マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションボーイズラブ小説極道・刑事

交渉人は疑わない

交渉人は疑わないlong

著: 榎田尤利 画: 奈良千春
発行: 大洋図書
レーベル: SHY NOVELS シリーズ: 交渉人
価格:893円(税込)
10ポイント還元
形式:MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★★39
◆レビューを書く

¥0サンプル
XMDFのファイルをご覧になるにはブンコビューア最新版(無料)をインストールしてください。

「書籍ファイルが壊れています」と表示される場合は、ブンコビューアを最新版にアップデートしてください。
購入する


著者プロフィール

 榎田 尤利(えだ ゆうり)
 7月16日生まれ。蟹座のO型。出身地は東京都。

解説

「俺はいつだって本気です。先輩、可愛い声を聞かせてください」
 元検事で元弁護士、そのうえ美貌と才能まで持ち合わせた男、芽吹章は、弱き立場の人を救うため、国際紛争と嫁姑問題以外はなんでもござれの交渉人として、『芽吹ネゴオフィス』を経営している。ところが、ひょんなことから高校時代の後輩で、現在は立派な(!?)ヤクザとなった兵頭寿悦となぜか深い関係になっている。嫌いではない、どちらかといえば、好き……かもしれない、だがしかし!! 焦れったいふたりの前に、ある日、兵頭の過去を知る男が現れて!?

※ 電子版には挿絵は収録されておりません。ご了承ください。

目次

1
2
3
4
5
6
7

抄録

 氷水を張った洗面器とタオルを持ってきた兵頭が、俺の首を冷やしてくれる。
 身体に馴染み始めているでかいベッドに横たわり、俺はおとなしくしていた。兵頭は上着を脱ぎ、ネクタイを緩めた姿でベッドの端に座り、俺を見下ろして「……だせえ」と小さく呟く。アロハシャツのことだろう。
「いいんだよ、ださくても。涼しいんだ」
「もったいない。せっかく色男なのに」
 そう言って、花柄の襟をピンと指で弾く。
「俺はアロハでも色男だ」
「まあ、ホストのときの安っぽいスーツよりはましですかね。しかもあんた、二十五って、ありゃさばよみすぎでしょう」
「しょうがないだろ」
 俺は兵頭を睨んで言い返す。少し頬が火照っているかもしれない。
「三十二じゃ、あの店の客層と開きがありすぎるんだよ。ホストしてたのだって、必要があったからだ。仕事のためなら、さばでもイワシでもよむ」
「くだらない居直りはやめてください。……だいたい、あんな店で女どもに身体をベタベタ触らせてるから、ばちが当たったんだ」
 タオルを冷やし直して兵頭は文句を垂れる。めちゃくちゃな理屈に俺は苦笑するしかない。
「なに笑ってんです。俺が行かなかったら、階段から突き落とされてたってのに」
「そうだな。助かった」
「……あんまり素直なのも気持ち悪い」
「なんだよ。じゃあ俺はどうすりゃいいんだ」
 ギッ、とベッドが鳴る。兵頭が俺の頭の横に手を置いて、顔を近づけてきたのだ。本日の眼鏡はスチールカラー……本当に、こいつはいくつ眼鏡を持っているのだろう。
「どうすりゃいいのか、教えてあげますよ。目、閉じて」
 レンズの奥の瞳に、ふだんは隠してある熱情がちらちらと見え隠れしていた。
「おい、兵……」
「黙って目を閉じる。……キスくらい、くれてもいいでしょうが」
 ほんの僅かに、拗ねたようなイントネーションがあった。
「もう一ヶ月もあんたを抱いてないんですよ? 俺を餓死させる気ですか」
「アホ。大袈裟なんだよ」
 ふだんは傲岸不遜を絵に描いたようなヤクザ者のくせに、たまにこんなふうに年下ぶった口の利き方をしやがる。またそれにほだされる俺も俺だ。もっといえば、さっきから兵頭のトワレと、奴自身の香りに軽く酩酊している自覚もあった。
「ちっとも大袈裟じゃない……先輩以外の誰を食っても、俺は腹一杯にならないんです」
 兵頭が顔を寄せてきた。もう互いの鼻の頭が触れあいそうな距離だ。
「へえ。誰か食ったわけ?」
「妬けますか?」
「べつに」
 そんなつもりはないのに、意地を張っているような声になる。兵頭の喉がクッと音を出した。嘲笑というより、つい漏れた笑い声というニュアンスだった。
「嘘です。誰も食ってませんよ。以前はそこそこの味でも満足できたのに、今じゃあんた以外に食指が動かねえ。……なあ、責任取ってくれよ、先輩」
 最後の台詞は、高校生の頃を彷彿とさせる口調だった。俺は「知るか」と答えるつもりで口を開けたのだが、それはおのずと、キスを受け入れるタイミングになった。
 兵頭の唇を感じると、皮膚の表面にさざ波のような震えが走る。
 濡れた音と同時に舌が入り込んできて、まだためらいを捨てきれない俺の舌を搦め捕った。

*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

形式

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存さされているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式のご利用方法をご覧下さい。