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背徳の花嫁【ハーレクインSP文庫版】

背徳の花嫁【ハーレクインSP文庫版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクインSP文庫
価格:400pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆1
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著者プロフィール

 ヴァイオレット・ウィンズピア(Violet Winspear)
 ロマンスの草創期に活躍した英国人作家。第二次大戦中、十四歳の頃から労働を強いられ、苦しい生活の中から“現実が厳しければ厳しいほど人は美しい夢を見る”という確信を得て、ロマンス小説を書き始める。三十二歳で作家デビューを果たし、三十余年の作家人生で約七十作を上梓。生涯独身を通し、一九九八年に永眠するも、ロマンスの王道を貫く作風が今もファンに支持されている。

解説

「きみは自分が何をしたのか、わかっているんだろうな!」激昂したヘラクリオンに体を揺さぶられながら、花嫁の長いベールを脱いだフェニーは罪悪感に苛まれていた。神の前で結婚の誓いを立てた相手が美しい婚約者ペネラではなく、地味でさえないその従妹だったとわかれば、激怒して当然だ。でも、奔放なペネラは恋人とアメリカへ逃げてしまった。そして私は、ひそかにヘラクリオンを愛していたのだ……。フェニーはエーゲ海の島に立つ白亜の豪邸に迎え入れられた。男の子をひとり産み、その子を置いて去れという条件のもとに。
*本書は、ハーレクイン文庫から既に配信されている作品のハーレクインSP文庫版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

ヘラクリオンの目は、フェニーを情婦だと言っていた。「あなたはとてもきびしくて、人を許さない人なのね」もう、彼が許してくれるだろうという期待はまったくなくなっていた。スパルタの伝統が血管の奥深くを流れているヘラクリオンにとって、フェニーは単に楽しみのために使われる、価値のない生き物だったのである。
「自分の罪を償うのは当然のことじゃないか。きみを、崇拝している肖像のように扱うとでも思ってるのか?運命によって、きみの夫になってしまったからには、きみをできるだけ利用したほうがいいと思っている。きみはきみの従姉のように魅惑的に装い、ぼくの家族の前でギリシアの新妻のように尊敬と献身の態度をとってくれることだろう」
「わたしに――あなたを愛しているふりをしろっていうの?」フェニーの心はうずいた。ヘラクリオンは知るはずもないのだが、嘘で固めた今日一日の中で、彼に対する愛だけが真実だった。
「そうだ。今日祭壇で演じたようにやればいいさ。ぼくは家長で、すべての責任と義務の負担はぼくにあり、弟たちの尊敬と畏怖を受けている。きみ――ぼくの妻からそれを期待するのはぼくの権利なんだ!」
妻……ショックだわ!夢はこなごなにこわされ、現実がフェニーを襲った。わたしは現実にヘラクリオン・マブラキスの妻になったのだ。求められてはいなかったが、夫の狭小で意固地な目的のためにのみ受けいれられていた。
浅黒い肌をしていかめしくフェニーの前に座っているのは、夫の姿をした裁判官であり、愛する人ではない。フェニーはソファの中で小さくなっていた。できることならこの場から消えてしまいたかった。
「防疫の注射はすんでるのか?ギリシアの丘には山羊飼いの少年が飼っている犬がいて、その犬にかまれるととても危険なんだぜ」
「そんなにたいへんなこと?」ヘラクリオンに軽蔑されるより致命的に傷つくことがあるのだろうか?
「あたりまえだ」彼は軽蔑をあらわにして、いらいらとけむりを吐き出した。「狂犬病は愛のない結婚よりもずっと不愉快なことだ。命にかかわることもあるんだからな。注射を受けたか?」
「ええ」
突然ヘラクリオンは立ち上がり、大股で近寄ってくると、フェニーのブルーのスーツの上着をはぎとった。
「腕を見せろ」
ヘラクリオンの手がフェニーの肌に触れて、フェニーは震えた。褐色の手につかまれた彼女の肌はますます青白く、注射のあとのところを指がすべるとびくっと震えた。
「妻としてのきみを検査しなければならないのか?ええ?パスポートと書類はどうなんだ?持ってきてるのか?おじさんの家にあるのか?」
「ハンドバッグに入ってるわ」ヘラクリオンがつかんでいる手の感触は、骨を通して直接フェニーの肋骨のあたりにある神経の中枢へ最も強烈な感情を送りこんだ……イブはアダムの肋骨から創られた。この奇妙な激痛を経験するまで、フェニーにとってそれは単に神話でしかなかった。
「きみにはもうチャンスは残ってない。どうしてクレタ島へ行きたかったんだ?」
「だって、すてきなところだと聞いたからよ」
「そうさ。だがペタロード島はもっともっと魅力的だ。断崖は海床の火山噴出からでき、赤褐色をしている。城はトルコの占領時代に島に赴任する高官のために建てられて高い建物だ――今はぼくのものだがね。きみは従姉からその話を聞いて、むやみに欲しくなったんだ――」
「違うわ。わたしはペネラのものを一度だって欲しがったことなんかないのよ。信じてちょうだい。今日のことは――ああ、わからないわ。どう説明すればいいの?自分が教会にいるのがわかったときには、もう遅すぎたのよ――」
「わからないことはないだろう」
ヘラクリオンは皮肉な笑いを浮かべ、ソファに膝をつき、フェニーの上にかがみこんだ。手が首にまわされ、ヘラクリオンのくちびるがフェニーのくちびるをさぐった。心はかき乱され、気が遠くなっていくようだった。これからどんなに彼に苦しめられるのか……自分がひき起こした真っ暗な嵐のまっただ中でフェニーは破滅してしまったのだった。
「きみはペネラのような口づけをできそうもないな」ヘラクリオンの手はフェニーをすっぽり包み、髪の毛が彼の指の間からこぼれた。ヘラクリオンはフェニーの目をのぞきこみ、あざけったような奇妙な顔をした。「きみはなんて言いようのない、無邪気な悪魔なんだ?それとも生まれついての小さなずる賢い雌なのか?きみはネレイス――慎み深さを装った、透明のベールをつけて男の前に現れる海の精なんだろう。真実はどうあれ、男は昨日の火に火花を散らす必要はない。ぼくはきみをできるだけ利用しなければならないんだ」
そう言うと、自分の前にいるのはペネラではなくてフェニーだということが新たにヘラクリオンの中に激怒の波をおこしたかのように、彼の手は首をへし折ってしまうぐらいきつくフェニーののどを締めつけた。
「すべてのものには細いつながりの糸がある――愛と憎しみ――歓喜と強奪、そして神の意思によって、きみとぼくはふたりの間のとっても細い張り綱の上を歩くことになるんだ。きみには心の準備ができてるか?」
「そうしなければならないわ。だってあなたはわたしにチャンスを与えてくださらないもの」
「そんなものがあるか!ちっぽけなペテン師め。ぼくがきみに望むたったひとつのもの――黒髪の、大声をはりあげて泣くヘラクリオン・マブラキスの息子――を与えてくれるまで、きみはぼくの命令に従うんだ!」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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