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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・クラシックス

海に眠る恋

海に眠る恋


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・クラシックス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ペニー・ジョーダン(Penny Jordan)
 1946年にイギリスのランカシャーに生まれ、10代で引っ越したチェシャーに生涯暮らした。学校を卒業して銀行に勤めていた頃に夫からタイプライターを贈られ、執筆をスタート。以前から大ファンだったハーレクインに原稿を送ったところ、1作目にして編集者の目に留まり、デビューが決まったという天性の作家だった。2011年12月、がんのため65歳の若さで生涯を閉じる。晩年は病にあっても果敢に執筆を続け、同年10月に書き上げた『純愛の城』が遺作となった。

解説

 あのサイモンがクリスティに仕事を手伝ってほしがっている。六年前クリスティは作家のサイモンと出会って恋をし、失恋した。彼は今度エリザベス朝の冒険家について書く予定で、裏づけとしてカリブ海で沈没させられたという冒険家の船を捜したいらしい。それで、秘書の仕事ができ、ダイビングの経験もあるクリスティに白羽の矢が立ったというわけだ。カリブ海には心惹かれるが、彼の助手を務めるのは気が進まない。だが次の日彼と会って話したクリスティは決心した――いいわ、サイモンとカリブ海へ行って、私がもう彼のことなどなんとも思っていないことを証明してやろう。

抄録

「もうやすませてもらうわ。あなたは?」
 クリスティは軽く首を横に振った。「私はそんなに疲れていないの」
 心の緊張がほぐれず眠れない、というのが本音だ。夕食時には話題に上らなかったが、母はまだサイモンの仕事を引き受けるべきだと思っているらしい。クリスティはため息をついてレコード棚に行き、ヘンデルの曲を選んだ。
 サイモンはクリスティのクラシック好きを遠回しにけなしたものだ。「君は何もかもロマンティックでなけりゃ気がすまないんだろう? だが、人生はそんなものじゃないんだよ、ジプシー」サイモンはレコードを買ってくれた。ポップスもクラシックもあったが、どれもこれも、人生は喜びとともに苦悩をもはらんでいることを伝えていた。母とジェラミーは来るべき秋のスケジュールに備えて細かい打ち合わせにおおわらわだった。母は新作を二冊出版するかたわらアメリカ旅行を控え、そのほかにも相談しなければならない事柄があった。おのずと、サイモンとクリスティはふたりきりでほうっておかれることになった。クリスティはその夏にセクレタリー・スクールを卒業したので、ふたりは牧師館のいささか古めかしいテニスコートを頻繁に利用した。
 サイモンは対抗意識が強く、決してクリスティに勝たせようとしなかった。その激しい勝利欲に、クリスティは腹を立てることもあった。クリスティ自身は勝とうが負けようがいっこうに気にせず、サイモンはなんとかしてそれがクリスティの欠点だと彼女に認めさせようとした。
「なんて欲がないんだ」ある日、サイモンはからかって言った。「どんな人生を過ごすつもりでいるんだい、クリスティ? 恋をして、結婚して、生涯幸せに暮らすのかい?」
 クリスティが真っ赤になるとサイモンは笑ったが、その笑いは面白がっているのではなく、さげすみに耐えて強くなった人間のとげとげしさを含んでいた。
「母なる自然が君に備えたもうたものは、男にとってなんと大きな罠《わな》だろう。君の顔も体も、あまりに多くを約束している……あまりに大きな魅力を。でもそれは、ある代償なしには手に入れられないんじゃないかい、ジプシー? 代償、すなわち結婚さ」
 その時、クリスティにはサイモンの怒るわけが理解できなかった。ただばかにされているのだと思い、なぜばかにされるのかもわからなかった。もっと経験を積んだ人間ならそれは欲求不満だと気づいただろうが、クリスティは純情すぎて、それがわからなかったのだ。
 初めてキスをされた時のことは、鮮やかに覚えている。ある日、サイモンは自分の車でクリスティをドライブに連れ出した。真っ赤なスポーツカーだった。クリスティが車をほめると、サイモンは心なしかさげすむように答えた。
「若者の車さ。結婚だの家庭だの、避けられない人づき合いなどに縛られないうちに買うものだよ。でも、そんなものは僕にはお呼びじゃないのさ、クリスティ。僕が選ぶのは、これからもずっと、客をひとりしか乗せられない車だよ」
 サイモンはクリスティを海岸へ連れていったが、そこにはクリスティがよく母と来る、ほとんど人けのない小さな渚があった。クリスティはジーンズの下に水着をつけていたが、ジーンズを脱ぐことに抵抗を感じ、息を潜めてこちこちになりながらサイモンがシャツとジーンズを脱ぐのを見守った。クリスティがじっと見とれていることに気づくとサイモンは笑い、クリスティはきまり悪さに顔を赤らめ、そっぽを向いた。すると、サイモンは両手でクリスティの顔をはさんで向き直らせた。固く、温かいてのひらだった。
「僕を見たがったって、別に何も悪いことはないんだよ、クリスティ。ほら、僕だって君をながめて楽しんでいる……いつもそうさ。本当はね、見ているだけじゃもの足りない。もっと……」サイモンは太陽を遮って頭を下げながら、低くつぶやいた。ゆっくり唇と唇が重なる。やがてこわばっていたクリスティの口もとがほぐれ、はにかみながらも焦がれるように、優しくサイモンの唇を求めた。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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