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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

モンテカルロの愛人

モンテカルロの愛人


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆2
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著者プロフィール

 アビー・グリーン(Abby Green)
 ロンドン生まれだが、幼少時にアイルランドに移り住む。十代のころに、祖母の愛読していたハーレクインのロマンス小説に夢中になり、宿題を早急に片づけて読書する時間を捻出していた。短編映画のアシスタント・ディレクターという職を得るが、多忙な毎日の中でもハーレクインの小説への熱はますます募り、ある日辞職して、小説を書きはじめた。

解説

 家族に暴力を振るう冷酷な継父トムが亡くなり、マギーはひそかに安堵していた。これでようやく母親と二人、穏やかな毎日を送ることができる、と。ところが顧問弁護士からとんでもない事実を聞かされ、マギーはショックで呆然となった。財産はおろか、実父と過ごした思い出の家まですべて、実業家ケイレブに奪い取られたというのだ。彼は私に復讐するつもりなの? やはり……半年前のあの出来事を忘れていなかったのだ。ほどなくして、マギーの手元に愛人契約書が届けられた。

抄録

 ケイレブは勝ち誇った顔で、マギーのささやかな抵抗をあざけった。「ほらね、君は嘘つきだ」彼はそう言って、片手でマギーの顎を持ちあげた。「甘い罠の蜜は、今でも驚くほど甘美だな」
 マギーは震える息を吐いた。体を引き、がくがくする脚を隠そうとする。
「感謝するんだな。僕がまだ君に欲望を感じることを。でなければ、君には打つ手がなかった」
 その言葉に、マギーはケイレブに会いに来た目的を思い出した。こんな大切なことを忘れていたなんて。彼女は目的に意識を集中させ、心の弱さを振り払った。「母に家を返してくれるの?」
 ケイレブはゆっくりと頭を傾けた。「僕が望むものを、君が差し出したらね」
「私を?」
「そうだ」
 マギーはふと思いついたことを口にした。「でも……あなたに恋人はいないの?」
「なんだって?」彼が鋭く問い返す。
 彼女は赤くなった。そんなことはきかなくてもわかる。よく彼の記事をさがして読んでいるから。いつも美女が一緒にいた。「新聞には……」マギーの声は消え入りそうで、頬は上気していた。
「恋人だって?」ケイレブはくだらなそうに笑った。「なにを言いだすかと思えば。恋人らしい存在がいたのは、母とリオ・デ・ジャネイロにいた六歳が最後だ。だいたい、君のような道徳観の欠如した人間が心配することじゃないだろう?」
 それは好都合だ。マギーはケイレブの辛辣な言葉を無視して、なげやりにそう思った。哀れな女をもてあそぶ余裕はあるということだ。それに、純真ぶってもしかたない。彼のまわりにいるのは絶世の美女か社会的に影響力を持つ女性だけ。彼のような人は飽きるか結婚するまで愛人を持つものなのだ。結婚相手も、仕事上の利益を考えて選ぶのだろう。
 我ながら冷めた心に驚きながら、マギーは言った。「条件は?」
「あの家を母親の名義に戻してほしいなら、明日の二時に荷造りしてここへ来るんだね」
 全身の感覚がなくなった。「私に、あなたの家に引っ越せというの?」
「そうだ。僕にはパートナーか、なぐさみ相手……すすんでベッドの相手をしてくれる女性が必要だ」
“すすんで”ではなく“ベッドの相手”という言葉に想像がふくらみ、マギーは背筋に震えが走り、その場から動けなくなった。髪も服もめちゃめちゃで、足元はおぼつかず、唇は腫れてうずいている。
 どうしてこんなことに? 私のせいなの?

 半年前のことなら、継父も悪いがケイレブも悪い。会社の買収合戦で、私をチェスの駒のように利用したのだから。彼に感じるこのたまらない思いはなんなのだろう? それが私を弱くしている。マギーは自分に嫌気がさした。「それで?」
「君には契約書にサインしてもらう。この取り引きでなんの利益も得ないと証明するために。家は母親の名義に戻しても、君には相続させない。それから言っておくが、家の転売は禁止だ」
 マギーは胸が悪くなった。「あなたって噂どおりの人ね。そこまで人を疑えるなんて。あなたには心ってものがないのよ」
 一瞬、ケイレブの顔をなにかがかすめた。まさかこのマギーが傷ついたとでもいうのか? そして僕までもが? 冗談じゃない。僕はそんな感情とは無縁だ。彼女の真意を確かめるように、彼はまた仮面のように表情を消した。きっと僕の思い違いだ。
 彼女の言葉を無視して続ける。「君が僕の望みをかなえれば、約束は実行される」
「私があなたとベッドをともにすればってこと?」
「二カ月間、または僕が君を欲しいと思う間はね」
「一晩で飽きたらどうするの?」ふてくされたようにマギーは尋ねた。
 ケイレブが足を踏み出し、目の前でとまった。彼の香りに包まれ、マギーは緊張した。「そんなことあるはずがないだろう、マギー。請け合うよ」
 マギーはケイレブの剃刀のような視線を避けて背中を向けた。いろいろな思いが頭をよぎり、手に力がこもる。あの家には今や数百万ポンドの価値があるはずだ。お金の問題ではないから値段には興味がないけれど。母が父の思い出を胸に、やっと安らかに余生を過ごせる場所。それがあの家なのだ。マギーはずっと母を誰よりも守ってきた。トムの拳と母の間に割りこんだ六歳のときから。そして、当時の傷は今もなお残っていた。
 だがトムはもういない。母が幸せになれる最後のチャンスを、私がなんとかしなくては。ケイレブがこんなに近くにいてはよく考えられないけれど、これしか方法はないのよ。マギーはふたたびケイレブと向き合った。動揺を悟られたくなくて顎を上げる。「もし明日、私が来なかったら?」
 彼女の顔を見たケイレブは、自分でも驚くような胸の痛みを感じた。来ないつもりか……まさか。マギーを愛人にするともう決めたのに。いや、本気のはずはない。彼女の中で計算はできているだろう。与えるものより得られるもののほうが大きいと。ケイレブは威厳をこめて長身を伸ばし、褐色の腕にはめた重いプラチナ製の時計を見た。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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