和書>小説・ノンフィクション>ハーレクイン>ハーレクイン・ディザイア
著者プロフィール
スーザン・マレリー(Susan Mallery)
USAトゥデイ紙や大型書店などのベストセラーリストの常連で、ユーモアと情感あれるロマンスで根強いファンを獲得。その作品数は百作以上にもおよぶ。雨の多さばかりが大げさな話題となり、締め切り前になるとお世話になる大量のコーヒーでも有名な土地ワシントン州に居を構える。最近は刊行される作品が着実に売り上げを伸ばし、ニューヨークタイムズ紙のベストセラーリストにも登場。多くの読者から支持を得る人気作家となっている。
USAトゥデイ紙や大型書店などのベストセラーリストの常連で、ユーモアと情感あれるロマンスで根強いファンを獲得。その作品数は百作以上にもおよぶ。雨の多さばかりが大げさな話題となり、締め切り前になるとお世話になる大量のコーヒーでも有名な土地ワシントン州に居を構える。最近は刊行される作品が着実に売り上げを伸ばし、ニューヨークタイムズ紙のベストセラーリストにも登場。多くの読者から支持を得る人気作家となっている。
解説
幼稚園で働くアニーは、いつも素行の悪い弟に手を焼いていた。そんなアニーのもとに、弟が働く運輸会社の社長で“全米でもっとも冷酷なCEO”と評されるダンカンが訪れる。彼は、アニーの弟が会社の金を横領したと告げ、アニーに盗んだ金を肩代わりするだけの経済力がないと知ると、罪を見逃す代わりに、ある取り引きを持ちかけてきた。冷徹すぎるという世間からのマイナスイメージを変えるため、一カ月のあいだ、愛情深い恋人役を演じてほしいというのだ。もし引き受けなければ家を担保にもらい、弟は刑務所に入れる――そう脅し文句を突きつけられ、もはやアニーに選択肢などなかった。
■人気作家スーザン・マレリー、ディザイアからは三年ぶりとなる新作です。非情だともっぱら噂の億万長者と、一カ月恋人として過ごすことになったアニーの運命は? ひと足先に、クリスマスの雰囲気も満喫できるロマンティックな一作にしあがっています。
■人気作家スーザン・マレリー、ディザイアからは三年ぶりとなる新作です。非情だともっぱら噂の億万長者と、一カ月恋人として過ごすことになったアニーの運命は? ひと足先に、クリスマスの雰囲気も満喫できるロマンティックな一作にしあがっています。
抄録
アニーはこちらを見つめたまま、返事を待っていた。ぼくを窮地に陥れているとは思っていないらしい。ぼくがクリスマスシーズンに従業員を首にするわけがないと信じきっているのだ。チャールズはすました顔をしている。きっと最悪のシナリオを想定しているのだろう。実際、これまではいつもチャールズの予想どおりになってきた。
ダンカンは胸のうちで悪態をついた。今は会社の収益よりも汚名をそそぐことのほうが重要だ。
「アニーの言うとおりだ」ダンカンはさらりと答えた。「少なくとも今期が終わるまで営業は続ける」
チャールズは目をまるくした。「あなたのコメントとして記事にしてもいいですか?」
ダンカンはうなずいた。
「驚いたな」チャールズはつぶやきながら去っていった。
「よくあんなことを思いつくわよね」二人きりになるとアニーが言った。「クリスマスにそんな意地悪をする人がいると思う?」飲み物をすすって続ける。「わたしは一年でこの時期がいちばん好き。我が家はクリスマスに関しては、盛大なほどいいという主義なの」そして朗らかに笑った。「大きすぎるツリーを買って、持ち帰れないなんてしょっちゅう。もちろん家に入らなかったことだってあるわ。去年は悲しいことにツリーのてっぺんを五十センチも切るはめになったの。でも、売り場ではそんなに大きく見えないんですもの。ツリーの飾りつけも好きだし、お菓子を焼くのも好きよ。クリスマスソングもね。二、三日もするとジュリーとジェニーが文句を言い出すけど、かまわずかけ続けるわ。それぞれのお気に入りのクリスマス映画を見て過ごす週末もあるの。あなたはどんなふうにクリスマスを迎えるの?」
「特に何もしない」
アニーは目をまるくした。「どうして?」
「ただ普通の日じゃないか、アニー」
「クリスマスよ。普通の日とは違うわ。家族揃って愛を分かち合い、世界の平和を祈る日よ」
「きみはおめでたいな。もう少し世間に揉まれたほうがいい」
「あなたこそ、クリスマスソングにでも耳を傾けて、少しはくつろいでみたら? 家の飾りつけもしないの?」
ダンカンは自分の住む高級コンドミニアムを思い浮かべた。竹材のフローリングの床がツリーから落ちた葉で散らかったら、ハウスキーパーはいやな顔をするだろう。
「クリスマスはいつも旅行に出る。スキーか、どこか暖かいところへ」
「ご家族は?」
「家族は伯父だけだ。ぼくがいなくても伯父にはどうってことないさ」
彼が急に外国語をしゃべりはじめたかのように、アニーは困った顔をした。「まさかプレゼントも交換しないと言うんじゃないでしょうね?」
「しないよ」
アニーがたじろいだ。「受け継がれた伝統は大切よ。家族で過ごす時間も。クリスマスはやっぱり特別だわ」
「きみは昔からそんなふうに夢見がちなのかい?」
「もちろん。あなたはいつからそんな皮肉屋なの?」
「数十年も前からだ」
意外にもアニーは笑い出した。「自分が皮肉屋なのは認めるのね。認めることから癒しははじまるんですって」
「ぼくには癒しなど必要ない」
「ここにいる人たちにきいてみましょうか? わたしのように伝統的なクリスマスを支持するか、あなたのようにクリスマスには何もしないか。どちらが普通かわかるはずよ」
「自分が正しいとわかっているのに、他人の意見を聞く必要などないさ」
アニーはにやりと笑った。「それだけ大きな自尊心を抱えていれば相当な運動量になりそうね」
「おかげで体型を維持できる」
アニーがまた笑った。彼女の笑い声につられて、ダンカンの顔もついほころぶ。アニーは思ったよりもきれいだ。恥ずかしがるのを忘れているときは、しっかり自分の意見も主張する。ばかがつくほど弟思いだが、誰にだって欠点はある。アニーはぼくが必要としていた“気だてのよさ”だけじゃなく、いろいろな魅力にあふれている。
ダンカンはいつの間にか身をかがめ、アニーの唇を奪っていた。アニーはかすかに身を硬くしたものの、やがて力を抜いて彼のキスを受け入れた。柔らかく従順な唇……。まわりに人がいることを思い出してダンカンはさっと体を引いた。アニーははっと息をのんで驚きの表情を浮かべたが、次の瞬間には、またたきとともにその表情も消えた。
「キスのことは聞いていなかったわ」アニーの声は少しかすれていた。「取り引きの特別事項として、ちゃんと条件を決めておかないと」
「キスの条件かい?」
アニーはうなずいた。「ルールは早いうちに決めて、きちんと実施すること」
ダンカンはくすくす笑った。「ぼくはきみの生徒じゃない」
「それでも、いたずらがすぎればお仕置きするわ」
*この続きは製品版でお楽しみください。
ダンカンは胸のうちで悪態をついた。今は会社の収益よりも汚名をそそぐことのほうが重要だ。
「アニーの言うとおりだ」ダンカンはさらりと答えた。「少なくとも今期が終わるまで営業は続ける」
チャールズは目をまるくした。「あなたのコメントとして記事にしてもいいですか?」
ダンカンはうなずいた。
「驚いたな」チャールズはつぶやきながら去っていった。
「よくあんなことを思いつくわよね」二人きりになるとアニーが言った。「クリスマスにそんな意地悪をする人がいると思う?」飲み物をすすって続ける。「わたしは一年でこの時期がいちばん好き。我が家はクリスマスに関しては、盛大なほどいいという主義なの」そして朗らかに笑った。「大きすぎるツリーを買って、持ち帰れないなんてしょっちゅう。もちろん家に入らなかったことだってあるわ。去年は悲しいことにツリーのてっぺんを五十センチも切るはめになったの。でも、売り場ではそんなに大きく見えないんですもの。ツリーの飾りつけも好きだし、お菓子を焼くのも好きよ。クリスマスソングもね。二、三日もするとジュリーとジェニーが文句を言い出すけど、かまわずかけ続けるわ。それぞれのお気に入りのクリスマス映画を見て過ごす週末もあるの。あなたはどんなふうにクリスマスを迎えるの?」
「特に何もしない」
アニーは目をまるくした。「どうして?」
「ただ普通の日じゃないか、アニー」
「クリスマスよ。普通の日とは違うわ。家族揃って愛を分かち合い、世界の平和を祈る日よ」
「きみはおめでたいな。もう少し世間に揉まれたほうがいい」
「あなたこそ、クリスマスソングにでも耳を傾けて、少しはくつろいでみたら? 家の飾りつけもしないの?」
ダンカンは自分の住む高級コンドミニアムを思い浮かべた。竹材のフローリングの床がツリーから落ちた葉で散らかったら、ハウスキーパーはいやな顔をするだろう。
「クリスマスはいつも旅行に出る。スキーか、どこか暖かいところへ」
「ご家族は?」
「家族は伯父だけだ。ぼくがいなくても伯父にはどうってことないさ」
彼が急に外国語をしゃべりはじめたかのように、アニーは困った顔をした。「まさかプレゼントも交換しないと言うんじゃないでしょうね?」
「しないよ」
アニーがたじろいだ。「受け継がれた伝統は大切よ。家族で過ごす時間も。クリスマスはやっぱり特別だわ」
「きみは昔からそんなふうに夢見がちなのかい?」
「もちろん。あなたはいつからそんな皮肉屋なの?」
「数十年も前からだ」
意外にもアニーは笑い出した。「自分が皮肉屋なのは認めるのね。認めることから癒しははじまるんですって」
「ぼくには癒しなど必要ない」
「ここにいる人たちにきいてみましょうか? わたしのように伝統的なクリスマスを支持するか、あなたのようにクリスマスには何もしないか。どちらが普通かわかるはずよ」
「自分が正しいとわかっているのに、他人の意見を聞く必要などないさ」
アニーはにやりと笑った。「それだけ大きな自尊心を抱えていれば相当な運動量になりそうね」
「おかげで体型を維持できる」
アニーがまた笑った。彼女の笑い声につられて、ダンカンの顔もついほころぶ。アニーは思ったよりもきれいだ。恥ずかしがるのを忘れているときは、しっかり自分の意見も主張する。ばかがつくほど弟思いだが、誰にだって欠点はある。アニーはぼくが必要としていた“気だてのよさ”だけじゃなく、いろいろな魅力にあふれている。
ダンカンはいつの間にか身をかがめ、アニーの唇を奪っていた。アニーはかすかに身を硬くしたものの、やがて力を抜いて彼のキスを受け入れた。柔らかく従順な唇……。まわりに人がいることを思い出してダンカンはさっと体を引いた。アニーははっと息をのんで驚きの表情を浮かべたが、次の瞬間には、またたきとともにその表情も消えた。
「キスのことは聞いていなかったわ」アニーの声は少しかすれていた。「取り引きの特別事項として、ちゃんと条件を決めておかないと」
「キスの条件かい?」
アニーはうなずいた。「ルールは早いうちに決めて、きちんと実施すること」
ダンカンはくすくす笑った。「ぼくはきみの生徒じゃない」
「それでも、いたずらがすぎればお仕置きするわ」
*この続きは製品版でお楽しみください。
本の情報
紙書籍初版: 2010/10/20
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