和書>小説・ノンフィクション>ボーイズラブ小説>御曹司
著者プロフィール
高円寺 葵子(こうえんじ あおいこ)
11月×日生まれ 蠍座 O型
好きなものは紅茶とお花。気分転換と称しガーデニングに精を出す日々。
著書に『Call me queen』(茜新社) 、『アリスにおまかせ!』(桜桃書房)、『 虹色candy box』『子供じゃないっ!』『 がんばれ信濃』(心交社)、『君は僕の無邪気姫』『愛がなくちゃね!』『天使襲来』『象牙のモノリス』(オークラ出版)、『ムーン・ガーディアン』(ムービック)、『P・B・(ピーチボーイ)』シリーズ(二見書房)ほか多数。
公式HPはhttp://www05.u-page.so-net.ne.jp/td5/i-noel
11月×日生まれ 蠍座 O型
好きなものは紅茶とお花。気分転換と称しガーデニングに精を出す日々。
著書に『Call me queen』(茜新社) 、『アリスにおまかせ!』(桜桃書房)、『 虹色candy box』『子供じゃないっ!』『 がんばれ信濃』(心交社)、『君は僕の無邪気姫』『愛がなくちゃね!』『天使襲来』『象牙のモノリス』(オークラ出版)、『ムーン・ガーディアン』(ムービック)、『P・B・(ピーチボーイ)』シリーズ(二見書房)ほか多数。
公式HPはhttp://www05.u-page.so-net.ne.jp/td5/i-noel
解説
名門財閥の御曹司、成績きわめて優秀、長身で抜群のプロポーション、おまけに素晴らしい美貌をもった「あいつ」の名は、美杉洋一郎。そして俺、成績はつねに学年最下位、みごとなまでの凡人、東郷彼方。〈洋一郎×彼方〉学園ハイパー・ラブコメディ。
目次
プロローグ
ステップ0 ステーション
ステップ1 夕映えの決死線っ!
ステップ2 覚醒!自由への道
ステップ3 暁の攻防戦
ステップ4 病院へ行こうっ!
ステップ5 クラッシュっ!
ステップ6 ファイナル・バトルロイヤル
ステップ7 ミラクル・ボーイッ!
エピローグ
あとがき
ステップ0 ステーション
ステップ1 夕映えの決死線っ!
ステップ2 覚醒!自由への道
ステップ3 暁の攻防戦
ステップ4 病院へ行こうっ!
ステップ5 クラッシュっ!
ステップ6 ファイナル・バトルロイヤル
ステップ7 ミラクル・ボーイッ!
エピローグ
あとがき
抄録
引かれるみたいに……静かに唇が触れ合った。
合わさった唇の端から、溜め息に似た呻きが漏れる。
閉ざされた視界の中で、ただその感触だけがすべて。感覚のすべてを使い、ヤツの吐息だけを感じ取ろうとする。
はじめは軽く緩やかに、やがて深く激しく……。
だんだん……全身の力が抜けていく。足もとから地面が崩れるような感覚にブッ倒れてしまうかとも思ったが、その寸前、ガシッと腰に手がまわり……そのまま胸に引き寄せられた。
胸もとに深く抱かれ、布越しに体中をまさぐられ――それはほっそりした、繊細な芸術家みたいな指先だった――、たんねんに全身を隅から隅まで撫でまわされ……手は最後に一つは背中に、残る一つは首筋へと上がっていく。指先が項《うなじ》を掠めて行き過ぎる瞬間、チリッと甘いパルスが走り、首をすくめた。
思わず傾けた首と頬の間に、すかさず指を差し入れられて、そして、大きな掌《てのひら》で片頬を包みこむようにして、ゆっくりと生え際の髪を下から上へ梳《す》き上げられる。
……ゾクッとする。
俺は、まだ目を閉じたままだ。
もちろん、唇も合わさったままだ。
やがて指先は、俺の顎の下に入り、ラインをたどるようにして弄んでいたと思ったら、グッと強く引き上げられる。
……唇の重なりが、なお深くなる。
とうとう……二人折り重なって地面に倒れた。
背中にコンクリートの地面が触れ、ヒヤッとしたのは一瞬。間も置かずして、さっきより熱い腕に包みこまれる。
灼熱《しゃくねつ》の吐息が項をチクリと突き刺す。
「あっ」
……注ぎこまれる情熱。
ぴくりと体が跳ね、薄目を開けたのはそのときがはじめてだ。
そして、そこに、あいつの整った……でもいつもみたいに取り澄ましたものではなく、むしろぞっとするほど艶《あで》やかな炎華を剥き出しにした表情に安堵する。
俺だけが知っている。これがあいつの本当の姿だ。
不思議だな。みんなが口をそろえて絶賛する『あいつ』より、こっちの『あいつ』の方が、だんぜん俺は好きなんだ。こっちの『あいつ』は、何かにつけ俺にひどいことばかりするっていうのに……。
でも、なんでかな。嘘をつかれるよりもいいかなって思うんだ。ありのままでいてくれる方が――ときどき本当に怖くなるけど――いいかなって思うんだ。
「な、彼方。わかってくれよ。これ以上言わせんな。お前は俺と一緒にいるため、同じ大学……東大に受かるんだ。それだけでいいじゃんか。それ以上は、もうどうだっていいだろう?」
やんわりと膝で俺の股間を押し上げながら、切れ切れの吐息の間にあいつ。
そこには、もはや嫌味なくらいにゆとりに満ちた貴公子の風格はなく、ただ生身のままのあいつがいる。
「お前を傷つけたくないんだよ。進藤なんてどうなったっていいって思うくらい、お前の方が大切なんだよ」
なんだか……ものすごい告白をされているような気もするが、今の俺には届くはずもなかった。また逆に、わかるのもひどく――怖い。
合わさった唇の端から、溜め息に似た呻きが漏れる。
閉ざされた視界の中で、ただその感触だけがすべて。感覚のすべてを使い、ヤツの吐息だけを感じ取ろうとする。
はじめは軽く緩やかに、やがて深く激しく……。
だんだん……全身の力が抜けていく。足もとから地面が崩れるような感覚にブッ倒れてしまうかとも思ったが、その寸前、ガシッと腰に手がまわり……そのまま胸に引き寄せられた。
胸もとに深く抱かれ、布越しに体中をまさぐられ――それはほっそりした、繊細な芸術家みたいな指先だった――、たんねんに全身を隅から隅まで撫でまわされ……手は最後に一つは背中に、残る一つは首筋へと上がっていく。指先が項《うなじ》を掠めて行き過ぎる瞬間、チリッと甘いパルスが走り、首をすくめた。
思わず傾けた首と頬の間に、すかさず指を差し入れられて、そして、大きな掌《てのひら》で片頬を包みこむようにして、ゆっくりと生え際の髪を下から上へ梳《す》き上げられる。
……ゾクッとする。
俺は、まだ目を閉じたままだ。
もちろん、唇も合わさったままだ。
やがて指先は、俺の顎の下に入り、ラインをたどるようにして弄んでいたと思ったら、グッと強く引き上げられる。
……唇の重なりが、なお深くなる。
とうとう……二人折り重なって地面に倒れた。
背中にコンクリートの地面が触れ、ヒヤッとしたのは一瞬。間も置かずして、さっきより熱い腕に包みこまれる。
灼熱《しゃくねつ》の吐息が項をチクリと突き刺す。
「あっ」
……注ぎこまれる情熱。
ぴくりと体が跳ね、薄目を開けたのはそのときがはじめてだ。
そして、そこに、あいつの整った……でもいつもみたいに取り澄ましたものではなく、むしろぞっとするほど艶《あで》やかな炎華を剥き出しにした表情に安堵する。
俺だけが知っている。これがあいつの本当の姿だ。
不思議だな。みんなが口をそろえて絶賛する『あいつ』より、こっちの『あいつ』の方が、だんぜん俺は好きなんだ。こっちの『あいつ』は、何かにつけ俺にひどいことばかりするっていうのに……。
でも、なんでかな。嘘をつかれるよりもいいかなって思うんだ。ありのままでいてくれる方が――ときどき本当に怖くなるけど――いいかなって思うんだ。
「な、彼方。わかってくれよ。これ以上言わせんな。お前は俺と一緒にいるため、同じ大学……東大に受かるんだ。それだけでいいじゃんか。それ以上は、もうどうだっていいだろう?」
やんわりと膝で俺の股間を押し上げながら、切れ切れの吐息の間にあいつ。
そこには、もはや嫌味なくらいにゆとりに満ちた貴公子の風格はなく、ただ生身のままのあいつがいる。
「お前を傷つけたくないんだよ。進藤なんてどうなったっていいって思うくらい、お前の方が大切なんだよ」
なんだか……ものすごい告白をされているような気もするが、今の俺には届くはずもなかった。また逆に、わかるのもひどく――怖い。
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