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解説
大人のムードを醸し出す夜の歓楽街「北新地」。その地で働くかつては人気No.1の美人ホステスが、理不尽で執拗な地上げに遭った。女の細腕では、太刀打ちできないくらい巨大な企業が、平穏な生活を壊していく……。しかし、負けてはいられない。脅しをかける地上げ屋、冷淡な警察、企業に丸め込められた弁護士達の裏切り、数々の困難に立ち向かう。キタの女の意地を見せます!
目次
はじめに
1 福徳観光の顔
2 桜橋開発の地上げ騒動
3 福徳観光の陰謀
4 右翼が地上げに介入する
5 梅中建築店の営利主義
6 梅中建築店の表裏の顔
7 梅中建築店のイヤガラセ
8 言葉のマジックの梅中建築店
9 梅中建築店案の店内設計図
10 梅中建築店(加害者)が被害者を訴える
11 あの手この手の梅中建築店
12 弁護士も不動産屋さん
13 悪徳弁護士に対する証言
14 梅中建築店の営業重役さん
資料
おわりに
1 福徳観光の顔
2 桜橋開発の地上げ騒動
3 福徳観光の陰謀
4 右翼が地上げに介入する
5 梅中建築店の営利主義
6 梅中建築店の表裏の顔
7 梅中建築店のイヤガラセ
8 言葉のマジックの梅中建築店
9 梅中建築店案の店内設計図
10 梅中建築店(加害者)が被害者を訴える
11 あの手この手の梅中建築店
12 弁護士も不動産屋さん
13 悪徳弁護士に対する証言
14 梅中建築店の営業重役さん
資料
おわりに
抄録
五月七日午後二時すぎに、また赤石が訪ねてきた。十席のカウンターの東端から二つ目の椅子に腰をおろし、
「どうやねん! この土地を売ってくれんか」
執拗にも、またおなじことを繰り返す。宮子もいつものように、
「いくら言われても、売りません。北側の代替地へビルを建ててくれたら、喜んでお売りいたしますが……」
と、虚しい断りを言うのに耐えられなくなってきていた。相手は、女ひとりだと甘くみくびっているだけに、それに対する反発心が宮子の気力を支えていた。赤石は椅子から立ち上がり、
「ママさん、どうしても売らんというなら、強姦するぞ!!」
赤石は宮子を睨みつけ、太いどすの利いた声で脅した。
「強姦ですって! そうすればどうなるか、ご存じですか?」
「ママさんが土地を売らんから、強姦したいというこっちゃ」
ニヒルに唇をゆがめて言うと外に向かって、
「オイ! ちょっと入れ」
と大きな声で、店の外に連れてきた者のひとりを呼び入れ、赤石の隣に腰掛けさせるといかにも大物ぶった横柄な態度で、
「オレが面倒みている男で、オレの言うことは、なんでも聞く男や。こんな男が四、五人もいるし、刑務所も何回も入って馴れているからな……」
赤石はカウンターに右肘をつけ、宮子をねめつけるようにして言う。
宮子はそんな赤石に、俄然として言った。
「脅しですか!? 刑法に触れますよ!」
厳しい口調だった。
「まあ、言葉のあやで言ったまでや」
「女ひとりだと思って、バカにせんといてください。わたしに何かあればと思って、今までの貴方の言葉を録音してあるのです」
「えっ! 録音しているのか! そ、そうまでせんでもええやないか。まあ、今日はこれで帰るわ、よう考えておいてや。オイ、帰ろう」
赤石は苦々しい顔をして、連れてきた五十歳ぐらいの男にアゴで指図すると、そそくさと出ていった。
二人が外に出たのを確認した宮子は、立っていられないほど疲れ、椅子に尻餅をつくように腰をおろした。強いことを言っても、やはり女の細腕では……と思うと、目頭が熱くなってきた。
〈クソッタレ! 女だと思って……うぅっ……〉
口惜しい……という思いの涙が、夜の化粧を崩していった。
「どうやねん! この土地を売ってくれんか」
執拗にも、またおなじことを繰り返す。宮子もいつものように、
「いくら言われても、売りません。北側の代替地へビルを建ててくれたら、喜んでお売りいたしますが……」
と、虚しい断りを言うのに耐えられなくなってきていた。相手は、女ひとりだと甘くみくびっているだけに、それに対する反発心が宮子の気力を支えていた。赤石は椅子から立ち上がり、
「ママさん、どうしても売らんというなら、強姦するぞ!!」
赤石は宮子を睨みつけ、太いどすの利いた声で脅した。
「強姦ですって! そうすればどうなるか、ご存じですか?」
「ママさんが土地を売らんから、強姦したいというこっちゃ」
ニヒルに唇をゆがめて言うと外に向かって、
「オイ! ちょっと入れ」
と大きな声で、店の外に連れてきた者のひとりを呼び入れ、赤石の隣に腰掛けさせるといかにも大物ぶった横柄な態度で、
「オレが面倒みている男で、オレの言うことは、なんでも聞く男や。こんな男が四、五人もいるし、刑務所も何回も入って馴れているからな……」
赤石はカウンターに右肘をつけ、宮子をねめつけるようにして言う。
宮子はそんな赤石に、俄然として言った。
「脅しですか!? 刑法に触れますよ!」
厳しい口調だった。
「まあ、言葉のあやで言ったまでや」
「女ひとりだと思って、バカにせんといてください。わたしに何かあればと思って、今までの貴方の言葉を録音してあるのです」
「えっ! 録音しているのか! そ、そうまでせんでもええやないか。まあ、今日はこれで帰るわ、よう考えておいてや。オイ、帰ろう」
赤石は苦々しい顔をして、連れてきた五十歳ぐらいの男にアゴで指図すると、そそくさと出ていった。
二人が外に出たのを確認した宮子は、立っていられないほど疲れ、椅子に尻餅をつくように腰をおろした。強いことを言っても、やはり女の細腕では……と思うと、目頭が熱くなってきた。
〈クソッタレ! 女だと思って……うぅっ……〉
口惜しい……という思いの涙が、夜の化粧を崩していった。
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