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著者プロフィール
江波戸 哲夫(えばと てつお)
1946年、東京生まれ。東京大学経済学部卒業。
都市銀行、出版社を経て、1983年、作家活動を本格的に始める。
「小説大蔵省」「集団左遷」「新入社員」「マンション戦争」「しなやかな辣腕」などの小説のほかに、エッセイとして「辞めてよかった!」、ルポルタージュとして「西山町物語」など著書多数。
1946年、東京生まれ。東京大学経済学部卒業。
都市銀行、出版社を経て、1983年、作家活動を本格的に始める。
「小説大蔵省」「集団左遷」「新入社員」「マンション戦争」「しなやかな辣腕」などの小説のほかに、エッセイとして「辞めてよかった!」、ルポルタージュとして「西山町物語」など著書多数。
解説
「日経ベンチャー」ホームページ上で連載された、日本初の本格的インターネット小説、待望の単行本化! 読者参加によるストーリー創りに大反響!(小説中の経営・経済に関するキーワードには解説も付いています。)
父が死んだ。
兄は工場を継ぎ、弟は会社を興した──。
父が死んだ。
兄は工場を継ぎ、弟は会社を興した──。
目次
まえがき
1章 企業継承
二代目兄弟と副社長派
連携プレー
2章 部下の不服従
キーパースンは誰か?
見えない抵抗網
★第1回「読者が参加するストーリー創り」〜投票のお願い
3章 上場を目指して
最短記録
アントレプレナーは高校の先輩
仏前の会議
4章 社員集会
包囲網〈第1回「読者が参加するストーリー創り」投票結果による展開〉
サボタージュ
★第1回「読者が参加するストーリー創り」投票結果
★第2回「読者が参加するストーリー創り」〜一つの場面を書いてみませんか?
5章 店頭登録の方法
6章 起業目指して企業行脚
再会
城南化学のBPR
キャリアウーマン
男と女
★第3回「読者が参加するストーリー創り」〜投票のお願い
7章 サボタージュ攻略
電話での攻防
〈第2回「読者が〜」応募作品〜読者が書いたストーリー〉
反乱軍の作戦会議
妥協案
工場
兄弟の展望
★第2回「読者が参加するストーリー創り」応募作品の講評
★第4回「読者が参加するストーリー創り」〜投票のお願い
8章 資金繰り
五〇〇〇万円の融資
経営見通しの作成
副社長の謀略
9章 ゲーム業界
優柔不断
古巣の後輩
恩知らず
留守電のメッセージ
城南化学の再教育
10章 後藤兄弟の攻勢
新しいネットワーク
親会社のシステム
コンサルティング
プロバイダー業界
11章 中小企業用電子メール
パソコン研修
見積り書
受注できず
ゴトーネット
12章 新会社の誕生
クライアント第一号
登録に向けて
辞表の提出
〈第3回「読者が参加するストーリー創り」投票結果による展開〉
★第3回「読者が参加するストーリー創り」投票結果
13章 「ゴトーネット」の力
全従業員の働きぶり
副社長のあがき
もう一つの再建策
数字の面倒を見る人
〈第4回「読者が参加するストーリー創り」投票結果による展開〉
★第4回「読者が参加するストーリー創り」投票結果
14章 徹と春子
15章 再建策なき再建
揺れる役員会
新しい受注
工場長
副社長の乾杯
家族の乾杯
紙上クリック! 経済・経営キーワード解説
1章 企業継承
二代目兄弟と副社長派
連携プレー
2章 部下の不服従
キーパースンは誰か?
見えない抵抗網
★第1回「読者が参加するストーリー創り」〜投票のお願い
3章 上場を目指して
最短記録
アントレプレナーは高校の先輩
仏前の会議
4章 社員集会
包囲網〈第1回「読者が参加するストーリー創り」投票結果による展開〉
サボタージュ
★第1回「読者が参加するストーリー創り」投票結果
★第2回「読者が参加するストーリー創り」〜一つの場面を書いてみませんか?
5章 店頭登録の方法
6章 起業目指して企業行脚
再会
城南化学のBPR
キャリアウーマン
男と女
★第3回「読者が参加するストーリー創り」〜投票のお願い
7章 サボタージュ攻略
電話での攻防
〈第2回「読者が〜」応募作品〜読者が書いたストーリー〉
反乱軍の作戦会議
妥協案
工場
兄弟の展望
★第2回「読者が参加するストーリー創り」応募作品の講評
★第4回「読者が参加するストーリー創り」〜投票のお願い
8章 資金繰り
五〇〇〇万円の融資
経営見通しの作成
副社長の謀略
9章 ゲーム業界
優柔不断
古巣の後輩
恩知らず
留守電のメッセージ
城南化学の再教育
10章 後藤兄弟の攻勢
新しいネットワーク
親会社のシステム
コンサルティング
プロバイダー業界
11章 中小企業用電子メール
パソコン研修
見積り書
受注できず
ゴトーネット
12章 新会社の誕生
クライアント第一号
登録に向けて
辞表の提出
〈第3回「読者が参加するストーリー創り」投票結果による展開〉
★第3回「読者が参加するストーリー創り」投票結果
13章 「ゴトーネット」の力
全従業員の働きぶり
副社長のあがき
もう一つの再建策
数字の面倒を見る人
〈第4回「読者が参加するストーリー創り」投票結果による展開〉
★第4回「読者が参加するストーリー創り」投票結果
14章 徹と春子
15章 再建策なき再建
揺れる役員会
新しい受注
工場長
副社長の乾杯
家族の乾杯
紙上クリック! 経済・経営キーワード解説
抄録
ぐい飲みの酒を一口飲んでから、徹がいった。
「そんなにやばいのか?」
彬が唇を結んでうなずいた。後藤工業所が彬に掌握し切れない状態になっていることを、徹は昨夜の電話で聞いている。
「横田なんか、辞めさせちゃえばいいじゃない。ウチがほとんどの株を持っているんだろう」
徹が忌々しそうにいった。
「おれも横田さんを辞めさせてうまくいくなら辞めさせるさ。しかし、そうかんたんじゃない」
「案ずるより産むが易い、とおれは思うけどね」
「産んでみて、母子ともにお亡くなりになりました、ってのもまずいだろう。いま横田さんを辞めさせれば、従業員の半分はこっちのやり方に反発するさ。辞表を叩きつけないまでも、やる気をなくされたり、サボタージュされたら、後藤工業所を経営していくことはできない」
「つまり横田はそれだけ従業員を掌握しているということになるわけだ。だったらあいつを親父の次の社長にしたらよかったのか?」
彬はちょっと視線を泰子に向け、それからまた徹に戻した。その一瞬の表情に、徹は今まで見たことのない大人びた兄貴を見たような気がした。
「そうじゃないんだな。こんなこといっちゃ申し訳ないけど、親父が悪かったんだよ。親父は自分の次におれを継がせようと思っていたんなら、予めそういう社内の体制を作っておかなきゃいけなかった。横田さんをあんなにわがままのできるナンバー2にしておきながら、急におれんところに持ってくれば、ぎくしゃくするさ」
「もっと長生きするつもりだったのよ」
泰子の声が少し震えた。徹は泰子の肩を軽く叩き、彬も黙ってぐい飲みを口に運んだ。
「それで明後日はどうするんだ?」
「普通にやるさ。事務所にみんな集まってもらっていつもの社員集会だ。そこで業績のことを詳しく説明して、リストラ計画を発表する」
「やばいってのは?」
「誰かがリストラ計画に反対意見をいう、そしてみんなが口々に同調する、そういう場面がありそうなんだ」
「おれが辞めるって、みんな知ってるの?」
「ああ、もうみんな知ってるさ。それで、少しはみんなの不満を和らげているところがある」
「後藤工業所が潰れてもいいのか、と脅したらどうだ?」
「それならこっちの胆を決めておかなければならない」
「こっちの胆?」
「潰れてもいいか、という最後通蝶を突き付けて、売り言葉に買い言葉で、ああいいですよ、となったとき、うちとしてはそれでいいのか、ということだ」
徹はすぐに口を開きかけて、その口を閉ざした。
「そんなのダメよ」その代わりに母親の泰子がいった。「お父さんは、お前たち二人で、会社をきちんと立て直してもらいたいと思っていたのよ。それを徹はヒョータンからコマみたいに辞めることにしてしまうし、彬までそんなことをいい出して」
「まだ、そうするといってないでしょう。一つの可能性を描いてみただけだよ」
「分かった、さっきの言葉を取り消すよ」徹がいった。「おれが会社を辞めることは、会社を生き延びさせるためにやったんだから、いいんだ。しかし兄貴は短気を起こしてはいけない」
「調子いいじゃないか」
「悪いけれどそれが長男と次男の違いだ」
徹は愉快そうな笑みを浮かべた。
「そんなにやばいのか?」
彬が唇を結んでうなずいた。後藤工業所が彬に掌握し切れない状態になっていることを、徹は昨夜の電話で聞いている。
「横田なんか、辞めさせちゃえばいいじゃない。ウチがほとんどの株を持っているんだろう」
徹が忌々しそうにいった。
「おれも横田さんを辞めさせてうまくいくなら辞めさせるさ。しかし、そうかんたんじゃない」
「案ずるより産むが易い、とおれは思うけどね」
「産んでみて、母子ともにお亡くなりになりました、ってのもまずいだろう。いま横田さんを辞めさせれば、従業員の半分はこっちのやり方に反発するさ。辞表を叩きつけないまでも、やる気をなくされたり、サボタージュされたら、後藤工業所を経営していくことはできない」
「つまり横田はそれだけ従業員を掌握しているということになるわけだ。だったらあいつを親父の次の社長にしたらよかったのか?」
彬はちょっと視線を泰子に向け、それからまた徹に戻した。その一瞬の表情に、徹は今まで見たことのない大人びた兄貴を見たような気がした。
「そうじゃないんだな。こんなこといっちゃ申し訳ないけど、親父が悪かったんだよ。親父は自分の次におれを継がせようと思っていたんなら、予めそういう社内の体制を作っておかなきゃいけなかった。横田さんをあんなにわがままのできるナンバー2にしておきながら、急におれんところに持ってくれば、ぎくしゃくするさ」
「もっと長生きするつもりだったのよ」
泰子の声が少し震えた。徹は泰子の肩を軽く叩き、彬も黙ってぐい飲みを口に運んだ。
「それで明後日はどうするんだ?」
「普通にやるさ。事務所にみんな集まってもらっていつもの社員集会だ。そこで業績のことを詳しく説明して、リストラ計画を発表する」
「やばいってのは?」
「誰かがリストラ計画に反対意見をいう、そしてみんなが口々に同調する、そういう場面がありそうなんだ」
「おれが辞めるって、みんな知ってるの?」
「ああ、もうみんな知ってるさ。それで、少しはみんなの不満を和らげているところがある」
「後藤工業所が潰れてもいいのか、と脅したらどうだ?」
「それならこっちの胆を決めておかなければならない」
「こっちの胆?」
「潰れてもいいか、という最後通蝶を突き付けて、売り言葉に買い言葉で、ああいいですよ、となったとき、うちとしてはそれでいいのか、ということだ」
徹はすぐに口を開きかけて、その口を閉ざした。
「そんなのダメよ」その代わりに母親の泰子がいった。「お父さんは、お前たち二人で、会社をきちんと立て直してもらいたいと思っていたのよ。それを徹はヒョータンからコマみたいに辞めることにしてしまうし、彬までそんなことをいい出して」
「まだ、そうするといってないでしょう。一つの可能性を描いてみただけだよ」
「分かった、さっきの言葉を取り消すよ」徹がいった。「おれが会社を辞めることは、会社を生き延びさせるためにやったんだから、いいんだ。しかし兄貴は短気を起こしてはいけない」
「調子いいじゃないか」
「悪いけれどそれが長男と次男の違いだ」
徹は愉快そうな笑みを浮かべた。
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