マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

愛を夢見た家なき子

愛を夢見た家なき子


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
XMDFのファイルをご覧になるにはブンコビューア最新版(無料)をインストールしてください。

「書籍ファイルが壊れています」と表示される場合は、ブンコビューアを最新版にアップデートしてください。
購入する


著者プロフィール

 アビー・グリーン(Abby Green)
 ロンドン生まれだが、幼少時にアイルランドに移り住む。十代のころに、祖母の愛読していたハーレクインのロマンス小説に夢中になり、宿題を早急に片づけて読書する時間を捻出していた。短編映画のアシスタント・ディレクターという職を得るが、多忙な毎日の中でもハーレクインの小説への熱はますます募り、ある日辞職して、小説を書きはじめた。

解説

身ごもっても、心から尽くしても、やっぱりあの人は暴君だった……。

生まれ育った古城を銀行に没収されたら、私に居場所はない。亡き両親が遺した莫大な借金を前に、キアラは呆然としていた。そこへイタリア屈指の富豪ニコが現れ、城は彼の一族のもの、当然返してもらうと声高に主張して、こう付け加えた。「君がここに住み続けたければ、僕と結婚するしかない」便宜結婚さえ受け入れたら、すべては丸く収まるの?すがる思いで承諾したキアラだったが、初夜に誘惑の罠に落ち、純潔を捧げた翌朝、彼の冷酷な企みに怯えて城を逃げだした。5カ月後、彼女はウェイトレスとして働いていた。身重の体で。

■天涯孤独で生家までも失いかけているヒロイン。ヒーローの真の狙いが、後継ぎをもうけることだけだと気づくも、時すでに遅く……。スター作家アビー・グリーンが描く、激情ロマンスをお楽しみください。大スター作家ペニー・ジョーダンが好きな方は要注目です!

抄録

車は中庭で止まった。あまりにも輝かしく立派な車のせいで、庭が急にみすぼらしく荒れた感じに見えた。葬儀から二日しかたっていないのに、見知らぬ人が何か相談をしに来たかと思うといらだたしい。キアラはスピロをなだめてから窓を離れ、正面玄関に向かった。誰であれ、もっとふさわしい日に出直してもらうよう頼むつもりだった。
でも、もっとふさわしい日があるの?そんな疑問が浮かんでも、キアラは慌てまいとした。銀行がいつ没収に来るか見当もつかない。この週末かもしれないのだ。
かつてないほど頼りない気持ちで、分厚いオーク材のドアを開ける。一瞬、日差しに目がくらみ、石段を上がってくる人物の背の高さしかわからなかった。
目の上に手をかざそうとしたとき、来訪者の体で日差しが遮られた。キアラはまばたきをした。もう一度。手をだらりと下ろし、目の前の人物を見つめる。
男性だ。でも、こんな男性がこの世にいるだろうか。夢か物語のなかでしかお目にかかれない――そういったたぐいの男性だ。
豊かな黒髪は少し乱れ、この上なく美しい顔をかたどっている。高い頬骨、堂々とした鼻は、君主さながらだ。上背と誇らしげなたたずまいもそんな印象を濃くしている。口もまた、彫刻めいていて硬質で力強い。
鋼のような冷たさ。けれど、そこには物憂げで官能的な雰囲気も漂っている。キアラはなぜか震えに襲われた。体の芯まで。
脱力感と奇妙な気だるさからキアラは必死に立ち直ろうとした。「ごめんなさい……何かご用でしょうか?」
男性の目がキアラに向かってすぼまり、そのとき瞳は濃い茶色だとわかった。だが、何も読み取れない。キアラは寒気を覚え、後ろにいるスピロに思わず寄りかかりたくなった。年老いて盲目に近く、番犬としてはなんの役にも立たない犬に。
男性は無表情であるにもかかわらず、その下から何かが噴き上げそうで、すごみがある。ただ、不思議と身の危険は感じない。これはなんとも言えない怖さだ。怖いのは私のなかにある何か……欲望だろうか。
「キアラ・カルーソーに会いに来たんだが。お嬢さんを呼んできてもらえるかな?」
深みのある、ざらついた声がキアラの五感を刺激した。この人は私を家政婦だと思っているらしい。家政婦にはとっくに暇を出した。そのためカステッロの内も外も廃墟の雰囲気が漂っている。それに、今は私が家政婦みたいなものだ。単に使用人と思われたくらいで気後れするのはおかしい。
喪服に化粧っ気のない顔、長くて聞き分けのない髪が気になるのは確かだけれど。大して美人じゃないのも知っている。ふくよかな体や平均的な身長も今どきはやらない。
キアラは顎をぐいと上げて言った。「私がキアラ・カルーソーです」
男性の目がさらにすぼまり、純粋な驚きがその顔をよぎった。「きみが?」
全身が緊張と自意識の塊になる。「どんな想像をなさったのかしら?ええ、私は間違いなくキアラ・カルーソーよ。そちらは?」
男性の目がいちだんと冷ややかになった。これ以上はないほどに。
「ニコロ・サント・ドメニコだ」
彼はなんらかの反応を待っている。この名前に心当たりがあるだろうと言わんばかりだ。でも、まったく心当たりはない。キアラは促した。「それで……ご用件は?」
すると案の定、彼が尋ねた。
「僕が誰か知らないのか?」
キアラはさすがに戸惑った。「知っているべきなの?」
彼は信じがたいというような笑い声をたてた。「知らないふりをするつもりか?」
なんて傲慢な!
キアラはドアから手を離し、胸の前で腕を組んだ。「でも、知らないものは知らないわ。人の家の玄関先でそんなふうに問いつめるだけなら、どうかお引き取りを。今はそれどころじゃないんです」
彼の目がきらりと光る。「むしろ、今がいちばんだ……話をするには。いいかな?」
彼は巧みにキアラの横をすり抜け、止める間もなく石造りの玄関ホールに足を踏み入れた。スピロがうなる。
キアラは急いで振り返った。「ちょっと、どういうつもり?ここは私の家よ!」そうとも言えないけれど。心のなかでつぶやく。
男性と面と向かったとたん、キアラは衝撃を受けた。広々として荘厳なホールが狭く見える。身長は優に百八十センチを超え、体格もいい。黒っぽいスーツは特別あつらえに違いなく、引きしまった体を第二の肌のようにぴったり包んでいる。全身に力がみなぎり、ボクサーを思わせる。スーツは品を保つためにしかたなく着ている感じがした。
彼の視線がキアラの横に向けられた。「それは?」
キアラはスピロを見下ろした。老犬は男性のいるほうを向き、今も低いうなり声をあげている。キアラはその頭に手を置き、招かれざる客を見やった。「私の犬よ。あなたを見て興奮している。とにかく、ここは私の家よ。どうぞお引き取りを」
彼が目をキアラに戻した。その表情は険しく、キアラは必死にたじろぐまいとした。
「まさにその件で来たんだ。この家はきみのものではない」
キアラはどきっとした。銀行の人?自分を励まして尋ねる。「なんのことかしら?」
彼はすぐには答えず、代わりに両手をズボンのポケットに入れた。キアラの目は彼の腹部に引きつけられた。急に首から顔まで血がのぼり、赤く染まる。気づかれたくなくて目をそらした。もっとも、心配するには及ばなかった。彼は四方の壁を見まわしていた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。