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わたしだけの公爵を探して

わたしだけの公爵を探して

著: セレステ・ブラッドリー 翻訳: 河村恵
発行: ソフトバンク クリエイティブ
レーベル: ソフトバンク文庫 シリーズ: ロマンスシリーズ
価格:735円(税込)
10ポイント還元
形式:XMDF形式⇒詳細 
対応端末:パソコン ソニー“Reader”
みんなの評価 ★★★★☆1
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解説

 全米ベストセラーの実力派が贈るロマンティック・ヒストリカル。  いちばん最初に公爵と結婚するのはだれ? 公爵と結婚した子孫に全財産を遺す――曽祖父の風変わりな遺言で、子孫の女性のうち最初に公爵と結婚した者に莫大な遺産が譲られることに。  子孫のひとりである牧師の娘フィービーは社交界デビューを果たし、舞踏会で魅力的な貴族の息子レイフと意気投合。翌日、彼の家から結婚の申し込みがあった。しかも彼は、いずれ公爵となるはず! フィービーは喜んで結婚を承諾する。が、求婚相手はレイフの兄で、彼こそが未来の公爵だった。レイフへのつのる思いと、公爵との結婚のあいだで揺れ動くフィービーの決断とは?  RITA賞ノミネートの人気作家が贈る、ロマンティック・ヒストリカル。

抄録

 イングランド、一八一五年

 牧師の娘であるミス・フィービー・ミルベリは理想の男性に会ったとき、まずヒップに引かれる。だがまさか、そのせいでとんでもないことになろうとは思いもしなかった。
 派手に着飾った女性たちであふれた豪華な大広間はまさに夢のようだった。だが、生まれて初めて舞踏会に出たフィービーにとっては、決して楽しい場所ではなかった。不慣れな会場のなかを、幽霊のように誰の目にもとまることなく移動していく。
 フィービーがきらびやかな社交界にやってきたのは、牧師である父にこう言われたからだった。
“ロンドンへ行って公爵と結婚しなさい。お母さんの死に際の願いを果たすのだ”
 父は、まるでそれがすごく簡単なことであるかのように言った。
“それから、二度とあんなまねをするんじゃないぞ”あからさまに声に出して言われなくても、父が言いたいことははっきりとわかった。常に分別を持って、礼儀正しくしとやかにしているように、そして、もう二度と牧師の娘にあるまじきふるまいをしてはならないと言っているのだ。
 それじゃあ、いったいどうやって公爵の気を引いたらいいの? フィービーのドレスは田舎娘がさびれた村のなかを歩いたり、地元の集会所でダンスをしたりするのにはふさわしいが――もっとも、牧師に監視されているなか、あえてダンスしたことはないけれど――ここロンドンの舞踏会で多くの女性が身にまとっている最新流行の豪華なドレスと比べると、ひどく見劣りがした。
 しかも自分は、いとこのディアドリのようなほっそりした美人ではない。未亡人であるおばのテッサにすら負けているほどだ。だけど、それも無理はない。今までは自分の容貌など気にかけることもなかったのだから。それでも、ソフィーに比べたらはるかに恵まれている。フィービーは大広間の端にいる不器量なもうひとりのいとこ、ミス・ソフィー・ブレイクをそっと盗み見た。ソフィーが座っている椅子は、建前はともかく、決してダンスに誘われることがない少女たちのために用意されたものだった。
 父に言われたとおり公爵と結婚できれば夢がかなうわけだ。皮肉なことに、フィービーが夢を見るのをやめたのは、父である牧師のせいだった。
 もちろん、フィービーもかつては、夢はかなうと信じていた。十五歳のころは、夢見る少女で、根っからのロマンティストだった。
 だが、ハンサムなダンス教師と出会ったことで、フィービーは変わってしまった。どうやら自分には夢と現実が見分けられない――それどころか、正しいことと間違ったことすら見分けられないようだ。だから危険を避けるためには、規則にきっちりしたがうしかなかった。規則は頼りになる。それに比べて、人の言うことは頼りにならない。
 自分の勘も。
 フィービーはため息をついた。ソフィーはダンスのあいだじゅう座っていても苦にならないようだが、フィービーはやはり誰かと踊りたかった。ハンサムでなくても、貴族ですらなくたっていい。わりと最近お風呂に入っていて、わたしの足を踏んづけたりしない人なら……。
 そのとき、たくましくて男らしいヒップが目にとまり、シャボン玉に針を刺したみたいに退屈な気分が吹きとんだ。
 ヒップ以外もなかなかすてきだった。男性の広い肩と黒く波打つ髪、そしてもちろん極上のヒップを見つめながら、フィービーはごくりとつばをのみこんだ。だが、簡単にのぼせあがったりしてはだめよと自分に言い聞かせる。もう二度と罪を犯すつもりはなかった。
 二度とあんなことはしない。
 それはまぎれもなく、フィービーがこれまで見たなかで最高のヒップだった。ぴったりとした黒いスラックスに包まれ、イブニングジャケットの裾がかかっていて……。
 その紳士が一方の足からもう一方の足へと重心を移すのを、彼女はうっとりと見つめた。
 なんてセクシーなの。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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