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ヅラが彼女にバレたとき

ヅラが彼女にバレたとき


発行: すばる舎
価格:845pt
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著者プロフィール

 藤田 サトシ(ふじた さとし)
 モテない男のナンパ塾&婚活塾塾長。
 獨協大学卒業後、東証一部上場企業スター精密株式会社に勤務する。その後独立し、2002年に「モテない男のナンパ塾」を開塾。現在は、作家、婚活コンサルタント、デートドクター、カップリングパーティー研究家、カツラ研究家、デートスポット研究家、マジシャンなど、さまざまな分野で活躍中。

解説

 全国の薄毛に悩む青年に勇気と愛を!
 『モテ・バイブル』『モテる会話』などの著者であり、「モテない男のナンパ塾&婚活塾」塾長の青春時代は、暗黒だった……! なぜなら、若かりし頃より、重症の「ハゲコンプレックス」に悩まされ、彼女一人いなかったのだ。失恋を機に、ついに「ヅラ」デビューを果たす著者。ヅラを着けただけで、外見も中身も大変身を遂げたのだ。そう、ヅラひとつで女性に縁のない人生から一転! 試行錯誤を繰り返し、今までに経験したことのない怒涛の人生が始まった! 数々の女性との出会いから、ついに見つけた運命の人へのプロポーズの結果は……? 著者自身の体験をもとにおもしろおかしく書き綴られたバラ色人生の一部始終をお届けします。

目次

第1章 ヅラッド・ピット誕生
第2章 ヅラッド・ピットの初お見合い
第3章 ヅラッド・ピット、初めて女性にモテる!
第4章 玉砕! 初めてのお見合いパーティ
第5章 ヅラッド・ピット、師匠に弟子入り
第6章 なんちゃってJリーガーの悲劇
第7章 ねるとんパーティは伏魔殿
第8章 刑事がウチにやって来た!
第9章 ヅラッド・ピットの初ナンパ
第10章 カリスマナンパ師との遭遇
第11章 ヅラッド・ピット、スゴ腕ナンパ師への軌跡
第12章 ヅラを隠してプロポーズ
あとがきに代えて

抄録

第1章 ヅラッド・ピット誕生
「パチッ、パチッ、パチッ」
 カウンセラーがヅラを取り付けていく音が耳元で響いている。

「パチッ、パチッ、パチッ、パチッ」
 残り少ない髪の毛がフサフサしたヅラで覆い隠されていく。

「痛くはありませんか?」
「いえ……大丈夫です」
 カウンセラーがヅラを着け終わり、私の頭から手を離すと……。

 目の前には、外ヅラが一変した自分の姿が映し出されていた。

「とてもお似合いですね」
「あ、ありがとうございます! スッ、スゴイ! これが本当に自分なのか?」
 私は別人のように変身した自分の姿に少々違和感を覚えながらも満面に笑みを浮かべた。

 ここは、某ヅラメーカーの個室。
 ついさきほどまで油ギッシュに光り輝いていた私の前頭部は、瞬時に十数年前のフサフサ状態に戻っていた。

 本来、増毛は不自然さをなくすために段階を踏んで少しずつ増やしていくのだが、あまり予算を割けなかった私の場合は段階を踏まずに一気に増毛するしかなかったのである。

 今までの私を知っている人が見ればあまりに不自然な増え方だが、初対面の人なら、よもやヅラとはわかるまいと思われるほどの出来具合。大満足である。

 これなら美女の目誤魔化し、結婚に漕ぎ着けることができそうだ……鏡に映った自分の姿を見ながら、私は思わず、心の中でこう叫んだのだった。

「帰ってこい! 私の青春!」

 私の髪の毛が心もとなくなってきたのはいつ頃だっただろうか?
 たぶん20代の半ばにさしかかったあたりから除々に薄くなっていったのだと思う。そして30代になり、気づいた時には前頭部がテッカテカにハゲ上がっていた。

 私の前頭部ハゲはまるで「落ち武者」のように見えたらしく、社内の後輩たちは私を「オチムシャン」と呼んでいた。当初、彼らは密かにそう呼んでいたのだが、私がそれを知っても怒り出さないのを見ると、だんだん目の前でそう呼ぶようになった。

 もちろん私はその言葉にムカついたが、当たっているだけに言い返せずに、「デヘヘ」と笑って誤魔化すしかなかった。しかし笑いながらも心は酷く傷ついていた。

 若ハゲに悩み始めたころから、女性に対しても臆病になっていった。髪があったころはなんとか女性と会話を交わすことができたのに、自分がハゲだと思うだけでこちらから声をかけることもできない。20代前半までは暗くはなかった性格だったがハゲのせいでどんどん暗くなっていったのである。

 そのころ、そんな私でも一人前にある女性に恋をした。
 もちろん片思いである。相手は会社の同僚。面長で目がパッチリした「かわいい系」の女のコだった。

「おはようございま〜す!」
「お、おはよう……」

 毎朝、元気にあいさつしてくれる彼女にしどろもどろのあいさつで応える私。オチムシャンハゲのコンプレックスがあるゆえ、片思いの彼女に自分から声をかけることなどとてもできない。

 当時、私が通勤していたのはたった数名の営業所だったのに、フツーに話すことができないのだ。声をかけられないくせに、常に心の中は彼女のことでいっぱいだった。

 ある日曜日、私は散歩をしているうちに彼女の家の最寄駅に降り立っていた。彼女のことを考えているうちに、つい、フラフラとその駅に来てしまったのである。

 そして、「せっかくだから、彼女のマンションを探してみよう」と思いたった。私の手帳には彼女の家の住所がしっかりとメモしてある。彼女に関することは何でも知りたかったので、何から何までメモしていたのである。

「ここか……」

 20分ほど歩き回って、やっと彼女のマンションを見つけ出した。郵便受けを眺めると、彼女の苗字がそこにはあった。彼女が住んでいるところを知っただけで、それまでやるせない気持ちでいっぱいだった私はいっきょに満足し、その日は幸せな気分のまま、帰路に着いた。

 その後、何度か、彼女のマンションまで行ってみた。もしかしたら、家から出てくる彼女を目撃できるかもしれないと夢想していたからだ(だからといって、出会ってしまうのは絶対に避けなければならない)。

 そして、その奇妙な行動はいつしか、私の習慣になってしまい、気がつけば、毎週のように彼女の家の最寄り駅まで出かけるようになっていった。

 休日起きると深く帽子をかぶり、サングラスをしてそそくさと家を出る。満たされない気持ちを紛らわすために、用もないのにその女性の住まい近辺を徘徊するのだ。

 他人が見れば、当時の私はほとんどストーカーだったろう。ハゲは否応なしにそのヒトの人格まで変えてしまうものなのだ。

 ある休日、いつものように彼女のマンションのドアの前に行ってみると、雑誌がひもに結ばれて置いてあるのを見つけた。当時は、古新聞古雑誌をちり紙と交換する業者が廻っていた時代なので、その業者に出すために彼女が置いておいたものだろう。

 ストーカーの発想は奇抜だ。
 私は一瞬にして、それらを戦利品と認識したのである。

 彼女の持ち物だったものが手に入るなんて、こんな嬉しいことはない。この喜びは他人にはとても伝えられるものではない。歓喜の表情を浮かべながら足早に雑誌に近づいた。そして、うず高く積まれた古雑誌を両手でゴソッとワシ掴みにし、脱兎のごとくその場から走り去ったのであった。

※この続きは、製品版でお楽しみください。

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