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さよならジェーン【MIRA文庫版】

さよならジェーン【MIRA文庫版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: MIRA文庫
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 エリカ・スピンドラー(Erica Spindler)
 ルイジアナ州ニューオーリンズ在住。美術の修士号を取り、ビジュアル・アーツの世界で活躍したのちに、1988年作家デビュー。アーティストの感性を生かしたみずみずしい描写と、ドラマティックなストーリーで、人気作家の地位を確立した。1995年に刊行した『レッド』はベストセラーとなり、日本ではコミック化、テレビドラマ化もされた。近年はサスペンス色の強い作品を積極的に著している。

解説

幸せの隣ではいつだって、絶望の女神が笑っている――。最後まで目が離せない、傑出ロマンティック・サスペンス!

真っ青な空を背に15歳のジェーンは笑顔で泳ぎを楽しんでいた。絵葉書のように美しい海と眩い太陽。その時どこからともなくモーターボートが近づいてきた。ボートは明らかにジェーンを標的にして突進し、スクリューが彼女を切り裂き……そこで悲鳴とともにジェーンは目を覚ました。何度となくうなされるこの悪夢は、16年前に実際に彼女が経験した悲劇だ。その苦しみを乗り越えた今、ジェーンはハンサムな医師と結婚し、お腹には待望の赤ちゃんがいる。人生はまさに順調だった――“ボートの男”が再び現れてすべてを脅かすまでは。
*本書は、MIRA文庫から既に配信されている作品と同内容となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「僕にまで強がらなくていいんだよ、ジェーン。僕は君の夫なんだから」
「でも私、強がるくらいしか能がないもの」
イアンが微笑した。「ほかにもあるよ」
ジェーンはにっこり笑い返した。愛する夫。知れば知るほど愛おしく思える人。「それ、ダラスの上流階級で女性だけに代々受け継がれる能力のことを言っているの?人前では口にできないあの秘術のことを?」
「そう、それ」
「よかった。それなら私の得意科目よ、ドクター・ウェストブルック」
イアンは真顔に戻り、妻の視線を探った。「でも、君は上流階級の女たちとは違う。全然違うよ」
「どうせ私はあんなふうにはなれませんよ」
その答えにイアンは眉をひそめた。「ほら、また強がってる」
「ごめんなさい。つい口をついて出ちゃうの」
彼はジェーンの顔を両手で包みこんだ。「真珠とドレスで着飾った人形がよければ、そういうのを選んでいた。でも、僕が恋したのは君だった」答えない妻の頬に沿って、彼は親指をはわせた。「君は勝ったんだ、ジェーン。君は自分で考えているよりはるかに強い人間なんだよ」
そんなことを言われると、自分が詐欺師になった気がするわ。私はまだあの日のことを引きずっている。こんな状態でどうやって過去に打ち勝てるというの?
ジェーンは夫の胸に顔をうずめた。私の心。私の支え。この人と出会えて本当によかった。
「体調のせいかな」しばしの沈黙ののち、イアンがつぶやいた。「もう君一人の体じゃないだろう。だから、不安を感じるんだよ」
昨日、ジェーンは医者へ行き、少し前から疑っていたことを確かめた。彼女は妊娠していた。八週目に入っていた。「でも、気分は悪くないのよ」彼女は反論した。「つわりもだるさもないわ。それに、赤ちゃんを望んでいないわけでもなかったんだし」
「そうだね。でも、妊娠初期にはいろいろとあるものだ。ホルモンバランスが崩れるうえに、血液中のHCG値は日に日に増えていく。子供ができるのは嬉しいことだけど、ライフスタイルが大きく変わるということでもあるんだよ」
確かにイアンの言うことには一理あるわ。ジェーンの気持が少し軽くなった。でも、それだけじゃ納得できない。どうしてか理由はわからないけど。
彼女の考えを読み取ったのか、イアンは頭を下げ、二人の額を合わせた。「僕を信じて、ジェーン。僕は医者だよ」
ジェーンは微笑した。「医者といっても形成外科じゃないの。産科や精神科は専門外だわ」
「君に精神科医は必要ないと思うけど。僕の話が信じられないなら、デイヴ・ナッシュに訊いてごらん。彼も同じことを言うはずだから」
ドクター・デイヴ・ナッシュはダラス市警の非常勤顧問を務める臨床心理学者であり、ジェーンの親友でもあった。二人のつき合いは高校時代にさかのぼる。ほかの生徒たちがジェーンを黴菌のように扱ったときも、デイヴだけは彼女の味方だった。男子たちが彼女に近づこうともしない中で、デイヴは彼女を学園祭のダンスに誘い、卒業記念パーティーのパートナーになってくれた。彼女の相談に乗り、一緒に笑い、つらいときは慰めてくれた。二十代のころには試しに二人でデートをした時期もあったが、いまは居心地のいい友人関係に戻っていた。
事故から立ち直るまでの長い年月。デイヴがいなかったら乗りきれたかどうか。
そうね。彼に電話してみようかしら。
ジェーンは夫の胸に頬をあずけた。「いま何時?」
「十時を過ぎたところだ。もう休んだほうがいいね、リトル・ママ」
彼女の頬が喜びに染まった。ずっと母親になるのが夢だった。その夢がいまかなおうとしているのだ。
私一人がこんなに幸運でいいのかしら?
「カモミールティーでもどう?リラックスして眠れるよ」
ジェーンはうなずき、しぶしぶ夫から離れた。テーブルに腕を伸ばし、インタビューのビデオを止めて、機械のスイッチを切った。
「編集のほうはうまくいってる?」照明を消しながら、イアンが問いかけた。二人は映写室からアトリエへ移動した。
「ええ。といっても、個展まであまり時間がないけど」
「興奮してる?」
「戦々恐々よ」
「大丈夫」イアンはアトリエの照明を消し、妻の先に立って、アパートメントへ続く螺旋階段を上っていった。「芸術界はこぞって君の足下にひれ伏すよ。絶賛の嵐になる」
「どうしてそう言いきれるの?」
「アーティスト本人を知っているからさ。彼女は天才だ」
ジェーンは笑った。イアンは彼女を長椅子に座らせ、唇に軽いキスをした。
「すぐ戻る」
「レンジャーを柵から出してやって。あの子、鳴いてるから」ジェーンは夫の背中に叫んだ。レンジャーというのは彼女の愛犬で、三歳になるレトリバーの雑種だった。
「テキサスでいちばんでかい赤ん坊だな」
「やいてるの?」ジェーンがからかった。
「ああ、やけるね」イアンはまじめくさって答えたが、目元に笑い皺が浮かんでいた。「彼の耳の裏ばかり掻いてないで、たまには僕の耳の裏も掻いてほしいよ」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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