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愛を忘れた氷の女王【ハーレクイン・セレクト版】

愛を忘れた氷の女王【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆1
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著者プロフィール

 アンドレア・ローレンス(Andrea Laurence)
 文字が読めるようになって以来、ずっと読書と物語の執筆に夢中。世界中の人たちに自作の小説を読んでもらうのが長年の夢で、ロマンス小説作家として、現代物のみならずパラノーマル作品でも数々の受賞歴を誇る。10年来の恋人とともに、シベリアンハスキー犬や猫たちに囲まれ、幸せに暮らしている。

解説

病室のベッドの上で、シンシアは奇跡的に意識を取り戻した。億万長者と婚約中の、誰もが羨む幸運な女性――それが私だと言われても、何も思い出せない。頭の中は真っ白だ。婚約者のウィルに優しく呼びかけられた瞬間、体はたちまち熱く反応した。でも……彼が私を見るたび眉をひそめるのは、なぜ?事故で記憶を失った婚約者シンシアを見舞うウィルの心は、千々に乱れた。彼女に浮気の証拠を突きつけ、婚約解消を宣言したのは、事故直前のこと。だが、シンシアの驚くべきこの突然の変化を……どう解釈すべきなのだ?類いまれなる美貌とプライドの高さから“氷の女王”の異名をとる彼女が、まさか別人のように――快活で優しい女性に変わってしまうとは。

■予測不能指数MAX!億万長者とその美しき婚約者がたどる、数奇な運命の行方は?本作で鮮烈なデビューを果たし、一躍スター作家となった鬼才アンドレア・ローレンスの、スリリングな記憶喪失ロマンス。リン・グレアムがお好きな方に特におすすめします。
*本書は、ハーレクイン・ディザイアから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

ウィルにとって、もとフィアンセの顔は見慣れているはずなのに、以前とはまったく違うような気がした。グリーンの瞳には今まで気づかなかった金色の斑紋がある。ずっと見続けて、以前は見落としていた点を見つけたい。長いあいだ、シンシアと一緒にいながら、彼女のことがわかっていなかったのだろうか?本当に彼女を愛していたのか?それとも、彼女と一緒にいることが好きだったのか?エール大学一の才女で、美人で、ポロチームのキャプテンと一緒にいることが。
しかし、今の状況はまったく違う。隣に座っている女性のことを知りたいのだ。シンシアが世の中に出ていって自分がどんな人間か知り、どんな人間になりたいのか突きとめる手助けをしたい。だが、そんなことはしないほうがいいのだろう。彼女が記憶を取り戻してもかまわないと言うべきだ。しかし、それは本心ではないし、彼女も正直な答えを望んでいるのだ。「ああ、そうなってほしくない」
「ねえ、私は自分の一部がなくなったようでとても困っているの。でも、あなたの話を聞くと、このままのほうがいいのかもしれないわね。無理に思いださないで、再出発したほうがいいのかも……」
「きみはいつでも選ぶことができるんだよ」
「どういう意味?」
「いつかきみの記憶は戻るかもしれない。そのときは、以前の自分に戻るのではなく、自分がなりたい人間のままでいるという選択肢もある。再出発すればいいんだよ」
シンシアはうなずいたが、相変わらず自分の手を見ている。「あなたが私を好きじゃなかったことはわかったけれど、事故の前、私の体には惹かれていたの?」
「きみはとってもきれいだった」
「はぐらかさないで」シンシアはウィルと目を合わせた。いら立っているせいで頬が赤く染まり、黄色くなったあざが目立たなくなっている。今の彼女は感情をあらわにしている。怒りと困惑で肌が紅潮し、目には悲しみと戸惑いの表情が浮かんでいる。これはウィルが知っている“氷の女王”とは大違いだ。
「はぐらかしてなんかいないよ。きみは本当にきれいだった。エール大学の男子学生はみな、きみを自分のものにしたいと思っていたよ。僕も含めて」
「食堂にあるあの写真だけど……」
「婚約記念の写真のこと?」
「ええ。今の私はあれとは違うわ。二度とあんなふうにはならないでしょうね」またシンシアの顔に新たな表情が浮かんだ。こんな弱々しい表情をウィルは見たことがなかった。シンシアにはいろいろな面があるが、弱みを見せることはめったになかったのだ。彼女のもろさをかいま見て、ウィルは慰めたいと思った。今までそんな衝動に駆られたことはない。
ウィルは我慢できずに彼女の頬を撫でた。「以前のきみは美術館に並んでいる彫像のようだった。完璧だけど、温かみがない。傷があると、かえって個性が出るんじゃないかな。今のほうがずっとすてきだよ。内面も」
シンシアは片手をあげて彼の手に重ねる。「そう言ってくれてありがとう。たとえ本心ではないとしても」ウィルの手に指を絡ませて自分の膝に引きおろし、強く握りしめた。「あなたに何をしたか覚えていないけれど、想像することはできるわ。ごめんなさい。いつか私がしたことを許せるかしら?」
シンシアの目に涙があふれた。悲しげな表情を見てウィルの胸は痛んだ。彼女の手の握り方は無言の懇願のようだ。彼女はもう一度愛してほしいと頼んでいるのではない。許してほしいと訴えているのだ。
「僕たちに必要なのは白紙に戻すことじゃないかな。すべてを忘れて最初からやり直すことだよ」
「やり直す?」
「ああ。過去を忘れて前に進むんだ。きみは過去に何をしたのか、自分がどんな人間だったのか心配するのはやめて、これから何をしたいかということに注意を集中すればいい。そうすれば、僕ももう変えられないことで双方を責めるのをやめられるかもしれない」
「それはどういう意味?」
「やり直すということだよ。実際、僕たちはおたがいのことをわかっていない。信用する理由もないし、まして愛しあう理由もない。僕たちの問題を解決するには時間がかかるだろう」
「これはどうするの?」シンシアは片手をあげて豪華な婚約指輪を見せた。
「しばらくはめておいてくれ。これはふたりの問題だ。誰にも口出ししてほしくない。とくに家族には。これは僕たちが決めなければいけないことなんだ」
シンシアはうなずき、ふっくらとした唇の端を曲げてほほえんだ。もう涙は消えて目が輝いている。この数週間、打ちのめされてぼろぼろになっていたから、今は生き生きとして見える。
ウィルは身を乗りだしてシンシアの唇にそっと唇を重ねた。痛めつけられた肌に軽く触れるだけのキス、無言のまま励ますためのキスだ。
少なくともウィルはそう思った。ところが、たちまち全身に火がついたように熱くなった。病院でも同じ反応を示したが、あれはたまたまではなかったのだ。あのとき、体の奥から欲望がほとばしりでたのは、長いあいだ、女性とベッドをともにしていないからだと自分に言い聞かせた。今でもそうなのかもしれない。ただ、彼女の顔を両手で挟んで唇を貪りたい衝動を抑えきれない。だが、そうする勇気がなかった。ひとつには、完全に回復していない彼女を傷つけたくないからだ。また、そんなことをすると、深みにはまって抜けだせなくなる恐れがあるからだ。
「きみの人生をどうしたいのか考えてくれ。そして、僕たちの関係をどうしたいのか」ウィルは唇を重ねながらささやいたあと、後悔するようなまねをしないうちにすばやく身を引いた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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