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著者プロフィール
新田 一実(にった かずみ)
実は二人の女性のペンネーム。
里見敦子、ヤギ座の理科系。後藤恵理子、ウオ座の文科系。血液型はともに“復讐ノート”のA型。アイディアも文章も完全共同作業。愛猫たちに囲まれながら、交替でワープロを打っているとか。
著書に「海神の寵児ディロン」「漂泊の剣士ハーコン」「霊感探偵倶楽部」「お客様ご用心」など多数のシリーズ作があり、今若い読者にもっとも人気のある作家の一人(二人?)である。
実は二人の女性のペンネーム。
里見敦子、ヤギ座の理科系。後藤恵理子、ウオ座の文科系。血液型はともに“復讐ノート”のA型。アイディアも文章も完全共同作業。愛猫たちに囲まれながら、交替でワープロを打っているとか。
著書に「海神の寵児ディロン」「漂泊の剣士ハーコン」「霊感探偵倶楽部」「お客様ご用心」など多数のシリーズ作があり、今若い読者にもっとも人気のある作家の一人(二人?)である。
解説
魔女エフェメリスを倒すため“ウォルフガングの剣”を探す旅のさなか、白の軍師フォーマルハウトを魔術師エルゴックにさらわれてしまった。マイヤ一行はエルゴックの待つナンの都へと向かう。しかしその裏には、エフェメリスの前へマイヤをおびき寄せようという陰謀が隠されていたのだった。捕らわれの身フォーマルハウトはなす術もなく、ただ成り行きを見守ることしか出来ない……!。
大人気作家が贈るヒロイックファンタジー第一部ここに完結!!
大人気作家が贈るヒロイックファンタジー第一部ここに完結!!
目次
第一章 謎歌の道
第二章 ナンの都
第三章 古(いにしえ)の魔法
第四章 竜王の剣
第二章 ナンの都
第三章 古(いにしえ)の魔法
第四章 竜王の剣
抄録
「フォーマルハウト様なら大丈夫です。あれだけの軍師を殺したりはしません。たとえどんな連中でもね」
眉を寄せたマイヤに、バンデテールは自信あり気に頷いてみせた。
「考えてもみてごらんなさい。あれだけの軍師です。もし、人質とされた場合、マイヤ様は見棄てることができますか? ……難しいでしょう。ならば、敵はそういう手段に出ます」
恐ろしいことを平然と宣(のたま)う商人を、マイヤは目を丸くして見据えた。
「そういうものなのです。……今までにも、ティノニスはそんな作戦を採ってきました。女王自身を人質としたり、幼い王女を楯に取ったり……。今回はそれが軍師だったというだけのことです。ティノニスにしてみれば、極(ごく)普通の作戦なのですよ」
人の良さそうな商人の口から聞こうとは思ってもいない言葉だった。しかし、それが現実なのだろう。この場にいる誰より、ひょっとするとフォーマルハウト以上に世の中を知っているという商人の言葉に、嘘があるとも思えなかった。
「……心配なのは、軍師殿が諦められることです、ご自分が負担となっていると考えられた場合、どういう行動をとられるか……。戦いが有利に進んでいるとわかれば、良し。しかし、ご自分の存在が戦局を不利に導くと判断なされば……」
マイヤは硬く目を閉じた。
「心配ですか?」
「当たり前だろ!」
声を荒げるマイヤに、バンデテールは楽しげに笑った。
「そうそう。そうやって、はっきり言ったほうがいい。何も、戦士の前で自分を抑えるだけが王の役割じゃありませんからね」
さらに息を呑んだマイヤは、平然と竜を操る男を睨み据えた。
笑いごとにしていいような話題ではない。
「言葉を荒げても、叫んでも、それが子供の印(しるし)にはなりませんよ。見境なく動くのは考えものですけど、うじうじと考え込んで、暗い顔をするよりは、よっぽどましだ。――そんなことじゃ、グゥイナーの王になっても、父親の名誉は得られませんよ」
バンデテールがどうしてそんな先のことを話すのか。マイヤには全く理解できなかった。
いずれは、グゥイナーの女王となるに相応しい女を迎えることになるかも知れない。しかし今のマイヤにとって、それは遥か未来の話なのだ。この戦いに勝利しない限り、想像することすらできないようなことである。
マイヤの困惑が判ったのか、再び声を上げて笑った男は、歯を剥き出しにして見せた。
「女に父親になる資格を認められないということは、王としての魅力が足りないということです。ご自分を抑えるというだけが、戦士に王として認められる道ではありません。感情を無くしてしまった王よりは、感情的な王のほうが余程人を引き付けますからね」
無理に感情を抑えこむな、と言っているのだろうが、いまのマイヤには無理な要求である。
それが判っているのか、不意に真面目な顔になったバンデテールは言葉を繋いだ。
「人質を取るということは、エフェメリスが怖れている証拠です。よほどのことがない限り、あの魔女は殺戮だけを行いますからね。……フォーマルハウト様の選んだ地が、正しかったという証拠でしょう。剣を手に入れれば、後は私も少しはお役に立てます。ティノニスにも話のわかる商人はいますし、たとえ魔女でも、商人の運ぶ品を必要としていますからね」
「城の奥まで入れるということ?」
「それは難しいでしょう。エフェメリス自身が現われることはありませんし、出入りの商人も城の入り口で商売をするだけですから。……しかし、何を必要としているかがわかれば、戦いの場を想像することはできますよ」
眉を寄せたマイヤに、バンデテールは自信あり気に頷いてみせた。
「考えてもみてごらんなさい。あれだけの軍師です。もし、人質とされた場合、マイヤ様は見棄てることができますか? ……難しいでしょう。ならば、敵はそういう手段に出ます」
恐ろしいことを平然と宣(のたま)う商人を、マイヤは目を丸くして見据えた。
「そういうものなのです。……今までにも、ティノニスはそんな作戦を採ってきました。女王自身を人質としたり、幼い王女を楯に取ったり……。今回はそれが軍師だったというだけのことです。ティノニスにしてみれば、極(ごく)普通の作戦なのですよ」
人の良さそうな商人の口から聞こうとは思ってもいない言葉だった。しかし、それが現実なのだろう。この場にいる誰より、ひょっとするとフォーマルハウト以上に世の中を知っているという商人の言葉に、嘘があるとも思えなかった。
「……心配なのは、軍師殿が諦められることです、ご自分が負担となっていると考えられた場合、どういう行動をとられるか……。戦いが有利に進んでいるとわかれば、良し。しかし、ご自分の存在が戦局を不利に導くと判断なされば……」
マイヤは硬く目を閉じた。
「心配ですか?」
「当たり前だろ!」
声を荒げるマイヤに、バンデテールは楽しげに笑った。
「そうそう。そうやって、はっきり言ったほうがいい。何も、戦士の前で自分を抑えるだけが王の役割じゃありませんからね」
さらに息を呑んだマイヤは、平然と竜を操る男を睨み据えた。
笑いごとにしていいような話題ではない。
「言葉を荒げても、叫んでも、それが子供の印(しるし)にはなりませんよ。見境なく動くのは考えものですけど、うじうじと考え込んで、暗い顔をするよりは、よっぽどましだ。――そんなことじゃ、グゥイナーの王になっても、父親の名誉は得られませんよ」
バンデテールがどうしてそんな先のことを話すのか。マイヤには全く理解できなかった。
いずれは、グゥイナーの女王となるに相応しい女を迎えることになるかも知れない。しかし今のマイヤにとって、それは遥か未来の話なのだ。この戦いに勝利しない限り、想像することすらできないようなことである。
マイヤの困惑が判ったのか、再び声を上げて笑った男は、歯を剥き出しにして見せた。
「女に父親になる資格を認められないということは、王としての魅力が足りないということです。ご自分を抑えるというだけが、戦士に王として認められる道ではありません。感情を無くしてしまった王よりは、感情的な王のほうが余程人を引き付けますからね」
無理に感情を抑えこむな、と言っているのだろうが、いまのマイヤには無理な要求である。
それが判っているのか、不意に真面目な顔になったバンデテールは言葉を繋いだ。
「人質を取るということは、エフェメリスが怖れている証拠です。よほどのことがない限り、あの魔女は殺戮だけを行いますからね。……フォーマルハウト様の選んだ地が、正しかったという証拠でしょう。剣を手に入れれば、後は私も少しはお役に立てます。ティノニスにも話のわかる商人はいますし、たとえ魔女でも、商人の運ぶ品を必要としていますからね」
「城の奥まで入れるということ?」
「それは難しいでしょう。エフェメリス自身が現われることはありませんし、出入りの商人も城の入り口で商売をするだけですから。……しかし、何を必要としているかがわかれば、戦いの場を想像することはできますよ」
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