黒い目の奥に怒りを感じ、ヘレンは失望した。
「グレッグは彼女に恋をするつもりじゃなかったわ」ヘレンは言った。「彼が自分の兄のものである女性にわざと接近したと思ってるの?」
「いや」アレックスは静かに言った。「そんなことは決して許さないよ」
ヘレンの口が“O”の形のまま動きをとめた。古い記憶にまつわるアレックスの怒りは、もう消えている。彼の言わんとするところは明白だ。アレックスの静かな意思表示に、ヘレンは体が硬直するのを感じた。
「だめ……だめよ、アレックス」ヘレンは激しく首を振った。
「だめなものか」尊大な口調が戻っていた。ヘレンは相手が誰であるかを思い出した――ほしいものは、なんでも手に入れてきた高名な作家。危険な体験を元手に富を築き、さらなる危険を追い求める男……。
「どんなゲームをしているのか知らないけれど、わたしはかかわりたくないわ」
「きみに戻ってほしいんだ」
「もともと無関係なのに!」
「二人とも自由の身で再会できたのを、きみは偶然だというのか?偶然じゃない、運命だ」
「わたしは自由の身じゃないわ!」ヘレンは腕に力をこめた。遠くでグレッグとサイアンがシャンペングラスをかたむけている。踊りはじめてどれくらいになるのだろう?ヘレンには永遠の時間のように感じられた。「アレックス……」
その名前を、彼は唇の上でからめとった。片手で腰を支え、もう一方の手を背中に回し、アレックスは彼女にキスしたのだ。ヘレンはなにか別のことを考えようとした。そう、はいている赤いハイヒールがきつい……。とにかく、この心地よさに負けないように……。アレックスの唇は執拗かつ奔放だった。やっと解放された時には、ヘレンはまっ赤になって息も絶え絶えの状態だった。
「ああ、アレックス、なぜこんなことをするの?」ヘレンの緑の瞳が怒りに燃えた。
「きみの記憶を刺激するためさ」アレックスは静かに答えた。「記憶の新しい通路をつくろうとしたんだけど、なにか思い出したかい?」
ヘレンは怒りと軽蔑を同時に感じた。「思い出したくもないわ!わたしに近づかないで――わたしたち二人に近づかないで!」
「それはできないよ、ヘレン」アレックスは真剣に言った。「きみの過ちを見すごすことはできない」


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